梅雨や夏など、じめじめした時季に繁殖するイメージのある“カビ”だが、実は、冬にもカビが増えやすい条件がそろっているという。
病も招く『冬カビ』
「カビが発生し繁殖するには『湿度』『温度』『カビの栄養となるゴミ』の3つの条件が必要です。湿度が65%以上あり、室温が20~25℃以上になったときにカビは発生し、そこにホコリや皮脂などのゴミが加わることで、どんどん繁殖します。
寒くて乾燥している冬も、知らず知らずのうちにこの条件を満たしてしまっているのです」
と教えてくれたのは、家事支援サービス「カジタク」で掃除などの家事代行を担当している、西田美保さんだ。
「冬カビ発生の一番の要因は、窓に発生する結露。暖房の効いた室内と寒い室外との温度差で窓ガラスに水滴が発生し、カビの原因に。もちろん、暖房で部屋を20℃以上に暖めていることも、カビ発生の原因になります。
また、寒さから換気の回数が減ったり、乾燥を防ぐ加湿器の使用なども室内に湿気がこもることにつながります」(西田さん、以下同)
そんな冬だからこそ注意したい冬カビ発生場所と、撃退法や予防法を紹介していく。
カビ要因の結露は中性洗剤で予防
「窓枠やカーテンに発生するカビの原因は、窓ガラスに発生する結露。部屋全体の湿度も上げてしまうため、冬カビ対策には、まず結露を予防することが大切です」
台所や洗濯で使う『中性洗剤』で対策できるという。
「結露を予防するための専用スプレーも売っていますが、どのご家庭にも1つはある中性洗剤を使えば、簡単に予防できます。空のスプレーボトルに水を200ml入れ、中性洗剤大さじ1を入れて薄めます。
それを窓に吹きかけて拭き掃除をした後にから拭きをしてください。すると、結露が予防できます」
中性洗剤に含まれている界面活性剤が、水の表面張力を弱くするのでガラスに水滴がつきにくくなるそう。
また、見逃しがちな窓ガラスのゴムパッキン部分にたまるホコリがカビのエサとなるため、ここの拭き掃除も忘れずに行いたい。
加湿器の掃除には粉の重曹一択!
「加湿器はタンクの中や、タンクのフタ部分にカビが発生しますが、気づかないまま使用すると室内にカビを飛散させてしまうことになります」
鼻炎や気管支炎などのアレルギー症状を誘発することもあるため、注意が必要だ。
「掃除に使うのは粉の重曹がおすすめ。タンク内やトレーにカビが発生したら、重曹を溶かしたお湯に30分ほど漬けて、その後ブラシなどでこすればカビが簡単に落ちます」
この漬けおき洗いは、月に1度ほど行えばOK。タンクのフタなど、細かいパーツに発生したカビは、重曹大さじ1を水100mlに溶かしてスプレーを作り、吹きかけたのちにブラシでこすることで落とせる。
雨や雪の後は靴に新聞紙でカビ防止
「冬に履く機会が増えるブーツは、湿気がたまりやすく皮脂とも結びつくので、カビが発生しやすい。靴用のブラシで大まかな汚れを取りつつ、湿気を吸うように新聞紙を詰めるのがいいです。特に雨や雪などで濡れた後は新聞紙を詰めて、風通しのいい日陰で乾燥させてください」
靴箱に入れて保管するときは、湿気の影響を比較的受けにくい上段に置き、換気をするのが大切。
「また、新聞紙を靴箱に敷いて靴を収納すると、余分な水分を吸ってくれるので、カビが発生しにくくなります」
お風呂場のカビは冷水と水切りで対策
お風呂場の排水口周りや壁面にできるやっかいな黒カビ。浴室内の気温が高く湿度もある梅雨にできるカビは色が濃いのに対し、冬場で気温が低く、湿度が高いときにできるカビは色が薄く気づきにくいという。わかりにくいだけで、しっかりカビは繁殖しているのだ。
「浴室には皮脂や石けんカスなど、カビのエサとなる栄養が豊富で、お湯を使えば湿度が上がるので冬であっても油断は禁物。
頑固なカビには、次亜塩素酸塩系のカビ除去成分が入った洗剤を吹きかけて、流れてしまわないようにキッチンペーパーでパックし、その上からさらにラップをかけるとよく落ちます」
カビ予防には、入浴後、シャワーで壁や床、洗面器など浴室内すべてに水をかけ、飛び散った汚れを落とし、その後浴槽の表面や壁面の水滴を水切りなどで拭き取ることでカビが発生しにくくなる。