15歳から女優として第一線で活躍し続ける由美かおるさん。長年、超過密スケジュールをこなしながら、奇跡のような美貌とミニスカートが様になる体形をキープ。さらに更年期の不調や加齢による足腰の痛みも感じたことがないという。「年齢のせいにしない」由美さん流の健康と若さのヒミツとは―。
更年期の時期も不調で悩むことなく元気に
15歳でデビューし、芸能生活58年目に突入した由美かおるさん。73歳の現在もデビュー当時の体形を維持しており、15歳のころ着ていた服も入るというから驚きだ。
「芸能のお仕事は華やかに見えますが、実はとてもハードです。深夜まで仕事をして夜中に食事をすることも珍しくないんです」
にもかかわらずスリムなスタイルをキープしている秘訣は長年続ける呼吸法にある。
「バレエの師匠であった先生が独自の呼吸法を編み出され、私は20代のときにその呼吸法の一番弟子のひとりに。呼吸法をマスターして毎日の生活に取り入れるうちに、身体が元気になりました。実際、この数十年の間、病気や疲労で仕事に穴をあけたことは一度もないんです。また、更年期の時期も不調に悩むことなく、元気に過ごすことができました」
呼吸法は精神面にも大きな影響を及ぼしたそう。
「私は見かけによらず引っ込み思案なところがあり、人前で何かをすることが苦手でした。でも、呼吸法を始めてから自分に自信が持てるようになり、人前で歌ったり話したり演技をすることが楽しくなっていったんです」
食べることが大好きだという由美さん。いつも、どんな生活をしているのだろうか。
「朝は果物をたくさん入れたヨーグルトを食べることが多いですね。お米が好きなので、卵かけご飯を食べることもあります。甘いものが欲しいときにはチョコレートやクッキーを食べたりしますし、寝る前にお腹が空いておかきをつまんだりすることも。食に関しては、身体が欲しているときに適切な量をいただくようにしているんです」
忙しい毎日の中でも、自炊を楽しむ。
「お料理は決して得意ではないんです。でも、おみそ汁やカレー、目玉焼きなどはよく作りますね。カレーを作ると3日くらい食べ続けることもあります(笑)。レシピがわからないときはスマートフォンで検索できますし、今は便利ですよね」
おしゃれをしたいときは、渋谷のファッションビル「109」でファストファッションの洋服を買うことも。
「『109』にはかわいいお洋服がたくさんあって、お買い物をするのがすごく楽しい! ファストファッションのワンピースに手持ちのハイブランドのジャケットを合わせたりして、自分なりのおしゃれを楽しんでいます。70歳からまたミニスカートをはくようになりましたし、いくつになっても新しいものに興味を持ってチャレンジすることって大切だと思うんです」
その前向きな姿勢は今、世界を向いている。
「これまでドラマやミュージカル、歌などいろいろなお仕事を経験させてもらい、コロナ禍があけてからは再びスタートラインに戻ったような感覚なんです。若いころに歌っていた歌を歌い直したり、新しくジャズなどにも挑戦したいですね。“シニアのアイドル”として世界を回れたらいいなぁと思っています!」
50年以上体形をキープする健康法とは
由美かおるさんが日々、実践している呼吸術の基本形。全身の力を抜いてのびのびと行いましょう。
基本の若返り呼吸法
1・上半身の力を抜いて足は肩幅に開き、背筋がまっすぐになるように立ち、膝を少しゆるめる。両手をおへそから数センチ下にあるコア(ハートの位置)に置いて鼻から吸って口から吐くを繰り返す。
2・足裏に向けて、息を細く長く吐きながら約10秒かけて、つま先まで手を下ろし、全身の力をゆるめて無理のない範囲で最後まで息を吐く。
3・身体を起こしながらゆっくりと鼻から息を吸い、約10秒かけて足裏を通り、コアにためるイメージで。この間、肛門を軽く引き締めて、呼吸と一緒に気が上がらないように意識する。
4・息継ぎをしながら手を腰に回す。息をさらに吸い上げ、胸にためるようなイメージで。
5・背中から首、頭頂へとさらに約10秒かけて息を吸い上げ、息継ぎをして頭頂のさらに上まで息を吸い上げたら、苦しくない程度に軽く息を止める。
6・呼吸を止めたまま息と手をコアへ下ろし、1の姿勢に。息を約5秒止め、無理のない範囲内で足裏に向けてゆっくりと細く吐く。一連の動作を4~8回続けて行う。
取材・文/熊谷あづさ
ゆみ・かおる 1950年生まれの女優・歌手。17歳のときにテレビ番組『11PM』でデビュー。近著に『由美かおる ブリージング・レッスン 人生100年時代を生き抜くための神呼吸術』(白秋社)。