子役として俳優活動をスタートさせた小関裕太。その後、ミュージカルや舞台、ドラマや映画に出演。ドラマ『不適切にもほどがある!』『大奥』『癒やしのお隣さんには秘密がある』、ミュージカル『四月は君の嘘』、舞台『ジャンヌ・ダルク』などマルチな活躍をみせている。そんな彼が次に演じるのは、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のロミオ。言わずと知れた、シェイクスピアの名作だ。
『ロミオ&ジュリエット』の魅力
「ロミオを演じることが決まってから、稽古が始まった今に至るまでずっと変わらず、わくわくが止まりません」
彼の考える、『ロミオ&ジュリエット』の魅力は?
「ひとつは、シェイクスピアが大昔につくった物語やその言葉が現代でも受け入れられているというところに、作品のパワーを感じます。もうひとつは、“愛と憎しみ”という外せないテーマ。愛するからこそ戦う、愛するからこそ憎む、ぶつかる、つながる、時に死を考える理由にも、生きる希望にもなる。愛というテーマが、明るいだけでも暗いだけでもなく描かれているところだと思います」
これまで数々の俳優がロミオを演じてきたなかで、自分が演じるロミオについては、
「年齢がひとつの特徴だと思います。28歳で初めてロミオを演じた人は、おそらく少ないはず。僕の10代、20代前半の役や作品への向き合い方を振り返ると、その時にはわかり得なかったことがあると思うんです。きちんと18歳というロミオの年齢に落とし込んで演じたいですが、それを俯瞰している僕が28歳なのは良いことなのではないかな。ちゃんとロミオを演じきれる精神年齢が、僕の場合は今でした」
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』は何度も見てきたが、いざ自分が演じるとなると、見えてくるものが違うという。
「シェイクスピアの言い回しのおもしろさに気づくことがたくさんありました。調べていくと、日本人の感覚ではわかり得ないことだったりするんです。例えば、昔から言い伝えられているヨーロッパの妖怪の名前とセリフが掛けられている、とか。知らないとおもしろさがわからない要素や時代背景が、作中にいろいろなレベルで組み込まれています。とてもインテリジェンスを感じました。愛し合って、でも愛し合えなくて、逃げようとしたけどうまくいかなくて、亡くなっていく……というシンプルなストーリーに組み込まれた精密さがカッコいいんです」
そう熱を入れて話す彼の魅力を、潤色・演出を務める小池修一郎氏は“知性”であると評している。
“知性”と評される理由
「小池さんのそのコメント、僕も読みました。どうして“知性”と言ってくれたのかわからないので、いつかご本人に聞いてみたいなと思います。小池さんとは先日、ロミジュリの歴史や背景について教えていただく機会がありました。出演する作品の背景を調べるのは、僕の趣味でもあるからなんです。やらなくてもいい、“+α”の部分までやりたいんです。入り口は台本にするようにしていますが、その背景を調べることで新しいアイデアを得られないかな、と思っています。動画を見たり本を読んだり、人の話を聞くのも好きです」
この回答に彼が“知性”と評される理由がある気がするが……。
「僕がこの作品に出たいと思ったひとつの理由は、これからも舞台作品に携わるのであれば、シェイクスピアは外せないと思ったからです。シェイクスピアを知っているか知らないかでは、これからが大きく変わってくるんだろうなと。今、それを知れている毎日がすごく楽しいです」
満を持してシェイクスピアに臨む、“知性の小関裕太”。彼の演じるロミオが楽しみだ。
僕の名作
『ハリー・ポッター』、『グランド・ブダペスト・ホテル』、『インターステラー』……、僕にとっての名作はたくさんありますが、根源は『メリー・ポピンズ』だと思います。屋根の上でタップダンスを踊っている場面に魅了されて、小学校からタップダンスを習い始めました。その流れでいろいろなダンスを習い、事務所に所属して、今に至ります。お客さんとして楽しむ側から出る側に興味を持ったきっかけの作品です。
禁断の〇〇
“本当はしてはいけないけど、してしまう”ことという意味では、お酒を飲むときに水を飲まないことです。水も一緒に飲まないといけないとわかってはいるのですが、つい忘れてしまうんです。あまり翌日には響かないタイプですが、水を飲んでたら、もっと楽だったかも……と反省することはたまにあります(笑)。
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
【東京公演】5月16日~6月10日:新国立劇場 中劇場
【愛知公演】6月22日・6月23日:刈谷市総合文化センター
【大阪公演】7月3日~7月15日:梅田芸術劇場メインホール