4月16日に行われたパ・リーグ公式戦「北海道日本ハムファイターズー福岡ソフトバンクホークス」にて、珍しい光景が繰り広げられた。
『エスコンフィールドHOKKAIDO』開場1周年を記念した、特別仕様ユニフォームでグラウンドに立ったホームチームのファイターズ。上下ユニフォームから帽子まで漆黒に染め上げられた生地に、白とブルーのラインをあしらったオシャレなデザインだ。
片やビジターチームのホークスは、当然ながら帽子とユニフォームは黒色、白いパンツのビジター用ユニフォームで登場。さらには黒を基調としたウェアに身を包んだ審判団も相まって、グラウンド上には“黒づくめの人”がわらわら。
この”黒黒”対決の珍事にSNS上では、
《ファイターズのユニもソフトバンクのユニも黒だから見にくいな。ソフトバンクパンツが白でよかった》
《ファイターズ側の連絡ミスなのか、ホークス側の意固地なのかわからないけど、どっちも黒ユニってダメでしょ》
《パリーグ黒多すぎ。サッカーみたいに事前協議or3rdユニの用意無いの?》
選手たちがプレーするたびに「紛らわしい」との声が上がり、また事前に片方がユニフォームを変更できなかったのか、との疑問も向けられた。
個性よりもデザイン性を重視された
「サッカーやバスケットボールとは違い、攻守交代をルールとする野球だから起きた珍事ですね」と笑うのは、長らくプロ野球を取材してきたベテランスポーツライター。
両チームがピッチやコートを入り乱れて駆け回るスポーツとは違い、攻撃と守備が入れ替わる野球では味方と相手を間違えることはほとんどなく、ユニフォームが似ていることでプレーに支障が出ることはない。
「1990年代以降はメジャーリーグ人気の影響もあって、各球団がメジャーチームに倣ってデザイン変更するムーブが起きました。2000年代に入ると黒やグレーを基調としたシックなデザインや、また限定盤などのバリエーションも増えたことで“ユニ被り”現象がたびたび起きています。
特にパ・リーグ球団は黒や濃紺をベースにするチームが多く、スタンドで応援するファンにも“ユニ被り”が起き、どちらのホームゲームかわからなくなることも(笑)」
定期的にリニューアルを繰り返し、さらに限定ユニフォームも制作したりと、各球団の資金源として欠かせない応援グッズとなっているレプリカユニフォーム。試合だけでなく“普段使い”できる、各球団がこだわりを追求したデザインの結果との側面もあるようだ。
一方で、今回の“黒ユニ”が話題になったことで、かつてのひと目でファイターズとわかるユニフォームを懐かしむファンも。
日ハムといえばオレンジよ
《帽子とアンダーシャツはオレンジにしてほしかった。かっこいいとか悪いとかの問題じゃなく、日ハムといえばオレンジよ》
《ファイターズのユニフォームは白地に黄色とオレンジのが1番スキ。 ビジターがオレンジだったのもまたいい》
《日ハムがオレンジを纏っていたことをレジェンドユニフォームで知ったファンは多いと思う》
1980年代から90年代初頭にかけて、読売ジャイアンツと共に東京ドームを本拠地とした時代を象徴する、ファイターズカラーとして知られた「オレンジ」。現在も白地に鮮やかなオレンジと黄色のラインが入ったユニフォームを好むファンは多い。
「“トレンディーエース”西崎幸広さんはオレンジがよく似合っていましたね。当時はホークスの前身である『南海ホークス』のグリーンや、『西武ライオンズ』のブルーといった原色系を基調にしたユニフォームも多く、他球団も赤や水色を取り入れたカラフルなユニフォームがトレンドでした。
文字通り各チームの“色”が出ていた時代でしたし、近年では復刻版ユニフォームとして選手たちが着る機会もありますが、やはり我々のようなオールドファンはワクワクしますよ。何よりも原色のユニフォームはグラウンドに映えますから」
“黒ユニ”試合が行われた同日、7月の9試合で着用する球団創立50周年記念の限定ユニフォームが発表された。白地に黒のピンストライプのクラシックスタイルに、右側の袖口とパンツに入れたラインはオレンジ。ファンも納得のデザインとなったことだろう。