「殺人犯として生きるということは、どういうことだと思いますか? 人殺し、生きる価値ナシ、人間のクズ、死んで償え……。有罪が確定した瞬間、こんな言葉があなたに浴びせられます」
衝撃的なセリフから物語がスタートした日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)。ドラマは4月14日より放送されており、主演を務めているのは、長谷川博己だ。
現役弁護士の間でも人気!?
「殺人で起訴された容疑者の無罪判決を勝ち取るほどの敏腕な弁護士を演じています。物語はオリジナルストーリーで、日本の司法制度の在り方に疑義を呈する問題作。衝撃的な展開が話題になっています」(テレビ誌ライター、以下同)
殺人や傷害といった刑事事件を扱うシリアスなドラマだが、並行して少しずつ主人公の過去も明かされる。今後の物語の行方も楽しみだが、弁護士という職業についてこんな疑問が。
「弁護する容疑者に有利な証拠を集めるために、長谷川さんをはじめ同僚弁護士たちは、被害者の遺族に接触したり、立場を偽って話を聞いたりするなど、かなり際どい手法をとっています。弁護士が、そこまでして証拠集めをするとは思えないのですが……」
ドラマだから─といえばそれまでだけど、その“リアル度”はいかほどか。現役の弁護士に聞いてみた。
「毎週、楽しんで見ています。弁護士仲間からも“気になる点も多いけど面白い”と評判はいいですよ」
そう言うのは、レイ法律事務所の高橋知典弁護士。好意的な評価だが、まずは気になる点を聞いてみた。
「ドラマで描かれる殺人事件の裁判では、犯行に使われたと思われる凶器が証拠として提出されますが、途中から凶器の話が消えてしまいました。刑事事件において、凶器はかなり重要な証拠なのですが。そういった点は“作り話”だなと思います。しかし、弁護士が直面する現実をリアルに描いているとも感じています」(高橋弁護士、以下同)
どういうことか。
「弁護士は依頼人のために一途に尽くす、というのは絶対に必要なことですが、依頼人の言っていることが真実か真実でないのかは、本当にわからないんです」
ドラマでは、殺人容疑で逮捕された男が本当に犯人なのか判然としないまま物語が進行していく。男は“無実”を訴え続けていたが……。
「不法侵入した弁護士がいるという噂も」
「犯行に及んでいるのに“やってない”と話す人がいる一方で、本人が“やりました”と話したとしても、それが真実ではない可能性もあります。例えば、警察による取り調べで嘘の自白をした結果“やった”と言い続けてしまう人もいれば、人生を諦めて投げやりになり、犯行に及んでいないのに“やった”と話す人もいます。弁護士が依頼人から嘘をつかれることは実際によくあるんです。だからこそ証拠が多数あろうが、依頼人が“やった”と言おうが、それが真実だとは思い込まないようにしています」
弁護士には、真実を見通す感覚を養う必要があるようだ。一方で、容疑者を弁護する主人公に反発する北村匠海が演じる新人弁護士のように、先入観に惑わされる人もいるという。
「性加害事件で多いのですが、正義感の強い若手弁護士などは依頼人に対して“絶対にやっているに違いない”と、真実はわからないのに思い込むケースがあります。その結果、依頼人への態度に出たり、同じチームの弁護士と衝突することもあります」
証拠を入手するため、ドラマのような“際どい”手法をとることはあるのか。
「ドラマでは、大学の構内に学生と偽って入りますが、これは不法侵入になる可能性がある犯罪行為ですから、違法な調査はやるべきではありません。ただ、調査のために侵入が禁止されている場所に入った弁護士も現実にはいるようです。あくまでも聞いた話ではありますが」
危ない橋を渡る弁護士も、少なからずいるという。ドラマといえど、なかなかリアルに描かれているようだ。
劇中では法律用語も多く、演じる長谷川も苦労したのではないだろうか。
「役づくりのため、実際の裁判を傍聴したそうです。それでも、難しい法律用語が頻出する長いセリフも多く、撮影では苦戦しているみたいです。4月11日、長谷川さんはドラマの宣伝のために朝の情報番組に出演予定だったのですが、寝坊して遅刻していました。“生放送に緊張してなかなか寝つけなかった”と話していましたが、疲れがたまっているのかもしれません」(スポーツ紙記者)
疲労が蓄積する背景には、母親の介護問題が一因だとする報道もあったが、所属事務所に問い合わせると、
「当人の親族に介護を必要とする状況の人はおりません」
と回答。
無人となった実家を改装
長谷川の実家の近隣住民は、その事情についてこう話す。
「博己くんの妹さんがご結婚されて、お子さんが生まれたんですよ。お母さんは、その育児のお手伝いのために娘さんと同居されていると聞いています」
建築評論家で大学教授だった長谷川の父は、2019年に他界した。そのため、長谷川の実家は今や誰も住んでいない。しかし、
「お父さんが亡くなった後、博己くんが業者を入れて、ご実家をキレイに改装したんです。給湯器や玄関のポストも直していました。お父さんが建てた家ですから、大切に遺したいという気持ちがあるんでしょうね」(同・近隣住民)
家族の“思い出の場所”が変わらないように─長谷川には、そんな思いがあるのだろう。その一方、変化している点もあるようだ。
「長谷川さんは役柄に入り込むと、その感情を引きずるタイプ。その役柄には、ずっと入り込んでいたいという思いを持ってもいたようです。しかし『アンチヒーロー』では、陰のある役柄でもあることから、感情に引きずられて演技が行き詰まることもあるよう。そのため今回は、オフには役柄から離れてリフレッシュすることを心がけているそうですよ」(芸能プロ関係者)
交際期間が10年以上となる、鈴木京香との関係についてはどうか。
「ドラマの放送が終わった6月に、ふたりが結婚する可能性はあるとも囁かれていますが、京香さんは“結婚はするつもりない”と宣言したともいわれています。ただ、長谷川さんは、そろそろ“京香さんの彼氏”という肩書から抜け出したいと考えていても不思議ではありませんよね」(芸能ライター)
ふたりが下す決断は─。