4月12日に公開する映画『氷室蓮司』。Vシネマの人気シリーズ『日本統一』の10周年を記念した作品で、本宮泰風演じる主人公・氷室蓮司の“父親”としての側面にフィーチャーした物語となっている。
氷室の携帯電話に突如届くのは、猿ぐつわをされ椅子に縛りつけられた息子・悠太の写真と《お前を待っている。1人で来い》というメッセージ。元妻・涼子から悠太が高校の修学旅行で台湾に行っていると聞いた氷室は、ひとり現地へ向かう。そして、そんな氷室を台湾でフォローする篠原将人役を務めるのが、ミュージカル『刀剣乱舞』やドラマ『ウソ婚』、映画『最後まで行く』などに出演し幅広く活躍中の黒羽麻璃央だ。
そんな映画『氷室蓮司』のメインキャストとなる本宮と黒羽に、『週刊女性PRIME』がスペシャルインタビューを敢行!
ーー10周年という『日本統一』シリーズの歴史を振り返っての心境は?
本宮「そんなに意識してきたわけでもなく、振り返ったら10年経ってましたね。このところは隔月に新作がリリースされますが、僕は脚本から携わっているので、一年中ずっと本作りの作業があって。そうした作業に追われてるうちに、10年経っちゃったって感じですね」
ーー黒羽さんは、歴史のあるシリーズに初めて参加。
黒羽「あまり自分が触れてこなかったというか、これまではご縁がなかったジャンルでしたが、自分が去年30歳になって、役者としての幅を増やしていかなきゃなというタイミングで出演のお話をいただいて。長い年月をかけて作り上げられてきた作品ですので、“ぜひやりたいです”と受けさせていただきました。
“Vシネマ”ということでどこか身構えていた部分もありましたが、意外とふつうのドラマや映画と変わらずに、楽しく撮影できた日々でした。実は蓋を開けてみたら、自分の身内にも『統一』ファンがいて、義理のお姉さんとかもずっと見ていたそうなんです。そういった意味では、勝手に僕が触れてこなかっただけで、今ではもっと早くから気づいていけばよかったなっていうふうに思っています」
本宮「俺はずっと、麻璃央に断られたら嫌だなと思っていたんです。彼ももう30歳になって、今までは2.5次元の作品などで頑張ってきたけど、こういう作品もこなせるようになったらこれから中年に向かって、役者として幅が出ると思うんだけど……とか、事務所の社長が付き合いのある仲間だから、オファーを受けてもらえるように裏でいろんな動き方をしていました(笑)」
黒羽「そんなことがあったんですね(笑)。でも、僕もやってよかったなと本当に思っています。僕は台湾での撮影がほとんどでしたが、本宮さんと一緒にお芝居できたことは、役者として大きな財産になりました」
撮影現場での苦労エピソード
中国語のセリフを覚えるのには苦労したという黒羽。何やら、トラブルもあったようで……。
黒羽「現場に入る前に、中国語のセリフのデータを現地の方から送っていただいたのですが、“こういうふうに覚えてください”ってありがたいことにカタカナまで振ってくれて、これは初心者の僕でも覚えられると思い、脳みそを振り絞って覚えたんです。それで現場に着いて、現地の方と1回練習しようかとなったときに、なぜか中国人の方々がポカンとしている。“どうしました?”って聞いたら、“セリフ、これ全部間違ってるよ”“中国語として成り立ってないよ”と。クランクインの前日に、改めて正しい中国語のデータをいただいて、急いで覚え直しました」
本宮「本当に申し訳なかった! これ、段取りしたのが僕なんですよ(笑)。何十年も台湾にいる後輩で、現地のバラエティー番組なんかにも出ているやつに僕がお願いしたのですが、どうやら思った以上に国語ができなかったようで、そういう結果になってしまって……」
黒羽「結果として、いい思い出になりました(笑)。映画には、その方も出てらっしゃいますから」
本宮「“大谷主水(もんど)”という男で、けっこう良い役で出てます。これ、晒してやってください(笑)」
海外での撮影では、加えてこんな苦労も。
黒羽「夜市のシーンの撮影で、ロケ現場に虫が出るんですけど、僕は本当に無理なのに、本宮さんは微動だにしないんです」
本宮「お前が怖がりすぎなんだよ(笑)。僕も全然平気ってわけじゃないし気持ち悪いですけど、まあしょうがないし。え、じゃあ麻璃央はずっとビクビクしてたの?」
黒羽「僕はみなさんと芝居してても、どこか意識は別のところにあって……。自分が喋っていないときは、いつ虫が来ても逃げられるようにしてました(笑)。日本で見るサイズじゃないんですよ!」
本宮「それは怖いから、たぶん俺らよりでかく見えてたんだよ。こいつ虫が怖くて、マネージャーと同じ部屋で寝てたんです。これ、マストで書いてください(笑)」
黒羽「ホテルでも虫が100%出るって言われたから、それはもう100%無理だなと。5歳下のマネージャーさんを呼んで、“頼む…”と」
本宮「頼む、じゃねえよ(笑)」
それぞれの目標は
インタビューでも息ぴったりの2人。私生活でのマイブームや趣味を尋ねると、意外な共通点が。
本宮「僕はずっと野球をやってて、麻璃央も得意だっていうのを知って、僕のチームにも今度来るように誘ったんですよ」
黒羽「超怖いですよね? デッドボールなんか当てた日には(笑)。しっかり練習しておかないと」
本宮「今年はもう、野球の集まりのスケジュールは全部渡すので、来れるときは来るようにって話しているところです」
ーー2024年は辰年。成長の1年とも言われますが、お2人が“成長したいこと”や目標は?
本宮「僕はこの歳になるともう成長というよりは、現状維持ですね」
黒羽「でも、現状維持って意外と難しいですよね。やっぱり微妙に上がってないと、下がってくので」
本宮「それは麻璃央の歳じゃないよ。俺の歳になるともう、加齢とともに老化していくから、上げないとまっすぐ行けないんだけど、麻璃央はまだ早いよ(笑)」
黒羽「僕は趣味を増やしたいですね。最近はカメラが趣味なんですけど、自分が年を取って体が動かなくなってもやれるようなものを始めたいなと思って。親友もカメラマンをやっているので、今は教わりながら楽しんでます」
映画公開に先駆け、撮影秘話や裏話をたっぷり語ってくれた2人。最後に、シリーズの最新作を楽しみにしているファンの方々に一言!
本宮「シリーズを見てくださってる方はずっと気になっていたであろう、氷室蓮司の家族の話なので、僕としても、やっとそこを回収できたかという感じです。氷室の嫁と子どもが登場しなくなってかなりの年月が経ち、作品も進んじゃって、ちょっと手をつけられないでいた部分だったので、まずはそこを楽しみにしてもらえたらと思います」
黒羽「こういうジャンルの作品は初めてでしたが、僕と同じで、ここをスタートに見てくれる人が増えてくれたらいいなと思います。男臭くて泥臭いシーンがあって、でもベースとしては氷室蓮司の家族の話なので、すごく温かい気持ちにもなれる。単なる任侠映画ではなく、ヒューマンドラマとして見ていただけたらなと思います。そして、ドラマ版や配信されている作品もぜひ見返していただけたら嬉しいです。そんな“第一歩目”を、どうぞよろしくお願いします」
本宮「勘のいい人はわかると思うんですけど、麻璃央に出てもらったのも意味があって、彼はまた別作品にも出ることになってるんです。なぜ麻璃央がここに関わってるのかをよくよく考えたら、そこにもストーリーがある。なので、彼にはどんどん任侠作品にも出てもらって、また違う魅力を見せてもらえたらと思っています。そして麻璃央のファンを、どんどんこっちに……(笑)。普段見てもらえてない層に見てもらえるのは、すごく魅力的なことなので」
映画『氷室蓮司』
2024年4月12日(金)より、新宿バルト9ほか全国順次公開
(c)2024「氷室蓮司」製作委員会