2023年10月放送の日本テレビ系ドラマで実写化された、漫画『セクシー田中さん』の原作者・芦原妃名子さん(享年50)の急死をめぐる騒動が収まらない。
《攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい》1月28日のX(旧ツイッター)投稿を最後に行方がわからなくなり、翌日に亡くなったことが伝えられた芦原さん。日テレと脚本家との間で起きた、ドラマ脚本に関したトラブルも一因と目されている。
ネットではドラマを制作した日テレとプロデューサー、さらに脚本変更の経緯を明かしていた脚本家に対する批判の声が上がっていたことを顧みてか、早々にドラマ公式HP上でお悔やみのコメントを掲載。が、1月30日の『DayDay.』でMCの山里亮太が、
「日本テレビの方からも(お悔やみの)コメントとして出てたんですけれども、少し思うのは、“万全な体制をこちらは取ってましたよ”というふうに取られてしまう、そう感じるような文言だったので。そうじゃなく、多分日本テレビももちろんこのことに関しては今から徹底的に動くんだろうなと思います」
と指摘してみせたように、局のコメントが言い訳や自己保身と捉えられて火に油。さらに脚本家に飛び火させる事態を招くと、《関係者個人へのSNS等での誹謗中傷などはやめていただくよう、切にお願い申し上げます》と注意喚起に努めたのだった。
「コナンを撤退させろ」小学館に迫る声も
ところが、以降は自局の情報番組やワイドショーで騒動を取り上げることなく、山里が促したはずの「徹底的に動く」姿勢が見られない日テレ。問題に蓋をするような対応にネット上の批判はやまず、しまいには『セクシー田中さん』の版権を持つのが小学館であることに、
「コナンを撤退させろ」などと同じく小学館が発行する漫画雑誌で連載中の、同局でアニメ放送されている『名探偵コナン』や『葬送のフリーレン』などの作品を、“同局からの引き上げ”を求める声も出てしまった。
さらに拍車をかけたのが、2月6日に小学館が社員向けの説明会を開き、“騒動の経緯を含めた対応を社外発信しない旨の説明をした”との報道。つまりは日テレ同様に“ダンマリ”を決め込む手筈を整えたというのだ。
翌7日にはネットで広まることとなり、「社外発信の予定なし」がXのトレンドに上がるなど、事後対応が疑問視された小学館。すると同日発売の漫画雑誌『週刊少年サンデー』に起きていた“異変”にも、即座に反応されてーー。
《サンデーで、高橋留美子先生、青山剛昌先生、満田拓也先生、久米田康治先生が揃って休載なのね。》
《なにやら小学館の漫画家達が騒ついているらしいね… コナンの作家さんも連載休止にするとかしないとか…》
《まさか大御所がボイコット!? そういや『犬夜叉』も『コナン』も日テレだよな……》
4人の漫画作品が休載になった理由
なんでも『サンデー11号』では青山剛昌氏が手掛けるコナン、高橋留美子氏の『MAO』、満田拓也氏の『MAJOR 2nd』、久米田康治氏の『シブヤニアファミリー』と人気作品が揃って休載。『セクシー田中さん』をめぐる騒動への“大御所”の意思表示と受け取る、中には“ボイコット”と俄然沸き立つ、不確定情報を拡散させるユーザーも出る始末。
果たして、青山氏らの休載は本当に小学館への“抗議”なのだろうか。少年漫画をこよなく愛する、漫画雑誌に携わる編集者兼ライターは「まず落ち着きましょうか」と苦笑いする。
「確かに高橋先生がお休みになるのは珍しいですが、久米田先生と同様に今週号の休載はもとより予定通りのスケジュールだと聞きます。そして長期休載もあった満田先生も体調面を考慮して近年は隔週連載をとっていますし、青山先生も定期的に2、3週間お休みすることも珍しくありません。
他にも『ゲッサン』(小学館)で『MIX』を描くあだち充先生も休載が多く、それでも大御所作家の作品掲載を待ち続けるのが“サンデー読者”。もちろん、各先生とも芦原さんの訃報に思うところはあるでしょうが、今回もたまたま休載が重なっただけで、プロとして“ボイコット”に出るはずもありませんよ」
1994年1月の連載開始から今年で30周年のアニバーサリーイヤーを迎え、4月には新作映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』公開も控えているコナン。純粋に作品を楽しみたい読者とファンのためにも、日本テレビと小学館の納得いく説明が待たれるが……。