生前、『週刊女性』のインタビューに答える南部虎弾さん

「本当に、ただ寝ていて、今にも起きて『あ、どうしたの?』と声をかけられるんじゃないかと思いました」(霊安室で立ち会った友人)

 過激パフォーマンス集団「電撃ネットワーク」のリーダー・南部虎弾さんが脳卒中により急逝した。72歳だった。

「大物になろうとは思わない」

 電撃ネットワークといえば、テレビでは放送しづらい身体を張ったパフォーマンスで、世界でも活躍。南部さんも古希を越えながらもメンバーたちとともに過激な芸を披露し、現役を貫いていた。

 俳優としてキャリアをスタートし、お笑いグループ・ダチョウ倶楽部の初期メンバーとなるも脱退。その後、電撃ネットワークを結成した。

『大物になろうとは思いません。生涯現役で、中間管理職くらいの立場でいたい。それくらいのほうが、好きなことができるから』と言っていた。また、電撃ネットワークは“リハーサルをしない”“反省会をしない”“何事も30%でいい”がモットーで、南部さんは『いい学校に入って、有名な病院で死ぬことが幸せの定義ではないと思う。世の中や人に、自分を無理やり合わせようとしないことが大切なのでは』と語っていた。既製品には必ずといっていいほどイラストを描き加えるという、独特な私服がなんともおしゃれ。しかし話し始めると、年の功なのか悟りきった高僧のような印象でした」(取材した記者)

妻が腎臓を提供

 面倒見がよい一面も。

「声をかけると、なるべく時間をつくって顔を出してくれました。実は私も、近々会う予定があったんです。情も厚く人への感謝を忘れず、南部さんを嫌いな人はいませんでした」(前出・友人)

「多発性脳梗塞で施設に入った芸人仲間の故・エスパー伊東さんが、最期まで誰とも会わせてもらえなかったことには、いつにないほど憤りをぶちまけていた」(旧知の出版社社員)

 南部さんといえば、妻から腎臓を提供され、移植を受けたことでも知られている。糖尿病の悪化により心不全となり、心臓バイパス手術を受けたことも。そんな満身創痍の夫を支えてきたのが、18歳年下の妻、由紀さんだった。もともと由紀さんが南部さんのファンで、電撃ネットワークの結成とほぼ同時期に結婚。南部さんは37歳、由紀さんは19歳だった。

18歳下の妻・由紀さんと南部虎弾さん

「『普段はあまり妻のことは話さない』という南部さんに、奥さんへの感謝を聞くと、『若い人と結婚してよかった。世代の価値観が違うから、自分の価値観も広がった』と。南部さんの『額に缶ビールをつけ、注ぐ』というお得意芸は、夫婦で思い立ち、奥さんのほうが先に成功したそうです。

 そんなにケンカもしなかったそうですが、『(口ゲンカをした際)奥さんが泣いて終わりということが何度か続いて、申し訳なくてそれ以来10年以上、ケンカにならないよう気をつけている』と言っていました」(前出・記者)

 だが、腎臓移植後、「(南部さんが)お酒をやめないものだから『腎臓返してよ!』と怒られたことがあるそうです(笑)」(同・記者)

 エスパーさんを、最後まで気にしていたという南部さん。

「本人も、こんなに早くエスパーさんと会えるとは思っていなかったのでは」(前出・友人) 

 今ごろ2人で、新しいネタでも考えているのかも─。