亀梨和也(KAT-TUN)と田中みな実の大物カップル。そのなれそめは4月期の連ドラ『Destiny』(テレビ朝日系)だ。昨年夏から秋にかけて撮影されたという。
ちなみに、主演は石原さとみ。亀梨と田中は友人という設定なので、ネットでは《作品に入り込めない》という声も。ただ、個人的に気になったのは田中の本気度だ。
「なんにも実ってないの」
かつて、結婚間近ともされた藤森慎吾(オリエンタルラジオ)と破局後、北村匠海がお気に入りだと公言。藤森と北村が似たタイプなのに対し、亀梨は系統が違う。
また、3年前のウェブインタビューでは、
「ずっと独りでも、後悔はない。それだけ素晴らしいものを作っているから」
と語るなど、結婚についてトーンダウン。
昨秋までMCを務めていた『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)でも、自らが実践してきた「あざとかわいい」テクニックについて、
「見て、今の私。の」
と、自虐ネタにしていた。
とはいえ、彼女はもともと変わり続ける人でもある。TBSの局アナ時代、ぶりっ子キャラでアイドル的存在になったものの、同性ウケはいまひとつ。しかし、フリー転向後は美意識の高い自分磨きが同性に支持され、写真集がバカ売れした。その姿は昭和の松田聖子にも重なるが、異なるのは恋愛をめぐるスタンスだ。郷ひろみと破局後、その涙も乾かないうちに神田正輝と結婚した聖子に対し、田中は復縁を渇望。占い師にもすがり、大まじめにこんなことまで試した。
「大豆を彼の年齢+1を巾着袋に入れて、小豆を自分の年齢+1を巾着袋に入れて、それを一緒の袋に入れて、地元の川に流しなさいって」(『グータンヌーボ2』関西テレビなど)
「上昇志向の塊だね」
その後は仕事に集中。バラエティーだけでなく、ドラマや映画でクセのある役をこなして芝居に目覚め、広末涼子ら有名女優を多く抱える事務所に移籍した。そんな資質を早くから見抜いていたのが、TBSで上司だった安住紳一郎。彼女の新人研修ノートを見て「あなた、上昇志向の塊だね」と指摘したという。
その上昇志向はコンプレックスの裏返しかもしれない。田中家はエリート一族で、姉は東大を卒業後、楽天などの一流企業で働き、フルート奏者としても活動している。子どものころに習い事をする過程で、姉には勝てないと感じた妹は中高時代の器械体操だったり、青山学院大を経ての女子アナ、女優という進路だったり、姉がやらないようなもので勝負する生き方を選択していくわけだ。
なお、姉は結婚していて2児の母でもある。その点でも、こちらはあえて独身を貫くつもりなのかなとか、例えば、由美かおるのような美魔女路線にでもいくのかな、などと想像していたのだが─。
ここへ来ての恋愛モード切り替えはやはり、年齢的にも結婚、出産というところを真剣に考えたいということだろう。ただ『Destiny』での役柄について、彼女はこんなことを言っている。
「欲しいものは何でも手に入れてきたお嬢様かのように映りますが、実際には“本当に欲しいものがいつも手に入らない”と嘆き苦しむ孤独な一面も」
選択肢が多いからこそ、自分らしさに迷い、好かれたり嫌われたり、褒められたりけなされたりしながら揺れ動く。それは彼女自身にも、さらには多くの独身アラフォー女性にも、おそらく通じる葛藤なのだ。
宝泉薫(ほうせん・かおる)アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。