1月下旬には片頭痛がひどくなり、緊急入院。「ママ、また寝るの?」と幼い娘に言われるほど体調不良でダウンする毎日が続いているという。「おしゃれして出かけていた昔が信じられない。お酒も人付き合いも無理」壮絶な更年期障害との闘いを語ってくれた。
起き上がるのもつらいほどの更年期のフルコース
「痛すぎて、もうわれを失っていましたね。救急車で運ばれるとき、サイレンが頭に響くのが嫌で、“止めてください!!”って泣き叫んでいたくらい。でも“サイレンを止めたら急いで走れないから、ちょっと我慢してください”と言われて」
と語るのは、タレントの上原さくら(46)。1月29日、片頭痛の発作により救急搬送され、そのまま4日間の入院生活を送った。実は当初週刊女性の取材はその当日に予定されていたが、入院の知らせが入り急きょ延期に。退院を待ち、回復後改めて話を聞いている。
「この前はキャンセルしてすみませんでした。もともと片頭痛持ちで、年とともに年々ひどくなっている自覚はありました。でもここまでひどいのは人生で初めてで」
入院中は激痛で身動もできず、食事はおろか、トイレの世話も任せたほど。4日目でようやく痛みが和らぎ、無事退院の運びとなった。とはいえ片頭痛が寛解したわけではなく、爆弾を抱える毎日だ。
「30代のとき頭痛外来で“若いころから片頭痛持ちで頻度が徐々に上がっている人は、更年期になると毎日痛くなることがあるから覚悟したほうがいい”と言われたことがありました。“えー、毎日!? 嘘でしょ?”と思っていたら、本当にそうなりました。更年期によるホルモンバランスの乱れが原因なのだそうです」
初めて更年期の症状を自覚したのは2022年の秋のこと。持病の子宮筋腫と子宮内膜症のため行ったホルモン治療がきっかけだった。
「筋腫がこれ以上大きくならないよう、生理を止める注射をしたんです。女性ホルモンが急激に減るので、更年期のような症状が出ますよと言われてはいたけれど……」
まず悩まされたのが大量の寝汗。全身汗だくで、ひと晩に何度も着替えが必要になり、娘とも寝床を別にした。倦怠感や精神的な落ち込みも。
「朝起きた時点でもう疲れていて、気分は晴れず、いいことなど何一つ思い浮かんではこない。以前精神的な病気で治療したことがあったので、再発したのかなと」
なんとか症状を改善しようと、藁にもすがる思いで始めたのがウォーキング。もともと大の運動嫌いだったが、まずはできる範囲でと、2000歩からスタートしている。食べ物なども更年期に良いと聞けば積極的に取り入れた。
「それでも症状は一向によくならず、結局その治療は中止することになりました。注射をやめ、ホルモンを減らしすぎず増やしすぎない、投薬治療に切り替えています」
するとあれだけひどかった症状の数々も驚くほど改善した。だが、その状態も長くは続かず、1年ほど前から改めて不調を感じるようになったと話す。
「前回はホルモン治療の副作用で更年期の症状が早く強めに出た感じでした。だけど今回は、“あ、本当に始まったんだな”って思っています」
現在の症状は、突然の激しい動悸に、シャワーを浴びたかのようなひどい寝汗、起き上がるのもつらいほどの倦怠感、老眼、肩こりに腰痛と、更年期のフルコース。
「身体のあちこち痛くて整形外科でレントゲンを撮ってもらっても、異常がないと言われてしまう。そんなことがこの1~2年で何回もありました。家事をちょっと頑張ったりするだけでも痛みが出て」
片頭痛は小学生のころからの付き合いで、ひどいときは嘔吐することも。更年期で頻度が増した今は、痛みにより3種類の薬を飲み分ける。
「痛くなり始めた段階で飲めば効く薬と、症状が出て何日かたってからでも効く薬、いろいろな痛みに効く鎮痛薬の3種類で、いつどんな症状で何を飲んだか頭痛ダイアリーに記録しています。それでも急に痛くなるのが怖くて、なかなか予定が入れられなくて」
サボりたいだけじゃないのって思われがち
さらにつらいのが倦怠感だ。寝込むほどのひどいだるさでも、そのつらさがわかるのは本人だけ。周囲の理解を得にくく、ゆえに休む理由になりにくい。
「もともとサボりたいタイプだったから、“だるいから今日は休ませて”って言うと、サボりたいだけじゃないのって思われがちなんですよね」
ただ夫はかなり理解がある様子。ブログには「食欲がなくても栄養がとれるものを」と、寝込む彼女のためにプロテインバーを買い込む微笑ましい写真が。
「最近は夫も理解してくれていると思います。でも以前は泣きながら“仮病じゃないんだよ”って何回も訴えたことがありました。娘はまだ小さいのでよくわかってなくて、“ママまたねんねするの?”なんて言われちゃいます」
出産は43歳のときで、娘は3歳のやんちゃ盛り。更年期を迎えた今、高齢出産での育児に思うところがある。
「若いうちに産んだほうがいいという考えって、今の時代にそぐわないし、私も昔は反発する気持ちがありました。でも実際高齢で産んで、体力に関してはもう認めざるを得ない。更年期の症状を持ちながら子育ては確かに大変」
不調は常につきまとい、時に薬に頼りつつ、主婦として家事育児をこなしては、なんとか日々をやり過ごす。
「昔はおしゃれして遊んでいたいタイプだったはずなのに、あのころの私はどこに行っちゃったんだろうって(笑)」
20代のころは公私共に華やかだった。当時を振り返る。
「あのころは毎晩でも遊べていました。仕事が終わって夜家に帰っても、誘われたら平気でまた出かけていた。でも今は全然そういう気持ちにならなくて……。昔YMOの高橋幸宏さんが、“体調のいい日なんて年に2~3日”とよく言っていたんです。まだ若かった私は“大げさな”と思ってたけど、今は本当にそうだなって実感しています」
では、その年に2~3日の体調の良い日にすることは?
「この前はベッドのマットレスを乾燥させるために裏返しました。元気がないとできないし、年3日ならちょうどいいです(笑)」
近年はテレビの露出も減ったが、これも更年期と少なからず関係があるという。
「今はテレビは無理ですね。眩しい光は片頭痛の引き金になりがちで、照明に照らされると思うだけで冷や汗が出ちゃう。あと更年期になったらシミが一気に増えちゃって。最近のテレビは画質が良すぎて、隠そうにも隠し切れない。だから絶対に嫌(笑)」
本格的に更年期障害が始まって1年あまり。更年期の期間は閉経を挟んだ前後5年の平均計10年といわれ、
「あと8年もあると思うと……。でもなんとか付き合っていくしかないですよね。これをしたら治るなんて劇的なことはないから」
と覚悟を口にする。目下の課題は、いかに前向きに更年期を乗り越えるか。
「みんなで集まってヨガの講師を呼んだり、愚痴を言い合えたりするような、更年期の人が集まるサークルをつくれたらと考えていて。入院したとき“私も更年期でつらいんです、でもつらいって言えないんです”という声をブログにたくさんいただきました。私自身そこで自分だけじゃないんだって思えたし、だから1人じゃないよって伝えたいし、話し合える仲間が欲しい。
コメントの中には“60代になり更年期を乗り越えた今は、小学生のころくらい絶好調です!”という声もあり、すごく励まされました。小学生のころって、いつも駆け回ってたじゃないですか。あんなに元気が出るんだと思うと、ちょっと前向きになれる。みんなと愚痴を言い合いながら、そのときが来るのを待ちたいですね(笑)」
取材・文/小野寺悦子
うえはら・さくら 1977年生まれ、東京都出身。ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞し芸能界へ。ドラマ『ナースのお仕事 2』、映画『デスノート the Last name』など多数の作品に出演。バラエティー番組でも活躍し、人気を博す。’19年には東海大学を卒業、’20年に第1子出産