拡散されたドライブレコーダーの映像より。女性は数々の交通違反を……(画像の一部を加工しています)

 子育ての苦労が伝わる、前後にチャイルドシートを搭載した『ママチャリ』。それにまたがる女性が交差点で自動車と鉢合わせに。

 女性は“右側通行で右折”。車は“青信号”ながらストップせざるをえない。にらみ合うように対峙する両者。女性は車に対してスマホのカメラを向けたり、電話(するそぶり)をしたり。何やら車に対して怒鳴っている。そんなドライブレコーダーで録画された動画が、運転手側と思われるアカウントで投稿され、SNSで大炎上中だ。

共感の声が多数

 動画に映る女性は数多くの交通違反を重ねていたため、批判の声が上がった。それとともに「自分も同じ経験が」という人も少なくない。

本来自転車は左側通行なのに、右側を走り、そのままノーブレーキで右折、片手にスマホ、そのうえ無灯火。同時に何個違反しているんだという人に遭遇」(30代・男性)

「交差点を直進しようと走ってたら、左から右側通行のママチャリが来て、ぶつかりそうに。“危ない! こっちは子ども乗せてんのよ!”って……。お子さんの将来が心配です」(40代・女性)

「歩道を歩いてたら、後ろからママチャリで追突された。で、“どこ見てんのよ”って怒られた」(20代・男性)

「自分もママチャリ乗ってるけど、こういう人ばっかりだと思われるのは本当に心外です」(30代・女性)

「幼稚園の送りの時間帯のママチャリ軍団は本当に怖い。複数人が横一列で走っていたり。自転車が走るのは歩道じゃないということ、左側通行ということを知らない人って案外多いんじゃないかと……」(30代・男性)

 

 今回はママチャリだったが、自転車の交通ルール違反は自転車の種類は関係なく、また老若男女いるだろう。

「信号無視は道路交通法第7条の違反で、罰則は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金。左側端通行義務違反(通行区分違反)は、道路交通法第17条第4項。同じく罰則は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金となります」

 そう話すのは杉並総合法律事務所の三浦佑哉弁護士。

「自転車は青信号の車の進路を妨害しているように見えますので、道路における交通の妨害として5万円以下の罰金となる可能性があります」(三浦弁護士、以下同)

 ながらスマホの運転は5万円以下の罰金。イヤホン運転は補聴器等は除き、東京都であれば5万円以下の罰金。

交通事故発生件数と死亡者数の変移

 一般的に車と自転車の交通事故は車が不利になりがちといわれるが……。

「信号機のある交差点で、赤信号の自転車と青信号の四輪車が衝突した事故の基本過失割合は、自転車が80%、四輪車が20%になります」

 一方でこの動画は第三者によっても広く拡散され、個人が特定されるなど別の事態、“違反者が被害者”にもなっている状況に。

 モザイクなどの修正なしで私人の動画を、たとえ(法律)違反をしていてもSNS等に投稿することは法的にどうなのか?

「修正をせず個人を特定できるような形で投稿しており、肖像権やプライバシー権侵害の可能性があります」

 それが第三者の場合は?

「動画を拡散するだけでも、運転手と同様に肖像権やプライバシー権侵害の可能性があります。特定された情報をインターネット上で拡散した場合には、プライバシー権侵害になる可能性があります。また、そういった情報に基づいて、女性の名誉を傷つけるような投稿などをした場合には、名誉毀損になる可能性があります」

 守るべきは交通ルールだけでなく、人間としてのモラルである。