《この度の公演中止は私ども東宝株式会社の本公演製作における見通しの甘さ、製作体制の不行き届きが招いた結果でございます。ご観劇を楽しみにされていたお客様をはじめすべての関係者の皆様に心より深くお詫び申し上げます。》
2月4日、東宝株式会社は2日後に開幕が迫っていたミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』が、“準備不足”のため公演を中止すると発表した。
《プロ意識の欠如》
「コロナ禍には、出演者やスタッフが感染したために公演を中止することはありましたが、初日までに準備が間に合わない、という理由は前代未聞。《確認作業が想定以上に必要になった》《進行の遅れを挽回することができず》と東宝は説明しましたが、見通しが甘かったの一言につきるでしょう。中止の発表を受け、SNS上では東宝を非難する声で溢れかえりました」(スポーツ紙記者)
《有給休暇をとって楽しみにしていたのに》
《観客側は転売防止のために厳しいルールが設けられているのに…運営側のプロ意識の欠如だし、常識を疑う》
《何か月も前から本番スケジュールを出した意味は?エンターテイメント業としてどうなの?》
《2日前にこんな発表するとか普通の企業だったら首飛ぶレベルでしょ、発表遅すぎ》
《裁判やったらほぼ確で勝てるくらい東宝側に分が悪い》
などと、中止を嘆き悲しむ声や批判の声ばかり。東宝への“同情”は見当たらない。
「コロナ禍の舞台やミュージカルでは、開幕当日になって突然中止になるということが珍しくなかった。どれだけその日を心待ちにしていたとしても、“仕方ないから”と不満や愚痴をこぼさず、我慢してきた人は大勢いる。今回の運営側は、そうした観客たちをないがしろにしている、と責められるのも仕方ないでしょう」(演劇ライター、以下同)
過去にもあった“準備不足”
さらに、演劇・ミュージカルファンの間では、東宝による過去の“未遂”も指摘されているという。
「2023年10月に上演されたミュージカル『のだめカンタービレ』ですね。開幕直前の関係者向けのゲネプロでは、機構トラブルのために3回も中断が入ったとか。初日の公演は中断なく進んだものの、トラブルが何か所かあってスタッフが裏でザワザワする声が聞こえてきました。あれこそ準備不足だったと思いますよ」
“未遂”は、上白石萌音と橋本環奈が主演した2022年の舞台『千と千尋の神隠し』でも。
「全公演のチケットが即完売した人気作ですが、十分に事前準備ができていたとは言い難い。コロナで稽古が何度も中止され、海外在住スタッフとの連携不足もあり、稽古スケジュールがカツカツに。舞台での通し稽古は1度もできず、上白石さんに至ってはゲネプロが中止されました。橋本さんはこれが初舞台でしたが、ぶっつけ本番だったといっても過言ではありません」
こうした東宝の“ギリギリ癖”を知っているファンは少なくない。
「コロナなどの“納得せざるをえない”理由ではなく、準備不足。また、過去にも“未遂”が何度もあったこと。《その時の反省をもっと生かせなかったのか》と、総合的にファンの怒りは頂点に達しているわけです」
東宝側の詳細な説明が待たれる。