3月20日に韓国・ソウルで行われる開幕戦に向けて、現在調整中のドジャース・大谷翔平。
「昨年9月に右肘の手術を受けましたが、打撃練習では外野フェンスを越える打球を何本も放ち、実戦形式の練習も行っています。まずは打者としての復帰に向けて順調に段階を踏んでいるようです」(スポーツ紙記者、以下同)
名門大学に進学した後輩
人気球団のドジャースに移籍し、これまで以上に話題となっている大谷。一方、世界に羽ばたこうとする花巻東高校の後輩も注目を集めている。
「現在、3年生の佐々木麟太郎くんがアメリカの名門・スタンフォード大学への進学を発表しました。大谷選手の高校時代の通算本塁打数が56本に対して、佐々木くんは140本と驚異的。日本のプロ野球の球団からドラフト1位指名が有力視されていましたが、指名されるために必要なプロ志望届を提出せず、進学を選んでいました」
11歳離れている大谷と佐々木くんだが、接点は多い。
「佐々木くんは中学時代、岩手県の金ケ崎リトルシニアに所属。そこで監督をしていたのが大谷選手の父である徹さんでした。“二刀流の父”に指導を受け、花巻東高校に進学。大谷選手も在学時につけていた背番号“17”を背負ったこともありました」
スタンフォード大学は世界屈指の名門大学として有名だが、どのような大学なのか。野球文化學會会長で、米球界にも詳しい名城大学准教授の鈴村裕輔氏に話を聞いた。
「スタンフォード大学の卒業生には、世界トップクラスのIT企業の経営者やエンジニアが多く、IT社会を牽引する人材がたくさんいます。授業ではディスカッションや教員に指された際に即答できるように準備をする必要があり、リポート提出といった課題も多い。そのため、毎週10冊以上の文献を読まないといけません。また、全米大学体育協会(NCAA)の設けた基準の学業成績を下回ると、試合に出場できないといったこともあります」
「学力は東大、野球は早稲田」
野球部の強さに関しては、どうなのだろうか。
「1987年と1988年には全米チャンピオンになっていますし、メジャーリーガーも多く輩出している、古豪という感じです。日本の大学で例えるなら、学力でいえば東京大学、野球の実績でいえば法政大学や早稲田大学のような感じです。そのような環境で佐々木くんはスポーツと学業という新たな二刀流を切り開いていくかもしれません」(鈴村氏)
“シン・二刀流”を目指して勉強も野球もトップクラスの場所に身を置くことになる佐々木くんは、どんな人物なのだろうか。花巻東高校野球部でトレーナーを務め、自身も女子重量挙げの選手として活躍した冨田史子さんによると、
「自分がどういった動きが得意なのかなど、身体の特徴をよく理解していました。私が生徒たちにトレーニング方法などを講義した際には、彼は積極的に質問や自分の意見を出していましたね。“頭も切れる”という印象です」
憧れの先輩の存在も大きかったようだ。
「メジャーリーグで活躍している“(菊池)雄星さんや大谷さんのようになりたい”というのは口に出していましたし、2人を超えたいという強い気持ちがありました。ロールモデルがあって、監督さんやコーチからいろいろな話を聞けて、常に刺激がある学校なので、花巻東高校はいい環境だったと思います。これからの成長が楽しみです」(冨田さん)
佐々木くんのドラフト指名は早くて2年後。大谷とメジャーの大舞台で対峙する日が待ち遠しい。