2020年10月、桶川市の自宅近くで車道センターライン付近をふらふら走行する“ひょっこり”寸前の成島容疑者(目撃者提供)

 9日、千葉県警柏署は自転車で危険な運転、いわゆる“ひょっこり運転”をしていたとして、同県柏市・無職の成島明彦容疑者(36)を道路交通法違反(妨害運転)の疑いで逮捕した。

 先月15日、容疑者は市内の道路で自転車を運転し、反対車線を走行する車の前に飛び出すようなそぶりをわざと見せて、車の進行を妨害したという。似たような自転車による危険運転が多数目撃されており、一部報道では年明けから計42件も起きていたとも。

 この男、“ひょっこり運転”で逮捕されるのは今回が初めてではない。4年前、『週刊女性PRIME』は“ひょっこり男”の素顔に迫っていた。

(以下は、2020年11月4日に配信した記事の再掲載です)

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 少年はニヤニヤしながらヨソの母子のあとをつけていった。自分より2~3歳下の男児が母親と外食に出かけるところ。母親は少年の尾行に気づいたが、おかまいなしにずっとあとをついていった。

 20数年後、大人になった尾行少年は全国のメディアで取り上げられる迷惑男に。

 埼玉県桶川市で自転車に乗って対向車の前に飛び出すなど走行妨害をしたとして、10月26日に道路交通法違反(あおり運転)で同県警に逮捕された成島明彦容疑者(33)である。

基本的にはおとなしい子だった

 冒頭の尾行エピソードの続きは後述するとして、まずは詳しい容疑を。

「10月5日午後2時過ぎ、市道を蛇行運転し、対向車線を走っていた40代女性が運転する車の前にひょっこり飛び出すなど通行を妨害した疑い。後続車のドライブレコーダーの映像などが逮捕の決め手になったようだ」

 と全国紙記者は言う。

 本誌既報(11月3日号)のとおり、成島容疑者はこの犯行直後、走行妨害を注意した72歳男性の胸ぐらをつかんだとして暴行容疑ですでに逮捕されている。

「昨夏には同県上尾市で車の前に飛び出し、道路交通法違反(安全運転義務違反)などで起訴され、今年2月に懲役2年(執行猶予4年)の有罪判決を受けている。

 社会問題化した『あおり運転罪』を新たに盛り込んだ改正道路交通法が今年6月に施行されており、自転車によるあおり運転への適用は全国初の事例となった。被害通報はほかに約50件あるともいわれ、埼玉県警は余罪を調べている」(前出・記者)

 金髪、サングラス、マスクで全身黒ずくめの成島容疑者とみられる走行妨害は周辺住民に何度も目撃されており、突然飛び出す犯行スタイルから「ひょっこり男」などと異名がついていた。

「犬の散歩中、ひょっこり行為を受けた車が歩道に迫ってきて怖かった」(女性住民)

「バスの前に飛び出し、急ブレーキをかけさせたことがあった。いつか大きな事故を招くのではないかと心配していた」(男性住民)

 しかし、成島容疑者は意に介さず、妨害を受けた運転手が注意すると、中指を突き立てて挑発することもあったという。

 どのようにして、手に負えない迷惑男は育ったのか。

 千葉県柏市で生まれ両親と姉の4人家族。実家アパートの周辺住民は「変人だけど、基本的にはおとなしい子だった」と振り返る。

「父親は朝早くからまじめに働くおとなしい職人さん。母親はパチンコ店に入り浸って、夫婦ゲンカがすさまじかった。まるで漫画のように皿や鍋が外まで飛んでくるほどド派手で、両親とも子どもには関心のない様子だった。いまで言う“放置子”だったんですよ」(同住民)

 小学生のころから、夏休みに親子で旅行することはおろか、日帰りのレジャーや外食に出かけるのも見たことがないという。

遊んでもらえないストレスが異様なかたちで表出

「変わった家庭で、自宅にトイレがあるにもかかわらず、父親と子どもたちはよくアパートの庭先でしょんべんをするんですよ。小学生ぐらいまでだったと思いますが、通りがかった人はびっくりするし、夏はアンモニア臭くってね」(同)

 両親は、日常の挨拶も近所付き合いもしようとしなかった。育児方針などがわからないため、近所の住民からは下手に声をかけづらい状況に。

 明彦少年(成島容疑者)が寂しそうにしているのを見かねた近所の高齢男性が、孫とのキャッチボールに加わらないかと誘った。

「アキちゃんは、誘えばまず拒まない」(別の住民)

 運動神経はよくないが、ふだん両親と遊べないストレスがたまっていたのか、楽しそうにボールを投げた。

十分遠ざかってから視線を向ける気の弱さ(住民提供)

 遊んでもらえないストレスは異様なかたちで表出するようになる。冒頭で紹介したヨソの母子尾行もそのひとつ。

 やがて母子は近所のファミリーレストランに到着した。からかうようにあとをつけてきた明彦少年に対し、

「アキちゃんも一緒に食べる?」

 とその母親は声をかけた。

「彼は何も答えず、黙って席について一緒にごはんを食べたそうです。目上の子に対してはつけ回したりできず、自分より幼い子に遠回しにちょっかいを出した」(一家の事情を知る住民)

 ただ、少年のころから“逆ギレ”することはあった。

 近所の男性からイタズラなどを注意されると、

「バカバカ、バーカ」

 と自宅に隠れてから言い返したという。

 中学生になると、遊んでくれる友達はさらに減り、成人したころには“ビジュアル系バンド崩れ”に近い格好をするように。黒服に身を包み、地元の駅頭で水商売の呼び込みなどをした。

柏市内で走行妨害を目撃

 桶川市に引っ越したあとも実家に帰省することがあった。

 さらに、前出の事情を知る住民は今年8月、柏市内で走行妨害を目撃している。実家アパートから少しだけ離れたエリアだった。

「けたたましい車のクラクションがしたので目を向けると、彼が例の黒ずくめの格好で蛇行運転し、後続車がつかえていた。地元でもやってんのか、と驚いた」(同・住民)

 柏市内ではほかにも、成島容疑者に似たスタイルで走行妨害する自転車の目撃例が。

 有罪判決からわずか1か月半後の今年3月のこと。

「夜10時ぐらいに車道の真ん中をゆらゆら走り、進路を妨害していたんです。暗くて人相はわかりませんが、ドライブレコーダーの映像(※下の写真)を見る限り、走り方なども似ていると思いませんか」

 と情報提供してくれた人物は言う。

2020年3月、成島容疑者の実家がある千葉・柏市の住宅地で手口のよく似た走行妨害が目撃されていた(読者提供)

 懲りない男にどう反省させればいいのか。

 実家の父親を訪ねると、「親子でもプライバシーはある」

 と言いながらこう話す。

「(明彦容疑者が罪を償い)社会に戻ってきたら? 家には入れないよ。僕も職場の先輩にぶん殴られることがあるけど、それは愛のムチでしょ。僕と同じように地味な男だし、いまでも“かわいい”と思っているから」

 成島容疑者の少年時代を知る女性は言う。

「あの子はかまってほしくてたまらないから、大人になってもこんなことをしているんだろう。かわいそうな子です」

 本誌既報で、桶川市でも容疑者を更生させようとする人たちを紹介したのだが、真摯に受け止められなかった33歳の男。

 更生の道は険しそうだ……。

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 再び逮捕された成島明彦容疑者、懲りない男という他に思い浮かぶ言葉はない……。