「政治責任は、すべて監督責任者である私自身にある」
自民党の二階俊博元幹事長(85)が、次期衆院選への不出馬を表明した3月25日。記者会見を開き、自民党の裏金事件で、二階派の事務局長や秘書が立件されたことに対して、冒頭の言葉を述べた。
これまで事件について沈黙を守ってきた二階氏が、ようやく口を開いたのだが─。
「不出馬の理由が自身の年齢なのか、と質問した記者に“おまえもその年が来るんだよ”と吐き捨て、小声で“バカ野郎”と呟きました」(全国紙記者)
「周回遅れの男」
よほど腹に据えかねたのか、苦虫をかみつぶしたような顔でそっぽを向きつつ、言葉を吐き出した二階氏。この言葉は小声でも、国民には大きく響いたようだ。
《こんな言葉を吐く人が、政治権力持っていたとは》
《正に老害中の老害》
といった声がSNSにはあふれた。これまでもたびたび暴言で、世間から非難されてきた二階氏だが、一体どんな人物なのか?
「簡単に言えば、政治の流れで周回遅れの自民党の中でも、もう一周遅れている男です」
と、ジャーナリストの大谷昭宏さん。
政治家としての“功績”
「本人も会見で言ってましたが、田中角栄氏を政治の師と仰いでいます。でも、角栄の悪い部分、金権政治だけを引き継いでいますね。角栄は『日本列島改造論』として、高速道路や新幹線などで日本中をつなぐ、いわゆる“土建政治”で国を発展させようとしました。
二階氏も同じような考えで『国土強靭化』を掲げましたが、結局は地元・和歌山への利益誘導。角栄は自分の懐も肥やしましたが、国の発展も進めました。二階氏は日本のためというより、どれだけ“お金”を引っ張ってこれるかが自分の力だと思っている、最も古いタイプの政治家です」(大谷さん、以下同)
田中元首相とやり方は似ていても、その先の“理想”はまったく違うようだ。
「彼が国政で何か残したということを挙げられますか? 地元に高速道路を造ったくらい(笑)。中国との“パイプ”があるといっても、自身が懇意にしている旅行業者の団体などの訪問団を率いて訪れているだけ。政治家としての功績が見えないんです。
地元や関係団体は、二階氏が政治家として中央にいる間はおいしい思いができるだろうからついてくるでしょう。でも引退して、お金を持ってこれなくなったらどうなりますかね」
二階氏が師とする田中元首相は、金権政治の象徴といわれながらも、日中国交正常化という功績がある。
「政治家というのは、引き際には歴史に名前を刻む、何かしらの功績を残して去るのが花なんです。今回、政治責任をとっての“引退”となっているけど、二階氏の功績といったら……、選挙に強かったくらいかな。自民党の重鎮として、権勢を振るったと自身が思っているなら、政治家として哀れじゃないですか」
安倍政権では、幹事長にこれまでの最高齢となる77歳で就任し、5年2か月という最長期間の記録を持つ二階氏。“キングメーカー”とまでいわれた彼の、国民の記憶に残る最後の言葉が「バカ野郎」では悲しすぎる─。