「もうどこにも地味な人生を見守ってくれる人はいなくなったのかなぁと、寒々とした気持ちになったものでした」
3月28日、NHKで放送された特番に、そうコメントを寄せた中島みゆき。
「特番は、4月6日に18年ぶりとなる復活を遂げた『プロジェクトX~挑戦者たち』の放送直前スペシャルでした。中島さんは、今回の番組復活にあたって、その主題歌だった『地上の星』を24年ぶりに再レコーディングしたのです」(スポーツ紙記者)
『プロジェクトX』は、2000年から放送されたドキュメンタリー番組。誰もが知る建造物や商品開発の裏に、人知れずあった“人間ドラマ”を追っていた。冒頭で中島が語ったのは、2005年に同番組が最終回を迎えたときの心境だ。
「『プロジェクトX』は、最高視聴率20%をたたき出す超人気番組で、『地上の星』もロングヒットを記録しました。2002年末に中島さんがNHK紅白歌合戦に初出場を果たすと、2003年1月には発売から2年半にして、オリコンランキングで1位を獲得しました」(音楽ライター)
数々の名曲を歌ってきた中島に、強烈なスポットが当てられた瞬間だった─。
72歳を迎えても変化しない声質
その後も2003年放送のドラマ『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系)の主題歌『銀の龍の背に乗って』や、2014年のNHK連続テレビ小説『マッサン』の主題歌である『麦の唄』など、数々の名曲を発表してきた。
今年1月には、約4年ぶりとなるコンサートを開催。2月には72歳を迎えた中島だが、その歌声は衰えることを知らない。
「5月までに全16公演をこなす体力もそうですが、一番すごいのは変わらない声です。年齢を重ねれば、声質も変化するものですが、中島さんはデビュー当時からほとんど変わらない。今回、再録した『新・地上の星』はキーを上げたと聞いて衝撃でした」(同・音楽ライター)
その裏には、中島の血のにじむような努力があった。
中島を直撃すると「しぶといですから」
「中島さんは17歳でデビューしてから、ずっと我流で歌っていたため、喉をつぶしかけたことがあったんですよ。そのため、30代で初めてボイストレーニングを受けたと聞いています。コンサートでも万全の状態で臨めるように喉のケアを徹底していて、室温調整、睡眠時間、移動手段まで気を使っています。歌い終わったあとは白湯しか飲まず、マスクをしてまったくしゃべらないそうです。打ち上げもほぼ参加しないみたいですよ」(レコード会社関係者)
『プロジェクトX』に登場した人々のように、中島も長く歌い続けるため、人知れず日の当たらない“地味な日々”を過ごしているようだ。
4月上旬、今後の抱負を聞こうと自宅に帰ってきた中島に声をかけると、甲高い声でこう答えた。
「ぼちぼちやっていきます。しぶといですから、アハッ。でも、そんないろいろはできないですけどね!」
地上の星は、さらに強く光り輝く─。