「春の日差しは穏やか~♪」なんてポカポカ陽気に油断しているそこのあなた、4月の紫外線量は、残暑の9月と変わらないんだとか!
そこでいま注目したい美容成分が「ビタミンC」。“お肌にいい”と有名なので漠然と使っている人も多そうだが……。
「最近、患者さんの間でもビタミンCコスメを使っているという声をよく耳にします」
そう話すのは皮膚科専門医の土屋佳奈先生。具体的にどんな効果が期待できるのかなど、詳しい話を聞いてみた。
ビタミンCには種類があるって知ってた?
「そもそもビタミンCには、美容の面で主に3つの効果があります。まず、メラニンが作られるのをブロックしてシミやくすみの予防や改善をする働き。次にコラーゲンの生成を促す働き。それにより内側からハリや弾力が出て小ジワの解消にもつながります。
そして強力な抗酸化作用。肌は酸化すると老化が進みますが酸化によるサビから肌を守る働きをします」
ビタミンCというと、毛穴やニキビ対策にいいというイメージから、若い世代におすすめの成分と思われがちだが、コラーゲンを産生したり、肌老化を食い止めるなど、アンチエイジングにも高い効果が見込まれるのだ。
ただ、ひと口にビタミンCといっても実は種類がある。それぞれの特徴を知って自分の肌質や肌悩みに最適なものを選びたい。
「大きく分けてピュアビタミンCとビタミンC誘導体に分かれます。ピュアビタミンCは、即効性があるけれど不安定な構造のため肌に吸収されにくく、酸化しやすいのが特徴。
浸透を高めるために高濃度のものを選ぶと、敏感肌ではピリピリとした刺激につながります。そこでより安定した構造で肌へ浸透しやすく合成したのがビタミンC誘導体です」(土屋先生、以下同)
ビタミンC誘導体はさらに3つに分類される。まず水溶性ビタミンC※。
※正しくは水溶性ビタミンC誘導体。油溶性ビタミンC、両親媒性ビタミンCも「誘導体」を省略しています
「基本的には化粧水やサラッとしたタイプの美容液に配合されています。皮脂を抑えたり毛穴のトラブルを改善したりといったお悩みに効果があるので、比較的若い世代で、脂性肌やニキビができやすい混合肌の方におすすめです」
次が、年齢層が高めの方におすすめの油溶性ビタミンC。
「油に溶けるため、主に乳液やクリームに配合されています。保湿力もあり、毛穴を通って深いところまで浸透するのでたるみ毛穴や、コラーゲンを増やしたいという方向き」
3つ目が、水溶性と油溶性の両方の性質を併せ持った両親媒性ビタミンC。
「まさに両方のいいとこどりで、水にも油にも溶けるため、化粧水からクリームまでいろいろな製品に配合されています。刺激も少ないため肌トラブルも起こしにくいです」
両親媒性ビタミンCは即効性も浸透性も高く、どんな肌質の人でも使いやすいため、イチオシだという。
「ただ、ほとんどの化粧品はビタミンCのタイプまでは書かれていませんし、種類も多いので見分けるのは困難。
40代、50代の方が選ぶ場合は、化粧水に入っているタイプよりも、乳液やクリームなどのトロッとしたテクスチャーに入っているものを選ぶと肌悩みに合うと思います」
ビタミンCの正しい取り入れ方も知っておきたい。「朝塗るとシミになる」などの噂も聞くけれど……。
ビタミンCコスメQ&A
Q.ビタミンC入りの洗顔フォームも同じ効果がある?
A.「洗い流してしまうので、塗ることで得られるビタミンCの効果は期待できないでしょう。ビタミンCコスメの効果を最大限に得たいなら、塗るタイプをメインにして」
Q.ビタミンCは酸化すると効果が落ちると聞きますが本当でしょうか?
A.「空気や光で劣化しやすいピュアビタミンC。変色してきたら劣化サインなので要注意です。製品によっては、使用期限や冷蔵庫保管の指定があるものもあるので確認を」
シミ・毛穴・シワ……マルチに働く強い味方
「ひと昔前の、不安定で高濃度のピュアビタミンCをつけて日差しを浴びたときに、刺激で赤くなることが稀にありましたが、ビタミンC誘導体の製品がメインの現在は、基本的にいつ使ってもOKです」
土屋先生はむしろ「朝こそおすすめ」と話す。
「日中、活動している間に出る皮脂や外気の化学物質などで、肌の上では酸化が起こります。酸化はターンオーバーを遅らせてシミやくすみの原因となりますが、朝塗ることでそれが抑えられます」
では、効果を高めるためには、ビタミンCは高濃度のほうがいいのだろうか。
「ある程度までは高いほうが効果はありますが、人によってはピリピリと刺激を感じたり赤く炎症を起こすことも」
肌が敏感な人や揺らぎやすい人は、まず部分的に試して、大丈夫であれば全顔に使うと安心。ちなみに、土屋先生の実践しているビタミンC美容について伺うと、
「“飲む”と“塗る”の両輪です。内側からもケアすることで相乗効果が狙えます」
サプリの選び方、飲み方も気になるところ。
「ビタミンCは水溶性のため1度にたくさんとっても体内にとどめておけず尿として排出されます。1日に1000mgを目安に朝昼晩3回に分けてとるのが理想です」
こまめな摂取が面倒という人は、“リポソーム化ビタミンC”のサプリがおすすめだという。何層ものカプセルに閉じ込めることで、成分を有効に身体に届けてくれるもの。
「ビタミンCはマルチに効くので、内からも外からもぜひ取り入れてほしいです」
土屋先生が解説!ビタミンCの種類別ドラコス名品
・ピュアビタミンC
「オバジC5セラム」
20年にわたる研究でピュアビタミンCの浸透性や安定性を克服。角層や毛穴に素早くアプローチ。12ml、3300円/ロート製薬
・油溶性ビタミンC
油溶性ビタミンC誘導体100%の美容オイル。ハリのあるクリアな肌を実現。40ml、4850円/トゥヴェール
・両親媒性ビタミンC
すぐれた保水効果で乾燥している角層をみずみずしく潤し、ふっくらとした健やかな肌に整える。170ml、6050円/アクセーヌ
2つの高浸透ビタミンCを高濃度で配合、肌の奥まで届いて潤った透明な艶肌へ導く。150ml、5170円/ドクターシーラボ
・水溶性ビタミンC
ビタミンC誘導体とアルブチンのWの美白※成分がシミ・そばかすを防ぎ、潤い肌へ導く。180ml、1650円/ちふれ化粧品 ※日焼けによるシミ、そばかすを防ぐ
ビタミンCに加え、ビタミンE誘導体などの潤い成分をたっぷり配合。紫外線を浴びた肌の保湿にも。990円/ロート製薬
アクセーヌ/0120-120783
ちふれ化粧品/0120-147420
トゥヴェール/0120-930-704
ドクターシーラボ/0120-371-217
ロート製薬(Obagi)/0120-234-610
ロート製薬(メラノCC)/0120-503-610
※商品の価格はすべて税込みです
教えてくれたのは……土屋佳奈先生●皮膚科専門医。つちやファミリークリニック浅草院院長。1日に100人以上の肌悩みと向き合う。「すべて自ら試す!」がモットーの自称肌オタク。4月3日に著書『美容皮膚科医が試してわかった!美肌・新常識33』(小学館)が発売。
土屋佳奈先生のプロフィールはこちら
取材・文/荒木睦美