「メディアは社会の問題を糾弾するじゃないですか。でも自分たちは……。あまりにも傲慢じゃないかと」
そう話すのは都内在住の男性。彼の身に降りかかったメディアの傲慢さによる災難とは。それは男性のマンションで起こった。
「大所帯の撮影クルーがいて。自宅に入ろうとしたら、ディレクターズチェアや撮影機材が置かれて入り口をふさいでいる。スタッフに許可を取っているのか聞いて許可証を見せてもらったら、それは別の道路の使用許可を取ったもの。指摘すると“他にも取っている”と言うので提示を求めましたが、出てきませんでした」(被害に遭った男性、以下同)
警察官も出動
撮影現場にはサングラスにスーツ姿の人物。また肘や膝にサポーターをつけ、スーツ姿の男から逃げるような人物がいた。どう見てもあの人気番組。フジテレビが定期的に放送している『逃走中』のロケだとすぐに男性は気がついた。
「実際に逃走中のゲームの撮影ではなく、回想シーンか何かの撮影でした。スーツ姿と、サポーターをつけた人という2種類の演者とスタッフがいました」
本当に許可が取られた撮影なのかわからないため、男性は警察に通報。
「所轄の警察署に電話し、警察官も出動しました。私の通報以前にも別の方から110番通報が入っていたそうです。スタッフは警察官が現場に到着するまでもずっと撮影を続けて……。撮影だけではなく、マンションの敷地にスタッフが入っていたので、それは公道の使用許可と関係ないので入るなとも伝えました」
“治外法権”のような態度で
マンション住人からの苦情を聞きつつも撮影を続行した。いや、“強行”した。
「許可を得て適正に撮影される分にはまったく問題ないと思います。ただし、ルールから逸脱しているにもかかわらず撮影を続行するのは……。公道は誰もが使う“みんなの道路”だと思いますが、撮影のためのものではない。にもかかわらず“みんなの道路なんだから撮影してていいじゃないか”みたいな話をされて」
メディアの仕事に就いた者は“治外法権”と思っているかのような発言はほかにもあった。
「許可が不明瞭な状態なら撮影はストップすべき。私のような芸能やテレビの世界を知らない一般人の話でも聞き入れるべきだと思うんですが、“あなたたち一般人の話は……(聞かない)”みたいなことも言われて」
スタッフらは聞く耳を持たなかった。
「“すみませんすみません”と。謝るのはいいからちゃんと確認させてほしいと言っても、ずっとそんな調子。“ごめん”って言っとけば済むだろって感じでした。“ごめん、ごめん。はーい、よーいスタート!”みたいな。どんな権利があって歩行者を止めているのか」
事の顛末は……。
「用事があったので途中で現場から離れたのですが、後から“警察からも連絡があって大変怒られました。今後は気をつけますので”という報告をスタッフから電話で受けました」
この件について、撮影を担当したフジテレビの子会社である制作会社は謝罪コメントを発表。しかし、根本の責任は放送するフジテレビにあるのではないか。フジテレビに問い合わせたが、期日までに回答はなかった。
「秘書が……」ならぬ「制作会社が勝手にやったこと」で済ませるのだろうか──。