「健一容疑者の母親が亡くなったころからおかしくなりだした」(近隣住民)
警視庁捜査一課は14日、東京都台東区の会社役員・細谷健一容疑者(43)と、妻で同役員・志保容疑者(37)を殺人の疑いで逮捕した。昨年3月12日ころ、両容疑者は共謀の上、自宅マンションで次女の美輝ちゃん(当時4)に何らかの方法でオランザピン、エチレングリコールを摂取させて殺害を企てた。翌日、美輝ちゃんは同薬品作用の競合による中毒で死亡。
「オランザピンは抗精神病薬で精神的に不安定な志保容疑者が常用していたもの。エチレングリコールは自動車の不凍液など主に工業用に使われるもので、劇薬。2つの薬品は両容疑者のスマートフォンやパソコンを利用して購入したことも判明している」(全国紙社会部記者)
事件当日を振り返る。12日の午前中、健一容疑者は部屋に志保容疑者と美輝ちゃんを残して、長男と長女を連れて外出した。夜になって帰宅すると、美輝ちゃんの寝息が荒いのを確認したが、
「そのまま朝になり、健一容疑者は長男と長女を学校の送迎のために外出。夜になって、健一容疑者が美輝ちゃんの異変に気づき“息をしていない”と119番通報。搬送先の病院で死亡するも、不審に思った病院が警察に通報した。その後、昨年8月に警察が家宅捜索をして容疑を固めた」(同・社会部記者、以下同)
亡くなった次女と健一容疑者の姉の遺体から同じ成分が検出
警察の取り調べに対して、健一容疑者は容疑を否認、志保容疑者は黙秘。だが両容疑者には、もうひとつの疑惑も。
「2018年に健一容疑者の姉(当時41)も不審な死にかたをしていたのだが、保存されていた遺体の一部から、エチレングリコールが検出された」(同・社会部記者)
凶悪な事件の容疑がかかる夫婦は一体どんな人物なのか。
ふたりは志保容疑者が勤務していた飲食店で出会い、15年前に結婚。千葉県流山市で居を構えるも、健一容疑者の両親は結婚には反対だったようだ。ふたりの間に長男、長女が誕生すると、8年前に健一容疑者の父親が所有する現在のマンションに引っ越した。
「最上階に母親と父親、健一容疑者の姉、別の部屋に健一容疑者一家は住んでいた。だが、母親が亡くなると、容疑者一家が最上階へ移りました」(前出の近隣住民、以下同)
18年ごろ、父親は容疑者一家と同居し、姉が別の部屋へ。
夫妻が姉を大声で罵倒して、姉がへたりこんでいた
「姉と容疑者夫婦の仲が悪かったみたい。数回、夫妻が姉を大声で罵倒して、姉がへたりこんでいる姿を見ました。姉はおとなしい人で、ほとんど外には出てこなかった」
このトラブルの数か月後、姉は謎の死を遂げる。すると、健一容疑者は父親が創業した『ホソヤ産業』の代表取締役に就任。一部報道では、健一容疑者と姉は相続問題でもめていたとも。
父親は皮革の加工・販売業で財を成し、自宅マンションほか不動産賃貸業や、浅草にある和風観光ホテル経営もするようになっていた。
社長就任の数日後、今度は父親が白血病で他界。
翌19年、美輝ちゃんが誕生するが、育児トラブルなのか夫婦ゲンカの末、志保容疑者が洋服をベランダで燃やすボヤ騒ぎを起こす。この一件はネグレクト(育児放棄)とみなされ、子ども3人は児童相談所が一時保護するも、わずか半年で解除されている。さまざまなトラブルを起こす一家だったが、健一容疑者の近所の評判は上々だった。
「毎朝夕、子どもの学校の送迎はするし、食材の買い出しもしていた。美輝ちゃんをベビーカーに乗せて散歩もしていたしね。きちんと挨拶はしてくれるし、好印象だった」
一方、志保容疑者は、
「ほとんど外に出ず、部屋にこもりっきり。子どもの面倒を見ている姿も、一度も見なかったね。健一容疑者に尋ねると“子育てが苦手みたいで”って。エレベーターで2、3回すれ違ったが、挨拶を交わすこともなく、ただただうつむいていました」
昨年8月、警察の任意での事情聴取を受けたという健一容疑者の知人は、過去に一家の部屋を訪問。そこには異様な光景が広がっていたという。
「部屋じゅうにゴミが散らかっていた。ゴミ袋の下に、母親と次女の骨つぼも紛れていて……。供養している様子は微塵も感じられなかった」(健一容疑者の知人)
謎多き事件、警察による真相究明が待たれる。