反町隆史主演の連続ドラマ『GTO』(1998年/フジテレビ系)が、カンテレ・フジテレビの開局65周年特別ドラマ『GTOリバイバル』として、4月1日に放送された。3月29日に最終回を迎えた『不適切にもほどがある!』(TBS系)と同様、熱血教師の指導が描かれ、SNS上で共感を集めている。
『GTO』は、藤沢とおる氏による同名漫画が原作で、元暴走族の高校教師・鬼塚英吉が、破天荒な行動で生徒や学校の問題に体当たりでぶつかっていく学園ドラマ。立場や損得とは無縁の教師・鬼塚が、本音をぶつけ合い、命がけで生徒に向き合うことで、社会の裏側にくすぶっている問題を解決していく。反町自身が作詞し、歌った主題歌『POISON〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜』も大ヒットした。一方、『不適切にもほどがある!』は、1986年から現代にタイムスリップしたコンプライアンス意識の低い“昭和のおじさん”が、令和の人々に考えるきっかけを与えていくオリジナルコメディー。阿部サダヲが主人公の小川市郎を演じ、宮藤官九郎が脚本を手掛けた。
『GTOリバイバル』は90年代の平成、『不適切にもほどがある!』は80年代の昭和と、時代背景が異なるが、共通しているのは教師という設定。鬼塚は高校教師、小川は中学校の体育教師として描かれている。どちらも、型破りな教師が自己流で生徒と向き合っていくというスタイルだ。1998年に放送された『GTO』が26年ぶりにリバイバルされたという意味で、鬼塚も小川と同様、現代にタイムスリップしてきたと言えなくもない。
さらに『GTOリバイバル』はパパ活をしている女子生徒のブランドもののバッグをチェーンソーで切り刻む、『不適切にもほどがある!』では野球部の練習中に水を飲んでいる部員にケツバットをするなど、現代の価値観ではあり得ない“熱血指導”をおこない、教師の人間力で生徒に気づきを与える点も類似している。
みんな昔の自由な番組を求めてんじゃないの?
視聴者もこの点を感じ取っており、放送終了後、SNS上で両作品に関する意見が多く投稿された。
《鬼塚先生は不適切にもほどがあるの地獄の小川感あるな… 過去の時代から来た先生みたいな感じ。面白いじゃん》
《「不適切にも」もそうだけどみんな昔の自由な番組を求めてんじゃないの? 言いたい事も言えないこんな世の中じゃ息苦しいわな》
《GTOやっぱ好きだな〜 不適切にもほどがあるも面白かった テレビ業界も現代社会に訴えかけている 今の時代に足りないモノ、コト、ヒト 古き良き時代ってあるんだよな〜》
なぜ時代錯誤な熱血教師が視聴者に受け入れられたのか
『不適切にもほどがある!』最終回の世帯平均視聴率は、7.9%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と今期のドラマとしては高い数字を記録した。『GTOリバイバル』も、SNS上の反応を見るとおおむね好評だ。なぜ、時代錯誤な熱血教師が主人公を務める作品が、視聴者に受け入れられるのだろうか。
「民放のテレビドラマの主な視聴者層は、40〜50代。昭和後期に生まれ、現代の価値観を受け入れつつ、古き良き昭和や平成の時代を知っています。そのため、『GTOリバイバル』と『不適切にもほどがある!』のメッセージに共感を覚えるのでしょう。
また、40代にはXのユーザーが多く、両作品についてSNS上で積極的に感想を投稿しています。制作サイドもこの点を狙っており、『不適切にもほどがある!』はTVerに加え、NetflixやU-NEXTでも配信されています。見逃し視聴のしやすさが、SNSでの話題づくりに貢献したと言えます」(テレビ局関係者)。
ただし、鬼塚の熱血指導の描写で、気になる点があったという。
「前作では、両親の不仲に悩む生徒の家の壁をハンマーで破壊するという、明らかに演出とわかるシーンがありました。しかし、今回のチェーンソーのシーンは生々しく感じられます。『不適切にもほどがある!』のようにテロップで補足説明を入れれば、鬼塚の破天荒なキャラクターが前作を見ていない視聴者にもより伝わったかもしれませんね」(前出・テレビ局関係者)
言いたいことも言えないこんな世の中だからこそ、社会は鬼塚や小川のような熱血教師を求めているのかもしれない。