《俺の野望、なんだろう。いろんなこと思うけどでも、俺負けず嫌いだからな、人間としても成長したいけど、野望っつったら、》(原文ママ)
などとSNSで11年前に綴っていた自己顕示欲強めの男。正月が明けて間もない5日、埼玉県警上尾署が県迷惑行為防止条例違反(卑わいな行為の禁止)の疑いで逮捕した同県上尾市に住む県内の公立小学校教諭・金子甚武容疑者(33)のことだ。
「容疑は下着の盗撮。別の事件へ関与した疑いでスマートフォンを押収して調べたところ、勤務先の小学校で10代女子児童のスカート内を撮影した動画が出てきた。ほかにも同様の動画が複数見つかり、捜査当局は余罪などを調べている」(全国紙社会部記者)
警察の取り調べに「性的欲求を満たすためだった」と容疑を認めているという。
同県警によると、犯行は2022年12月6日午前8時13分ごろと、昨年2月27日午前8時7分ごろ。自身のスマホで登校直後の児童を狙った。
ほかの子どもたちにも悪さをしていないか心配
同校の女子児童の父親は、「面白い先生だと聞いているが、学校で犯行に及ぶなんて許せない。ほかの子どもたちにも悪さをしていないか心配だ」と憤る。
在校生への聞き取り調査や職務中の不審点などを尋ねようと同校に取材を申し込むと、「学校としてはお答えできません。教育委員会に聞いてください」と回答を拒否。
しかし、同校を所管する市区町村の教育委員会もまた、「お答えできない」(担当課)の一点張りだった。
教員の人事権を持つ埼玉県教育委員会に尋ねると、
「逮捕は承知していますが、事実確認を進めている最中なので処分などは決まっていません。勤務校は児童や保護者へは事情説明をしていると聞いています。事件は正直、ショックです」(担当者)
学校生活で不審な様子はなかったのか。
同校を卒業した男子生徒は「いかにも先生らしい先生でした」としてこう話す。
「ノリがよくて子ども好き。ももクロのファンだと公言するなどフレンドリーでした」
「頭ポンポン」スキンシップは多かった
金子容疑者はSNSの投稿で《ももクロはたまんね〜わ》と熱烈ファンぶりをみせる一方、《ぱるるめっちゃかわいい。nineのひろろもかわいい》《渋谷にトリンドルたんいたお。かわいすぎたよ》などと告白。童顔が好みのタイプだったとみられる。
卒業生の女子生徒は言う。
「ももクロの赤の百田夏菜子推しだと言っていました。ロックバンド『ヤバイTシャツ屋さん』も推していた。競技としてのドッジボールで“日本代表候補だった”と自慢し、クラブをつくってみんなを勧誘していました。
日体大出身でとにかく足が速いんです」
地元・上尾市のドッジボールクラブでは代表を務め、背番号は1。クラブ関係者によると、「運動神経バツグンで練習には厳しかった」。ジュニアチームをコーチすることもあった。
卒業した別の女子生徒が振り返る。
「好きな先生でした。児童がつくる校内新聞で“先生の人気ランキング”をやったら、男の先生部門で人気ナンバーワンだった。一時期彼女がいたけど独身で、休み時間は先生の机の周りに女子が集まって、タメ口で話しても怒らない。あだ名は“じんたん”です」
名前に“たん”をつけてかわいくしたもので、
「じんたーん」と呼ぶと、
「はーい」と答えてくれたという。
「いま振り返るとスキンシップは多かったです。そのころは好きだったし、年齢的にもそういうことは気にしなかったけど、女子の頭をポンポンしたり、ひざの上に乗せられた子もいました。特に問題にはなりませんでした」(同・生徒、以下同)
30歳のころ正規教員として新採用。担任するクラスで独自にクリスマスパーティーを開いて自ら仮装するなどアイデアマンだった。子ども相手でも手加減せず、鬼ごっこをすると全力で追いかけたという。
「でも叱るときは叱るし、そんなところも好きでした。逮捕のニュースで警察車両の後部座席で身体を丸めて顔を隠す姿を見てショックでした。そんな姿は見たくありませんでした」
学校ではヤングケアラーをテーマにした試験的授業を任され、他校の教員が視察する中、「何でも頼られてしまったらどう?」と子どもたちに質問して考えさせた。その様子はテレビのニュース番組でも取り上げられたほど。
さて、冒頭の野望を打ち明けるくだりには続きがある。
《野望っつったら、日本一のプレーヤーになって、日本一バカな指導者、魅せて魅せて魅せまくりたいな。俺が日本引っ張りてー》(SNSより)
バカな指導者どころでは済まない。子どもたちから信頼される立場を悪用した卑劣きわまりない犯行だった。