「元日から大地震が起き、不条理な出来事が続いて不安な気持ちはわかりますが、子どもがそれを学校などで披露するのでどうしたものか」(小学生男児の母親)
大きな事件や事故、天災などが起きた際に“背後に大きな力が働いている”と考える陰謀論。その陰謀論に身内がハマってしまった、と冒頭のような悩みを訴える声が増えていると言うのは、ある心理カウンセラー。
松本人志にまで陰謀論
「SNSの普及により加速度的に広がっていき、今では何かあるたびに“陰謀”と騒ぎ立てる人々がいます。コロナ禍でこれらの考え方が大きく注目を集めました。未知のウイルスに対して、またワクチン接種やマスクの対策について何が正しいのかわからない中で陰謀論を唱える人が増えてしまったんです。一部では、《松本人志さんが番組内でコロナワクチンを否定したから性加害報道が出て消された》という陰謀論まで出ています。突拍子もないですが、本人たちは本気。不安から生まれているので悪気はないのですが、あまりにも狂信的な人や反対意見に対して敵意をむき出しにするタイプは問題ですね」
彼らにはどのように対処すればいいのか。
「陰謀論を発信する人にはいくつかタイプがあって、まずはSNSでバズるためにやっている人。商業目的や注目を集めたくてやっていることなので本人はそこまで信じていない。タチは悪いですが、お金が目的なら他の稼ぐ手段を与えたり、注目されたいタイプならば相手を認めてあげる、などしていれば自然に解決していきます」(心理カウンセラー、以下同)
子どもが陰謀論を信じ込んでしまったら?
「そこまで問題視する必要はないと考えます。子どもは素直なので何でも受け入れてしまう一方、忘れるのも早い。学校で陰謀論などを話して友達に“嘘つき!”と言われるなど、そんなやりとりをしながら社会性を学ぶのも立派な経験だと思います。ご家庭で叱ったりせずに話を聞いてあげた上で、ご両親の考え方を教えてあげたりするのもいいでしょう」
陰謀論にハマりやすい人の特徴
もっとも問題なのは次のタイプだという。
「ビリーバーといわれる、いわゆる洗脳と同じ状態になった大人です。危機感から周囲にも信じさせようとするし、友人、知人の場合は距離をおけば済むのですが、家族にとっては本当に大変。否定すると余計に熱くなるので、陰謀論を言い出して2週間以上たった場合はカウンセリングを受けさせるなど、プロの手を借りたほうがいいと思います」
どのような人が陰謀論にハマりやすいのか。
「大きく分けて2つのタイプがあります。1つは教養もあり高学歴でまじめな人。物事には必ず理由があると考えるんです。理由がわからない、という曖昧な状況が嫌いで結論を求めたがる。陰謀論というのはわかりやすいですから。
もう1つは逆に、プライドは高いが自分で物事を考えない人。考えることを放棄して強い意見に乗っかる。でも自己顕示欲はあるので周囲に自分の主張を伝えたい。そんな人は陰謀論を吹聴しやすい」
共通しているのは「何らかの生きづらさを抱えている人」だという。
大きな出来事に関して懐疑的になるのはいいが、周囲を困惑させているようなら立ち止まる姿勢が必要かも。