選挙ポスターの加工写真をめぐる騒動の発端となったひろゆき氏の投稿(Xより)

《選挙では、学歴詐称など事実と異なる情報を有権者に提示するのは違法です。さて、選挙ポスターと顔が違うのは合法なんですかね?》

 というポストとともに、ひろゆき氏が選挙ポスターとあまりにも違う本人画像を投稿。やり玉に挙げられたのは、川崎市議会議員・三浦えみ氏(48)。加工が施されたであろう選挙ポスターと並ぶ本人のビジュアルは、まったく同一人物には見えない。目は2倍以上に大きく、年齢も10歳は若く見える。有権者に顔を覚えてもらわなくてもいいのだろうか。そもそも選挙ポスターの画像加工は詐称にならないのだろうか。

デザインの規定は「かなりゆるい」

 政治ジャーナリストに聞くと、

「顔写真の加工に関しては問題ないとされ、詐欺罪に問われることはありません。最近だと写真の代わりにイラストをポスターに使う候補者もいます。選挙ポスターの規定は細かく、長さ42センチ×幅30センチというサイズを1ミリでも超えると違反になりますが、一方でデザインに関してはかなりゆるいんです」

 と、罪にはあたらないという。さらに、

シミ、シワ、顔色、フェイスラインの修正は当たり前。女性議員に限らず、男性議員も芸能人並みの修正を入れていますよ。中には20年前の若いころの写真をポスターにした候補者もいましたが、問題にはなりませんでした。

 これまで顔写真の加工で、虚偽事項の公表罪にあたるとした裁判例はありません。片山さつき議員のシミ、シワのない真っ白な肌の選挙ポスターが以前、話題になりましたが、もちろん違反にも当たりませんし、お咎めはなしでした」(政治ジャーナリスト、以下同)

重視されるのは「規則違反か否か」

 顔が違うどころか、顔を出さない覆面議員に関しても同様。違反にはならないという。

「覆面レスラーで大分市議のスカルリーパー・エイジ氏は、覆面姿の顔写真が市議会ホームページに掲載されていないことを『人格権の侵害』と訴え、掲載が認められるという騒動がありました。しかし市議会では帽子やコート、マフラー、杖、傘などを着用、携帯してはならないという規則があります。覆面の項目はないものの、市議会側はこのルールにのっとっていたようです。

 かつてアントニオ猪木氏が参議院議員だったころ、トレードマークの赤マフラー姿で登院したら規則違反で禁止されたこともありました。有権者にとっては猪木さんを認識するアイテムでもルールで禁止される。なので、本人かどうかよりも規則違反か否かが問題になるようです」

片山さつき議員

 議会における細かいルールはあれど、“盛り”や“加工”は咎められないようだ。しかしポスターと顔が違うのは有権者にとってはかえって悪印象につながる。なぜここまで別人にしたのか……。

 ひろゆき氏に“盛りポスター”を指摘された三浦えみ市議の事務所に回答を求めたが、電話がつながらずに返答を聞くことができなかった。

 少しでもきれいに見せたい気持ちはわかるが、過度な“盛り”は不信につながりかねない。