韓国・釜山で開催された世界卓球選手権・団体戦。女子チームは決勝戦で中国に敗れ5大会連続の銀メダルで終わったが、その結果以上に伊藤美誠(23)選手が注目を集めた大会と言えるかもしれない。伊藤は2月はじめにパリ五輪落選が大々的に報じられ、世界卓球選手権団体戦も2試合の出場にとどまったものの、ベンチで的確なアドバイスを送る姿はネット上で《伊藤監督》と称賛された。
出場機会のない伊藤美誠が助言する姿に大きな反響
女子団体戦に出場した選手は伊藤のほか、張本美和・早田ひな・平野美宇・木原美悠の計5名。決勝戦は第1試合で張本が孫穎莎に敗れたものの、第2・第3試合では早田と平野が世界ランキング3位の陳夢と2位の王芸迪に勝利した。第4試合では孫穎莎に早田がストレート負け。イーブンで迎えた第5試合は張本が陳夢を相手に第1セットを奪う善戦を見せたものの、1-3で敗北を喫した。
「決勝戦で伊藤の出番はありませんでしたが、他の選手に手振りも交えて助言する姿は大きな反響を巻き起こしました。帰国後の記者会見でも伊藤のアドバイスについて質問が飛び、伊藤によれば選手がベンチに戻ってきた時に安心できる空間を作りたかったそう。
《アドバイスというよりは選手の考えを広げたり第三者目線で選択肢を伝えることを基本にやっていた》
というコメントからも、選手ファーストの考え方であると同時に伊藤自身の経験が活かされていることも伝わってきます」(スポーツ紙記者)
振る舞いが本当にお見事
伊藤の“ベンチでの活躍”にネット上では、
《第一線で活躍する選手だからアドバイスを受ける方も安心できるんだろうね》
《伊藤選手の振る舞いが本当にお見事。仲間をどうやって支えるかもプロの資質なんだなってわかる》
《冷静に助言しながら手振りも交える伊藤監督、めちゃくちゃ頼もしい》
といった声が続出。また決勝戦で伊藤の出番がなかったことを受けて、
《中国チームを相手にした決勝戦なんだからベテランの伊藤選手に出てほしかった》
《第5試合が伊藤選手だったら優勝の可能性があったかも》
などの意見も見られた。ファンにとって伊藤の存在がどれほど大きいかを窺わせるが、気がかりなのはパリ五輪に対する伊藤の思いだろう。
「選手たちの精神的な支えになる伊藤の姿を見て、パリ五輪でも出場選手の支えになってくれると期待しているファンは多いと思います。ただ伊藤自身は、リザーブとしてパリ五輪へ帯同する気持ちは今のところないよう。会見の中で《これから五輪に出場したい、金メダルを獲りたいっていう選手が帯同するべきかなと思う》《将来を背負っていく選手が経験すべき》と若手選手に委ねる意思を明かしていました」(前出・スポーツ紙記者)
世界卓球選手権団体戦で決勝戦に出場できなかった伊藤だが、タラレバ論はどれだけ言っても仕方がないこと。今回の名監督ぶりを糧に、選手としてのさらなる成長を期待したい。