ファストフードのきれいな食べ方 撮影/山田智絵

 昨今はもっぱら本業以外で注目を集めている鳥羽周作シェフが、久々に食べ物ネタで話題に。マクドナルドのビッグマックのオリジナルな食べ方を提唱したところ、「食べにくさが解消された」と大バズリ。

 同時に、ビッグマックをはじめとしたファストフードの食べ方への関心の高さも浮き彫りになった。

 ということで、今回はマナーコンサルタントの西出ひろ子さんに、食べにくいファストフードの美しい食べ方についてアドバイスをいただいた。実践してくれたのは、2.5次元ミュージカルを中心に活躍中の俳優、田口司さん江副貴紀さん。これでもう食べ方に迷わない!

ファストフードのきれいな食べ方

 まずは王道のこの商品!

ビッグマック

 オーダー時に紙での包装をお願いすれば、食べやすさUP!

食べ方1:ラップで野菜こぼれを防ぐ

「ビッグマック」食べ方1:ラップで野菜こぼれを防ぐ 撮影/山田智絵

 ビッグマックは通常、箱の容器に入っているが、実はこれが食べにくさの原因。取り出すときに野菜が飛び出してしまう。

 そこで鳥羽シェフがSNSで紹介したのが、オーダー時に「ラップでお願いします」とひと言添えて紙の包装にしてもらうこと。実際にこれだけでかなり食べやすくなる。

「箱だと野菜がボロボロ落ちていましたが、ラップだとその心配がないですね」(江副)

「箱も受け皿的な役割があって便利だけど、かぶりつくなら、ラップのほうが食べやすい!」(田口)

食べ方2:ラップを立てて口元を隠す

「ビッグマック」食べ方2:ラップを立てて口元を隠す 撮影/山田智絵

 食事のマナーで一番大事なのは、同席する相手の方を不快にさせないこと。といってもハンバーガーはガブッとかぶりつくのがおいしい食べ方でもある。

「なので気になる場合は、ラップの外側を立てて、食べているときの口元を隠すようにしてはいかがでしょう。また、ハンバーガーを持つときに、指をそろえることを意識すると、より美しく見せることができます。

 どんな食べ物でも、指先をちょっと意識するだけで、上品な印象を与えることができますよ」(西出さん)

「ビッグマックを食べているとは思えないくらい、上品に見えるね(笑)」(田口)

「ラップを立てることで口元にハンバーガーを持っていきやすくなるから、自然と姿勢もまっすぐに!」(江副)

いろんな具材が入ったハンバーガー

 ソースや具材がたっぷりのバーガーも、基本を押さえれば怖くない!

 今回は……「のり塩じゃがバターベーコンてりたま」(マクドナルドの期間限定商品)

食べ方:ファストフードこそ、ゆっくり食べることを意識

「いろんな具材が入ったハンバーガー」食べ方:ファストフードこそ、ゆっくり食べることを意識 撮影/山田智絵

 初めて食べる期間限定メニューなどは、どうやって食べたらいいか迷ってしまうもの。そんなときは、とにかくゆっくり食べることがコツ。

「ファストフードだとついつい早食いしがちですが、そこをグッとこらえて、あくまで優雅に丁寧に。ラップを丁寧に開くだけで、具材の落下や、ソースのこぼれをある程度防ぐことができますよ」(西出さん)

「てりやきマックバーガーが大好きなので、今度食べるときはゆっくりを意識してみます」(江副)

「ビッグマックと同じように、ラップを立てれば、がぶっといけますね」(田口)

ミートソースたっぷりのモスバーガー

 残ったソースは、ポテトにディップすれば、無駄なし&美しい♪

食べ方1:紙ナプキンを手元に用意

「ミートソースたっぷりのモスバーガー」食べ方1:紙ナプキンを手元に用意 撮影/山田智絵

 ミートソースがふんだんに入ったモスバーガーは、とってもおいしいけど、食べにくいメニューの代表格でもあるもの。どうすれば?

「ソースははみ出るのが前提と思って食べてOK。ソース系のハンバーガーを食べる際に大事なのは、事前準備です。あらかじめ、紙ナプキンをそばに用意しておきましょう。
 ソースがついてしまったら、軽く下を向き、紙ナプキンで口元を押さえるようにして拭き取ります。紙ナプキンは両手で持つと上品ですね。
 なお、使い終わった紙ナプキンは、汚れた部分が相手に見えないように折りたたみ、ペラペラした部分が自分に向くように置く心遣いがあると素敵です」(西出さん)

食べ方2:残ったソースはポテトにつけて

「ミートソースたっぷりのモスバーガー」食べ方2:残ったソースはポテトにつけて 撮影/山田智絵

 ハンバーガーを食べた後、残ったミートソースがもったいないと思う人も多いのでは? そんなときはポテトにディップして食べよう。実はこれ、公式でも推奨されている食べ方。

「ラップを小皿のように手に持つと、食べやすいですよ」(西出さん)

「余ったソースがもったいないと思ってたけど、こうすると全部食べきれるし、おいしい!」(田口)

「こんな食べ方があるなんて知りませんでした!」(江副)

サイドオーダーのパイ

 熱々のホットアップルパイは、後半の工夫がポイント!

食べ方1:軽く押して中身を均等に

「サイドオーダーのパイ」食べ方1:軽く押して中身を均等に 撮影/山田智絵

 熱々で提供されることでおなじみの、ホットアップルパイ。注意すべきは、パイの中に詰まったアップルフィリング。普通に食べ始めると、熱々のアップルフィリングが飛び出してしまうが……。

「食べる前に、パッケージの上から指で軽く押して中身の片寄りをならしましょう。それである程度飛び出しを防ぐことができます」(西出さん)

食べ方2:パッケージの下から押し出す

「サイドオーダーのパイ」食べ方2:パッケージの下から押し出す 撮影/山田智絵

 食べ進めていくと、今度はパッケージが邪魔になりやすい。

「指でつまんで出してもいいのですが、パッケージを使うと、よりきれいに食べることができます。3分の1くらいを食べたら、パッケージの下からアップルパイを押し出しましょう。このとき、紙のつまみを片側だけ開くと、押しやすくなりますよ」(西出さん)

 チョコクリームやあんこ系など、その他のフィリングがたっぷりのパイも、今回のホットアップルパイと同様に、食べる前に全体をならし、さらにパッケージをうまく活用して、ゆっくり食べるのが美しく食べるコツ!

「食べる前に、アップルフィリングを全体に行き渡らせたことで、飛び出しが軽減した気がします。下から押し出すと、手が汚れないのもいいですね」(江副)

「僕はアップルパイが大好きなんですけど、食べにくさを理由に避けることもありました。でも、これならいつでも食べられます!」(田口)

フライドチキン

 食べにくい揚げ物系も、コレを使えば上手に食べられる!

食べ方1:紙ナプキンで包む

「フライドチキン」食べ方1:紙ナプキンで包む 撮影/山田智絵

「フライドチキンは、手でつかんで食べるのがおいしいですよね。でも、油で手がベトベトになってしまうのが気になるところ。お店で食べる際は、紙ナプキンに挟むとそれが軽減されますね」(西出さん)

食べ方2:テイクアウトならキッチンの常備品で

「フライドチキン」食べ方2:テイクアウトならキッチンの常備品で 撮影/山田智絵

 テイクアウトしたものを食べる際は、クッキングペーパーやアルミホイルを使うと便利。紙ナプキンのように油分を吸わないので手が汚れにくい。西出さんの一番のおすすめは、茶道の際に使用されることで知られている「懐紙」と「硫酸紙」。

 サイズが手頃なうえ、懐紙は紙ナプキンより厚めなので安心感がある。特に硫酸紙の場合、水分や油分を通さないのでフライドチキンを食べるときにもぴったり。

「クッキングペーパーやアルミホイルのように切る手間がなく、そのまま小皿代わりにもなります」(西出さん)

 なお、懐紙や硫酸紙(商品名はグラシン紙の場合もある)は、通販サイトや100円ショップなどでも手に入る。

「懐紙と硫酸紙って、初めて知りました。使うだけで、ちょっと上品になった気がしますね」(田口)

「こんなに薄い紙なのに、全然油がにじみません」(江副)

ホットビスケット

 シロップがこぼれないコツは、かける場所にあった!

食べ方1:ひと口目はそのままでいただく

「ホットビスケット」食べ方1:ひと口目はそのままでいただく 撮影/山田智絵

 外はサクサク、中はしっとりのホットビスケット。添付のシロップをかけつつ食べるものだけど……。

「食事の最初のひと口は、調味料をつけずそのまま味わうのがマナー的に良しとされています。ビスケットもひと口目は、プレーンな状態を味わってみましょう」(西出さん)

食べ方2:かじった箇所にシロップを

「ホットビスケット」食べ方2:かじった箇所にシロップを 撮影/山田智絵

 ひと口目をプレーンな状態でいただくのは、素の味を知る以外にもこんな理由が。

「添付のシロップは、ビスケットの上からかけると、だらだらと垂れてしまうのですが、食べた箇所にかけると、生地にきれいに染み込んでいくんです。ひと口食べるごとに、シロップを追加していけば、ベトベトにならずきれいに食べきることができますよ」(西出さん)

 また、ハンバーガーのときと同じように、包装紙を立てて食べると、口元を見せずにかぶりつける。小皿代わりにもなるので、生地がボロボロとこぼれ落ちるのもキャッチできる。

「これまでビスケットの食べ方の正解がわからなかったんですけど、これからは、この食べ方でいきたいと思います」(田口)

「実は僕、ホットビスケットを食べるのは生まれて初めて。こんなにおいしかったんですね(笑)。きれいな食べ方もわかったので、これからたくさん食べたいと思います」(江副)

試してみて……感想は?

「実は私にとっても、ファストフードはなじみ深い食べ物なんです。マナーの勉強で英国に留学していた際は、現地のチェーン店によく通っていたものでした。
 ファストフードに限らず、食事はありがたく楽しく食べることが第一。なので、『こうして食べないと……』と緊張する必要はありません。ただ、一つひとつの動作を大切にすることは、食べ物への感謝の気持ちを表すことにつながります。
 今回のしぐさは、ファストフードをよりおいしく美しく食べるためのコツだと思って、ぜひ実践してみてくださいね」(西出さん)

「ファストフードの食べ方なんて、これまで気にしたことがありませんでした。でも、ちょっと気をつけるだけで食べ方がすごくきれいに見えるし、自然と背筋も伸びるんですね。教わって本当によかったです!」(江副)

「お芝居をするときも、役柄によって食べ方を変えたりします。今日教わったことが、役作りにそのまま生かせそう。新たな“特技”を身につけることができました!(笑)」(田口)

実践してくれたのは……

左から江副貴紀さん、西出ひろ子さん、田口司さん 撮影/山田智絵

西出ひろ子さん●マナーコンサルタント。企業のコンサルティングをはじめ、テレビドラマや映画、CMのマナー監修、俳優やタレント、モデルへのマナー指導も行う。皇室関連の取材などではマナー解説者としても定評がある。著作監修本は国内外で100冊以上、著書累計発行100万部を突破。新著『マナーのカリスマが大切にする私スタイルの暮らし方』(主婦と生活社)が好評発売中。

田口司(たぐち・つかさ)●俳優。1997年4月9日生まれ。主な出演作は『テニスの王子様 3rdシーズン』、ミュージカル『忍たま乱太郎』、『Dr.STONE THE STAGE~SCIENCE WORLD~』など。特技は中国雑技団並みの柔軟さとアクロバット。6/1~6/23、舞台『魔法使いの約束』 エチュードシリーズPart1(天王洲銀河劇場、SkyシアターMBS)に出演。

江副貴紀(えぞえ・たかのり)●俳優。1998年5月13日生まれ。主な出演作は『テニスの王子様 3rdシーズン』、『スタミュ』、『春のめざめ』など。趣味はみそ汁研究。5/2〜5/5、CONTE STAGE『お城のトカゲ』(池袋西口GEKIBA)に出演。

西出さんの新著『マナーのカリスマが大切にする私スタイルの暮らし方』(主婦と生活社)
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取材・文/中村未来