3月17日(日)に放送された日本テレビ系『笑点』。その直前に、『もう笑点』という短い番組がある。『笑点』のイントロのような、普通であれば他愛もない番組だ。ところが今回は違った。
「あまりにもひどかったですね。『笑点』のダメな部分を世間に知らせてしまったような」とスポーツ紙記者もあきれ果てる。
司会の春風亭昇太が「きょうのお相手は、目が嘘っぽい宮治さんです」と口火を切る。ミニ番組だけに登場人物は2人だけだ。
「抱いてください」
「今回は、木久扇師匠の卒業にちなんで、歌丸師匠が笑点を卒業するときの大喜利を見ていただきたいと思います。どうぞ」
昇太の合図とともに、桂歌丸が司会を降板する際の大喜利の映像が流れ始める。2016年5月22日、今から約8年前に流されたものだ。まずは木久扇師匠の笑い顔。それに歌丸が「これがバカ笑いと言います」と合いの手を入れる。
「そのあたりまでは身内いじりですから、まあよしとしましょう。問題はその次の映像。三遊亭小遊三と歌丸のやり取りです。あまりにも古臭くてゾッとしますよ」(前出・スポーツ紙記者)
再現してみるとーー。
小遊三「歌丸師匠、お疲れさまでございます。お礼に湖畔の宿を予約しておきました」
歌丸「小遊三さん、ありがとう」
小遊三「抱いてください」
間髪入れずに、大げさに嫌そうなリアクションをする歌丸。そしてこう言い放ったのだ。
「山田君、気持ちが悪いから、全員の(ざぶとん)を全部持っていってください」
他の出演者も全員笑っている……。その笑いが、歌丸と小遊三の会話に向けられているのか、ざぶとんを全部取るという始末に向けられたのかはわからないが……。
どこが問題なのか。前出・スポーツ紙記者が解説する。
番組を作る作家は“おじいちゃん”
「小遊三が抱いてください、と言ったことに対して、歌丸が『気持ちが悪い』と言い捨てているところです。男と男の関係を『気持ちが悪い』と決めつけているところが、今の時代の感覚とは明らかにズレている。とはいえ、この映像は8年前のものですから、当時はまだ許されていたのかもしれませんが」と、一呼吸置き、こう続ける。
「問題はなぜ今、この場面を放送したのか、です。番組の作り手、つまりプロデューサーもディレクターも、今という時代を理解できていないという証拠ですよ。男性の性を笑いのネタにしている点が古い感覚だし、それに対し『気持ちが悪い』とバッサリ切り、その後で出演者全員が笑っているという構図。最悪です」
林家木久扇(86)の番組卒業(放送は3月31日)、ならびに新メンバーとして木久扇の息子の林家木久蔵が加入するかどうか注目が集まる中の、時代遅れの失態。
「番組の問題を作っている作家先生は、ほぼほぼ高齢者です。世間的に言えば、おじいちゃんです。そのあたりの年齢の方々の感覚をアップデートするのはなかなか難しいとは思いますが、今後は、番組作りからそもそも見直さないといけない時期に来ているのでしょうね」
大人から子供まで、幅広い視聴者に愛されている番組だけに、性を笑いのネタにしたり、性を笑いのネタにした過去の映像を流すことは許されない。