松本人志

 お笑い界の王が、長きにわたって主戦場としていたテレビから消えた。『ダウンタウン』の松本人志。'23年末から“告発者”が絶えず今にまで続いている、王が行ってきたという性加害疑惑。

 一連の報道を受け、松本は1月8日に活動休止を発表。収録済みの番組はその後もしばらく放送されたが、現在では松本の姿はほぼ芸能界から消えた。

「松本さんは名誉毀損で提訴したことを明らかにしていますが、証拠の有無など、裁判は年単位の時間がかかる。その間、松本さんのテレビの仕事はほぼないでしょう。ネットなどで何らかの活動をする可能性はありますが、これまでのテレビ出演で得ていたギャラは今年から数年ゼロといっていい」(芸能プロ関係者)

年収は「5億円を下らない」

 活動休止前、松本のレギュラー番組は、コンビで週3本。単独で週4本あった。

「松本さんのギャラは1本200万円程度。レギュラー以外の特番にも多く出演しており、もろもろ含め、吉本の取り分を引いても年収は5億円を下らないでしょう」(同・前)

 '23年に得た多額のギャラにかかる税金は今年、納めなければならない。収入激減のなか、松本が今年支払う金額は……。

「所得税の最高税率は45%、住民税の税率は一律10%です。松本さんのようなトップクラスの芸能人は課税所得金額の半分以上を税金として徴収されています。仮に青色申告者で収入5億円、経費2億円として所得3億円として所得税を計算すると、所得税は約1億3000万円、住民税は約3000万円になります

 そう話すのは、『税理士法人松本』所属の税理士・石原俊嗣氏。

特に住民税は1年遅れで課税されるため、活動を休止するような場合は、その年の収入以上の住民税を払わなければならなくなることもあります。貯金を取り崩して払う人も多く、気持ちとしては大きな負担になるでしょう」(石原氏、以下同)

芸能人の節税対策

 今回、試算したのは社会保険料や生命保険料控除などを考慮していない場合の税額。

「基本的に出演料などの報酬が支払われるときには、源泉所得税が差し引かれています。芸能人への出演料などは所得税法204条に源泉徴収税額の徴収金額が定められており、報酬から徴収される源泉徴収税額は報酬の10・21%です。

 ちなみに1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、その超える部分については20・42%となります。そのため、すでに納めている所得税があるので、先ほど計算した1億3000万円からすでに納めている金額を差し引いて、不足分を3月15日までに納めることになります

初めて年収が1億円を超えたのは「25歳」と話していた松本。以降、35年間右肩上がりの活躍を見せ……

 お笑い芸人は、特に売れっ子であれば、節税のために『個人事務所』を設立し、事務所から支払われるギャラはそちらに振り込まれる形としている。松本人志も個人事務所を持っている。芸能人が個人事務所を持つことでできる節税はどのようなものか。

「報酬が個人会社に入っている場合は、松本さんのようなトップクラスの芸能人であれば節税対策はもちろん行っていると思います。ギャラの管理だけしている会社だとしても、会社は会社なので、身内を役員や従業員として雇用し、給料を支払うことで個人としてギャラを受け取るより、かなり節税することができます。

 さらに会社では社宅、社用車、支払保険料、接待交際費などさまざまな経費を計上することができます。中小法人の法定実効税率は34%前後ですので、個人の最大税率の約半分なので、節税効果は絶大ですよね」

 お笑い界のトップに君臨した、王の復権はあるのか─。