岸田文雄首相

「宏池会の解散を検討している。政治の信頼回復に資するなら、考えなければならない」

 1月18日、首相官邸で自らが会長を務めていた派閥、宏池会の解散について口を開いた岸田文雄首相。この言葉に追従するように、安倍派(清和政策研究会)、二階派(志帥会)も解散を表明。25日には森山派(近未来政治研究会)も解散を表明し、党内6派閥のうち4つが姿を消すことになった。

政治家が“派閥”を組む理由

 派閥の政治資金パーティーによる収入を、政治資金収支報告書に記載していなかった、いわゆる裏金問題に端を発した今回の自民党内の騒動。「政界に激震」などと報じられたが、世間の声を聞くと、

「派閥解消で何が変わるかわからないし、そもそもどうして派閥を組むのかもわからない」

 という声が。確かに国民にしてみれば、党内の派閥事情などは直接生活には関係していない。そのようなものを、なぜつくるのだろうか?

「政策を勉強するための“政策集団”などと言っていますが、実際はポストとお金が欲しい人たちが集まった集団ですよ

 と、ジャーナリストの大谷昭宏さん。

力のある派閥に入っていれば、選挙のときに何かしらの応援がもらえるし、比例代表の名簿でもいい順番につけてもらえるということです。

 党の綱領に賛同して党員になっているわけですから、政策について考えるために党内で別々の集団をつくること自体、おかしいですよね。若手を教育する、なんて名目を立てていますが、そんなことは党としてやればいい」(大谷さん、以下同)

自民党政治を変えるには

 この問題を解決するため、自民党は政治刷新本部を立ち上げ、岸田首相は中間取りまとめ案を発表するとともに、

「派閥ありきの自民党から脱却する。派閥から“お金”と“人事”を切り離し、いわゆる派閥を解消する」

 と宣言した。しかし─。

“人間3人寄れば、2つ派閥ができる”とは、故・大平正芳元首相の言葉です(笑)。二階氏が“人は自然に集まってくる”と呟いたように、口先で派閥解消と言っても実現するようなものではないですね」

 と大谷さんはバッサリ。では、どうすればお金で動く自民党政治を変えることができるのか?

二階俊博議員

「政治資金規正法をしっかり変えることです。会計責任者と議員を連座制にして、収支報告の虚偽記載や記載漏れがあったときには、議員自身も責任が問われるようにする。今回のように“会計責任者が勝手にやったこと”と、議員の責任逃れができないようにしなくてはいけません。あと、政策活動費はすべて領収書を添付し、お金の受け取り先などを明らかにすることです」

 確かに議員本人の責任が問われることになれば、簡単に“悪だくみ”はできなくなる。だが、議員たちが既得権益を手放すことはできるのだろうか。

「岸田さんが本気で改革をしようと思っているなら、野党にも“この法律を通しましょう”と呼びかければいいんです。もし反対する議員や党があるなら、その人たちは改革する気がない、ということが国民に明らかになる。議員自身が自らに処分が及ぶ法律をつくれるか、でしょう」

 今回の問題がどう落ち着くのか、政治家たちの“本気”が試されている。