《身体を張ったアクション俳優も、もう70歳ですか……》
《人間、誰しも老いるのですね》
この言葉は、日本のファンが中国・四川省で行われたイベントに出席した、ジャッキー・チェン(69)の近影に向けたもの。中国版のSNS『微博(ウェイボー)』に投稿された写真は、頭髪がほぼ真っ白で、前頭部の生え際が後退したように見えるジャッキーの姿─。
地元・香港では「反応が薄い」
「映画のキャンペーンで訪日したときは、いつも変わらない若々しい姿を見せていましたよね。だから急に白髪になったとびっくりした人がいるかもしれません。
でも、もともと黒髪に染めていましたし、それを知っている人からすれば“ナチュラルになったね”くらいだと思いますよ」
と話すのは、映画ライターのよしひろまさみちさん。また、白髪姿は彼の最新作によるところもあるのだろうと、こう続ける。
「日本で5月31日に公開される『ライド・オン』でジャッキーは老いたスタントマンを演じています。映画のシーンはおなじみの黒髪が多いでしょうけど(笑)、そこで白髪姿となるシーンがあるのでは」(よしひろさん、以下同)
アジアのスターも、寄る年波には勝てないということだろう。中華圏のSNSでも、彼の近影にさまざまなリアクションがあったのだが─、
「ジャッキーの出身地である香港では反応がすごく薄いです。今や彼は香港のスターではなくなってしまったから。現地では、彼に興味がある人はいないと言っていいくらいの存在です」
香港の人が「冷める」理由
政治的な問題がここには絡んでいる、とよしひろさん。
「中国に香港が返還されて以来、香港の“中国化”が進んでいます。それに異を唱える俳優もいましたが、ジャッキーは率先して中国資本の作品に出演。今や香港では中国のスターとして見られているんです。
これには、息子で歌手のジェイシー・チャンが'14年に麻薬関連で中国当局に逮捕されて、実刑判決を受けたことも少なからず関係していると思います。当時、死刑という話も上がった中で、このことで中国からは“協力しろよ”と暗に言われたようなものでは」
現在、香港映画といっても劇場で公開される作品は、中国の資本が入っている作品がほとんど。100%香港資本の映画は作っても公開する劇場がない状況なのだという。
「香港の文化を残そうとしているのに、なぜそれを潰そうとするところの資本で映画作りをするのかと。
いい作品ならばどこの映画にも出るという、例えばトニー・レオンみたいなスタンスで上手に渡り歩けばいいのに、ジャッキーは中国映画の宣伝マンのように中国資本の映画に出ていますから。香港の人からすれば冷めるのは当然でしょう」
最新作では、老いたスタントマンが、ある理由から危険なスタントの現場に戻っていく。まさにジャッキー本人と重なるのだが、
「さすがにもうできないでしょう。彼はアクションに関して、世界トップクラスの技術を持っています。今までは人に教えるより自分がやったほうが早いから、自演してきたかもしれないけど、今はそれができる人がたくさんいるし。これからは自分の顔が映るシーン以外は、ほかの人にやらせるのでは」
ジャッキーは、4月7日に70歳の誕生日を迎える。“祖国”の香港からは冷たい視線を向けられつつ、まだまだ精力的に活動を続けている彼。そんな気苦労から、白髪化は加速していく!?