【推しの子】実写化スペシャルビジュアル(東映株式会社公式HPより)

 日本テレビ系で昨年10月期に放送された連続ドラマ『セクシー田中さん』の原作者で漫画家の芦原妃名子氏が、今年1月29日に急逝。自ら命を絶ったとみられているほか、同氏がドラマ化に際して出していた条件が守られなかった疑いなども伝えられていることから、“漫画の実写化問題”も拡大中だ。

 2月8日には、芦原氏が連載していた『姉系プチコミック』を出版する小学館の「第一コミック局編集者一同」から声明が発表され、ネット上で一定の評価を受けている反面、《この想いを小学館と日テレの上層部がどれだけ共有してるだろう?》《何かあった時に真っ先に責任取るのは上層部の仕事なんじゃないのか》といった苦言も散見される。

「漫画の実写化に関しては、以前から原作ファンが《イメージと違う》《改悪》《原作リスペクトが感じられない》とネガティブに受け取るケースが少なくありませんでしたが、『セクシー田中さん』の問題をきっかけに、ほかの“実写化経験のある原作者”からもさまざまな声が出てきました」(テレビ誌ライター)

『海猿』原作者は苦言も

 2月2日には『海猿』(小学館)の原作者・佐藤秀峰氏がnoteを更新し、過去にフジテレビ系でドラマ化され、映画化もした同作の“主演俳優”のもとへ挨拶に行った際、《原作者?しゃべんなきゃダメ!?》と言っているのを聞いたと暴露。《嫌なヤツだと思いました》とも打ち明けた。

 同投稿を受け、実写版で主演を務めた伊藤英明はインスタグラムで《記事を読みました。『海猿』は僕にとって一生の財産です》などとコメント。しかし、ネットユーザーからは《これじゃ返って原作者を不快にさせるだけ》《「そのときのことは覚えていませんが、失礼だと思われたのなら申し訳ありませんでした」という一言でもあれば、少しは印象が良くなったのに》との意見が相次いだ。

 一方、『ダンダリン一〇一』(講談社)の作画を担当した漫画家・鈴木マサカズ氏は同日付のX(旧・ツイッター)で、日テレ系『ダンダリン 労働基準監督官』に“ドラマオリジナルキャラ”の南三条和也として出演した松坂桃李について《ドラマの打ち上げの際にわざわざ挨拶にきてくださって「(自分が)原作にないキャラですみません」って、こちらは「いやいやいやいやいや!そんなことまったく気にしてないので!(本心)」という感じで、それ以来、大ファンになりました。応援しています》と、好印象を告白。

 また、『帝一の國』(集英社)の原作者・古屋兎丸氏も、2月4日にXで《原作リスペクト問題が騒がれてる昨今ですが印象に残ってるのは映画「帝一の國」の菅田将暉くん。彼は展覧会に間宮祥太朗君と来てくれたり、撮影現場でも沢山話しかけてきてくれ家族にも優しく接してくれました》などと主演の菅田、 共演の間宮にまつわるポジティブなエピソードを明かした。

 このように、原作者が好意的に振り返ることができる実写化もあるというのは、原作と俳優、双方のファンにとっても喜ばしいことだろうが……。

「気になるのは、実写映画『【推しの子】』の行方です。『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載されている同題漫画(原作・赤坂アカ氏、作画・横槍メンゴ氏)は、昨年TOKYO MXなどで放送されたアニメ版も、YOASOBIによる主題歌『アイドル』が大ヒットしたことでも話題に。それがAmazonと東映の共同プロジェクトで実写化され、今冬公開予定と発表されています」(スポーツ紙記者)

芸能界や実写化に「良い事ばかりを言っていません」

 1月末にはメインキャストも発表され、主人公のアクア役に抜てきされたのはロックバンド・インナージャーニーの元ドラマーで、俳優としても活躍する櫻井海音。アクアの双子の妹・ルビーは元=LOVEの齊藤なぎさ、2人の母親で“伝説のアイドル”となったアイは元乃木坂46・齋藤飛鳥が演じ、そのほか原菜乃華、茅島みずき、あの。の出演も伝えられている。

 同作の舞台は芸能界で、原作には“実写化をめぐるエピソード”も含まれている。実写版『【推しの子】』の情報解禁にあたり、原作の赤坂氏も《【推しの子】は芸能界に対して様々な言及をしている作品です。そして漫画作品の実写化についても触れています。良い事ばかりを言っていません。批判的な事も言っています》などとコメントしていた。

『推しの子』撮影中に休憩する櫻井海音

 さらに《キャストの皆様にも制作陣の皆様にも「本当に大丈夫ですか?」と聞きたくなる気持ちでした》《芸能界を舞台にした推しの子という作品を、漫画家の目線でなく、正に芸能界という現場で、本物の現場にいる人々が作ろうと言う気持ちはどういうものなのか そして出来上がるものはどういうものなのか 私はとても興味があります》とも述べており、ネット上の原作ファンの間でも、

《日本の芸能界を描く作品だからこそ「話題性」以上の覚悟をもって制作して欲しい》

《生半可な気持ちで実写化できない内容》

《制作側も相当な覚悟で臨んでると思いたい》

 などと言われている。

「現状では、同映画に関して《キービジュアルの時点でもうコレジャナイ感がプンプン》《なんとも言えんチープ感満載》といった否定的な書き込みが多い状態です。赤坂氏はコメントからして、“なにがなんでも実写化を成功させたい”というより、“どう制作されるのか”ということに着目している様子ですが、出演者たちは相当なプレッシャーを感じているでしょう」

 制作陣はキャストや原作者へのフォローを徹底しつつ、出版社とともに、原作に対するリスペクトを忘れずにいてほしいと願うばかりだ。