室温の低い部屋で酔いつぶれて寝てしまうのはダメ(写真はイメージです)

 “最強クラスの寒波が襲来”なんて報道も聞かれるようになるなど、寒さが本格化してきたこの季節。こうした中で実は気をつけたいのが低体温症の恐怖。厚生労働省の統計によると、2022年までの過去10年間に低体温症で亡くなった人は、熱中症で死亡した人の合計(1万397人)よりも1455人多い1万1852人にも上った。

低体温症はほとんどが“屋内”

 山岳遭難で起きるイメージが強い低体温症だが、その危険性は熱中症と同じ。寒い地域だけではなく、どこの誰にでも起こりうることなのだ。

「低体温症と聞くと“寒い屋外”で起こるというイメージを抱く人が多いと思いますが、“屋内”にいても発症して、病院に搬送される人もいます」

 こう教えてくれたのは、伯鳳会東京曳舟病院三浦邦久副院長。福島県郡山地方広域消防組合の調べによると、低体温で搬送される約7〜8割が自宅などの屋内で発症している。しかも、搬送された人の約8割は入院するほどの深刻な状況だったとか。

低体温症は寒い場所などにいて、心臓や肝臓などの身体の内臓部分の“深部体温”が35度以下になると症状が出てきます。例えば、軽症のうちは体温を上げようと身体の震えが起きますが、だんだん動きが鈍くなって意識障害を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。

 屋内でも、お酒を飲んで帰ってきて薄着のまま布団に入らず寝てしまったり、光熱費が高いので暖房もつけずに寒さを我慢していて発症したというケースもあります」(三浦副院長、以下同)

 では、低体温症にならないためには、どういった対策が必要なのか。

室温については、WHOは18度以上を推奨していますが、私は部屋全体で適温を保つため20度以上を推奨しています。朝晩は低体温症になる危険性が高いので、寝るときはしっかり布団を肩までかけてください。外出するときは、身体の熱を逃がさないよう、コートやマフラーなどを着込んでしっかり防寒してください」

低体温症になってしまったら

 特に筋肉量が減って身体の熱がつくりにくい高齢者のほうが低体温症になりやすいそう。

「こまめに水分をとりながら、適度な運動をして筋肉量を維持したり、増やすことも予防につながると思います。また、親や祖父母が一人暮らしをされているという方は、まめに連絡を取って体調を確認したり、見守りをしてあげるのも大切です」

適度な運動で筋肉量の維持が不可欠(写真はイメージです)

 これから2月になり大雪など各地でさらなる寒波に襲われる可能性も。もし低体温症になってしまったら、どう対応するべきなのか。

低体温症かなと思ったら、まずは洋服を着込んで、暖房をつけたり温かいものを飲んだりして、しっかりと身体を温めることが大事です。もし自分では判断がつかなかったら、救急相談センターなどに相談するのもいいと思います。隣で身体が震えていた人が急におとなしくなったので、震えが治ったのかなと思ったら意識がなかったということもあります。呼びかけて反応がなければ危険な状態なので、すぐに救急車を呼んでいただきたいです」