《日本でいちばん明るい朝番組》─。
そう掲げるのは、TBS系で平日の朝に帯で生放送されている『ラヴィット!』。ところが、そんなキャッチフレーズとは真逆な、“真っ暗”な事態が裏で起こっていた。
「'21年3月に放送が開始された、お笑いコンビ『麒麟』の川島明さんとTBSの田村真子アナウンサーが司会を務める朝の情報バラエティー番組です。開始当初は視聴率で苦戦しましたが、ニュースやワイドショー要素がいっさいなく、バラエティーに振り切ったスタイルが注目されるように。放送後にX(旧ツイッター)でトレンド入りすることも珍しくありません」(テレビ誌ライター、以下同)
話題になるにつれ、さまざまな“派生”も生まれている。
「'22年と'23年には年末特番の『ゴールデンラヴィット!』として約3時間の生放送が行われました。東京や大阪には『ラヴィット!カフェ』が期間限定でオープン。ほかにも数々のイベントが行われるほどの人気ぶりです」
「素人か!」「辞めちまえ」いきすぎた指導
そんな番組で何が起こったというのか。TBS関係者が声を潜めて話す。
「昨年12月、プロデューサーの1人であるA氏からパワハラを受けたと、部下のスタッフが会社に訴えたんです。A氏はその後、現場に来ることなく、異動となったことが1月にスタッフ全員に通達されました。理由までは発表されていませんが、例年、このタイミングでの異動はないので、パワハラが関係しているのは明らかですね」
日本一明るい朝番組の陰で行われていたパワハラとは、いったいどんな内容なのか。
「A氏は多くの人がいる会議中、気に食わないことがあると“つまらない”“素人か!”と公開説教。“辞めちまえ”といったニュアンスのことを言われた人もいました。会議以外でもA氏は常日頃、部下に対して厳しく当たっていました。叱責をするときは、決まって電話で行われたようです。LINEなどではパワハラの証拠として文章が残ってしまいますからね。こうした“暴言”を受けたスタッフの中には、体調を崩した人もいると聞いています」(TBS関係者、以下同)
いきすぎた指導が積み重なった昨年12月。ついに部下が耐えられなくなる出来事が─。
告発の決め手になった“ブチギレ事件”
「12月15日の放送回で、金曜レギュラーでタレントの近藤千尋さんが誕生日ということで、お祝いの企画が決まりました。当日の生放送では、EXITの兼近大樹さんとTBSアナウンサーの南波雅俊さんがB'zの『Happy Birthday』を熱唱すると、近藤さんは号泣。レギュラーメンバーのほか、シーズンレギュラーの乃木坂46の弓木奈於さんやゲストとしてオードリーの春日俊彰さんらも出演して、かなり盛り上がったのですが……」
この放送に向けた会議でもA氏による問題の言動があったという。
「この回の台本を、あるディレクターが作成。12月5日にA氏やディレクター数人のほか、ADや演出担当が参加した打ち合わせが行われました。ところが、A氏はそのディレクターが持ってきた誕生日お祝い企画の演出に不満があったようでブチギレ。でも、どこが悪いのか具体的な指摘がないまま、“おまえら全員、外に出ろ!”とディレクターたちに対して会議室の外に出るように怒鳴ったといいます。A氏本人は“気分が悪いから帰る”と言って、そのまま会議を抜けてしまいました。結局、A氏抜きでディレクターを中心に台本を書き直して、放送に間に合わせたようです」
この会議での出来事が決め手となり、A氏をパワハラで訴えるスタッフが出てきたという。その後はというと……、
「この放送後、A氏は当初から予定していた長期休暇に。年内には休みが終わり、戻ってくる予定でしたが、休暇明けに会社から呼び出されて事情聴取。しばらくして異動が発表されました。番組のプロデューサーがいきなり異動になるという事態で、さぞや現場はバタついているかと思いきや“影響はない”“むしろみんなのびのび仕事ができる”と話すスタッフもいて、職場の環境は改善されたようです」
肉体関係を迫った疑惑の過去
こうして“懲罰”異動となったA氏。実は以前にも担当していた番組で問題を起こしていた。
「現在も放送中の『東大王』でチーフディレクターを務めていた'19年、女性ADへの不適切行為があり、異動になったと『文春オンライン』が報じました。報道によると、同番組のハワイロケの際、宿泊していたホテルの部屋にADを呼び出して、肉体関係を迫ったそうです。A氏は自宅謹慎となった後、制作局からの異動を命じられたようです」(別のTBS関係者、以下同)
この騒動の後、制作の現場からは2年ほど離れていたが『ラヴィット!』で戻ってきていた。
「A氏はTBSの所属ですが、子会社であるTBSスパークルに出向し、'22年7月から『ラヴィット!』の金曜日担当のプロデューサーになりました。プロデューサーになった当初はおとなしかったようですが、1か月ほどすると“本性”を現すように。『ラヴィット!』で再び制作に戻ってこられたにもかかわらず、またパワハラで異動とは、懲りていないんですかね」
2度も問題を起こしたA氏だが、仕事はできる人だったという。
「バラエティー番組での仕事ぶりはよく、会社からの評価も高かったようです。後輩からも番組への向き合い方や独特な発想に関しては尊敬されていました。TBSが制作する映画の監督を務めたこともありましたね。テレビマンとしては優秀だったようですが、人としては改善すべき点があったということです」
A氏による日常的なパワハラ疑惑、会議室での出来事、今回の部署異動について、TBSとA氏の出向先であるTBSスパークルに事実関係を問い合わせたが、どちらも、
「人事や番組の制作過程については、お答えしておりません」
という回答だった。
視聴者だけでなく、スタッフ含めて関わる誰もが“Love it(お気に入り)”な番組を目指してほしい。