1月28日、都内のホテルで澤瀉屋の頭領・市川猿翁さんとその弟・市川段四郎さんの『送る会』が行われた。会場では猿翁さんの息子である香川照之が一門を代表して来場者の対応をしていた。
「昨年5月に一家心中事件を起こした市川猿之助さんが逮捕。続く9月には『スーパー歌舞伎』を確立するなどして歌舞伎界に新風を起こした猿翁さんが不整脈で死去。澤瀉屋は精神的支柱だった2人を続けて失いました」(スポーツ紙記者、以下同)
会場には中村獅童や尾上松也、人間国宝の片岡仁左衛門などの歌舞伎スターが集結。中には元澤瀉屋の門弟・市川右團次の姿もあった。
「右團次さんが参列したことは驚きました。彼は猿翁さんから芸を叩き込まれ、猿之助の名跡を継ぐものと期待されていました。ところが、2011年に後継者として選ばれたのは、猿翁さんの甥にあたる現在の猿之助さん。つまりハシゴを外されてしまったのです」
2011年の猿之助襲名発表と同時に、香川とその息子の市川團子が梨園入りした。
香川が明かした市川猿之助の近況
「46歳で歌舞伎役者としてデビューした香川さんは、猿翁さんの息子ということで、経験が浅いにもかかわらず、台詞の多い人気の役を任されたり、歌舞伎公演を取り仕切る松竹側に意見を言ったりしていました。次第に澤瀉屋からは右團次さんをはじめとする多くの古参弟子が離脱していきました」
『送る会』の閉会後、香川と團子は集まったマスコミの囲み取材に応じることに。2022年に過去の性加害を報道されて以降、初めて取材に応じた香川は“父と叔父の精神を継いで、しっかり前を向いていきたい”と決意を表明。続けて自殺幇助罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた猿之助の近況について触れる一幕も。
「2月から3月にかけて公演が行われるスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』で主演を務める團子さんが、同作の主役を何度も演じたことのある猿之助さんから直々に指導を受けていることを明かしました」
團子に背負わせる“猿之助襲名”の荷
裏方とはいえ、猿之助が有罪判決から3か月たたずに歌舞伎界に復帰したことが明らかになったが、香川の発言には別の意味もあるようだ。
「名跡を継ぐためには、先代から脈々と伝わる芸を継承しなくてはいけません。今回の香川さんの発言は、“團子が猿之助を襲名する準備は進んでいる”と、周囲に向けたアピールでもあるんですよ」(松竹関係者、以下同)
これまで“猿翁の息子”ということで一目置かれていた香川は、新たな後ろ盾の確立に焦っているという。
「歌舞伎役者としての実力でいえば、香川さんは一門を代表する器ではありません。しかし團子さんが大名跡である猿之助を継承すれば、香川さんは“猿之助の父”として存在感を発揮できます」
1日でも早く“息子の七光り”にすがろうとしている香川のようだが、描いた“あらすじ”は思いどおりに進むのだろうか─。