受験シーズンまっただ中。そんなタイミングで山梨県にキャンパスを構える昭和大学医学部に関する“受験問題”が話題になっている。
同大学の医学部にも設けられた山梨県の“地域枠”の出願者に、誓約書を書かせたというのだが――。
医学部の“地域枠”とは
「医学部の“地域枠”とは、医師不足が深刻な地域で設けられる制度であり、卒業後も決められた年数は大学のある地域で働くことを条件に出願が許される取り組みです。
地域枠では、奨学金などの金銭面のサポートもあるので、裕福でない家庭でも受験しやすいんです。一般枠と比べると、合格最低点を低く設定している大学もあるようです」(全国紙記者、以下同)
昭和大学での山梨県の地域枠による受験実施は、今年が初めてだった。
「昨年は新潟県、静岡県、茨城県において、地域枠を用いた試験が行われており、倍率は12〜13倍程度でした。今年の地域枠というと、山梨県以外では1次試験の合格者が出ましたが、山梨は“合格者なし”だったようです」
現在SNSで拡散されている、医学部出願の際に必要となる誓約書とは、いったいどんな内容なのか。
《入学試験に合格した場合は入学することを確約し、山梨県医師修学資金貸与制度(第二種)を利用するための契約を山梨県と締結します》
《医師免許取得後 15 年間のうち 9 年間を山梨県知事が指定する山梨県内の医療機関の特定診療科(内科、外科、脳神経外科、整形外科、救急科、総合診療、小児科、産婦人科、麻酔科)において診療に従事します》
《医師免許取得後、死亡又は重大な心身の故障等により医業に携わることができない場合を除き、結婚、介護、子育て、家業の継承等、多くの者が経験する事情では就業義務が消えないことを理解しています》
《違反した場合、出身高等学校に連絡が行く可能性があることを理解しています。》
といったことなどが記載されている。
縛り付けのような就業条件
合格した場合には辞退することができない。医師になっても、最低9年間は山梨県が指定する医療機関で働かなくてはならず、診療科まで指定されてしまう。
結婚や介護、子育てなどでは、仕事を休めない(就業義務)という、かなり縛り付けられた条件となっているのだ。
さらに、違反した場合は出身高校に連絡がいく可能性があるという“脅し”のような条件も書かれていた。
衝撃的な内容にネット上では、
《ここまでするくらいなら医師の給与増やした方が早いような気がする》
《診療科まで限定されるのは確かに奴隷契約》
《就業義務消えないのはアカンきがする》
などの批判的な声が集まる一方、
《どこの地域枠も同じ感じだけどな》
《受験者本人が条件について納得の上で受験するのであればいいんじゃないか?》
といった声も上がっていた。
この誓約書について昭和大学に確認したところ、山梨県地域枠選抜入試に関するものであるとしたうえで、
「修学資金の貸与を受けるための契約を締結することや、所定の医療機関等で一定の期間勤務することについて誓約することは、一般的な内容であると認識しております」
との回答だった。
地方の医師不足と医師を目指す人たちの将来の選択肢と、双方がうまくいく着地点を見つけてほしい。