アサヒビールが今後発売する缶チューハイの新商品のアルコール度数を8%未満に抑える方針であることが1月26日、報じられた。現在、同社が販売する8%以上の缶チューハイ、いわゆる“ストロング系”高アルコール缶チューハイはセブン―イレブンとのコラボ商品『クリアクーラーストロング レモン&ライムサワー』(度数9%)の1商品のみとなった。
「健全で持続可能な飲酒文化を目指していることから、高アルコールチューハイの販売を控えることにした」
との理由を挙げたアサヒビールは「責任ある飲酒」をスローガンに“適正飲酒”を推進している。適量を適切なシチュエーションで飲むべし、といった意味合いだろうか。
「そもそも身体によくない」
コロナ禍からの健康志向で“あえて飲まない”ソバーキュリアスというスタイルは若い世代に浸透している。「周りが酔っぱらう姿を見てみっともないと感じた」(20代)、「二日酔いなどで仕事に支障が出るのはタイパが悪い」(30代)などの声は、お酒好き読者には耳の痛い話だろう。2019年の厚生労働省の調査では、週3日以上の飲酒習慣があると答えた20代は7・8%と、10人に1人もいない。
アサヒビールのストロング系販売縮小は“若い人のアルコール離れ”の影響もあるだろうが……。
「ストロング系はそもそも身体によくないです」
と語るのは『酒好き肝臓専門医が教えるカラダにいい飲み方』などの著書を持つ栗原クリニック・栗原毅先生。
知っておくべき“純アルコール量”
「現在、厚生労働省が掲げる“節度ある適度な飲酒量”は純アルコール量にして1日平均20g。20gというとビール500ml缶1本程度。日本酒なら1合。アルコール度数9%のストロング系チューハイなら350ml缶1本で、すでに適量をオーバーしてしまうのです。まずは飲むお酒の純アルコール量を知って」(栗原先生、以下同)
純アルコール量とは聞きなれない言葉だが、その計算式はこうだ。酒の量(ml)×アルコール度数×0・8。つまりストロング系チューハイの350ml缶なら、350×0・09×0・8=25・2gとなる。
「ロング缶だと約40g。テキーラ4杯分の純アルコール量があります。ストロング系はとにかく飲みやすい。テキーラ4杯を飲むのはムリでもロング缶1缶ならなぜか飲めてしまう人は多いでしょう」
“泥酔して変なLINEを送っていた”“記憶をなくし、どうやって家に帰ったか覚えていない”“朝起きたらケガをしていた”といったアブナイ話もよく聞く。さらに……。
「原材料に果汁など果糖が含まれているものは吸収が早く、アルコールとダブルで摂取すると肝臓に負担をかけます。脂肪肝を誘発することも。またウオッカや甲類焼酎など、無味無臭のお酒が使われているものは原材料も不明なものが多いのに口当たりがよくて気づかないうちに飲みすぎてしまう。これが怖いですね」
一時は“危険ドラッグ”“飲む福祉”とも揶揄されたストロング系。
「それでも飲みたいときは、炭酸で割って、時間をかけて飲んでください」
お酒を飲まない若い人に“酒カス”などと言われないよう、適正飲酒を心がけたい。