日本テレビの水卜麻美アナ

 夏の風物詩といわれる『24時間テレビ』。毎年、日本テレビから発表される前にメインパーソナリティーやマラソンランナーは誰になるのかが話題になるが、今年は例年と違った“動向”が注目されている。

GWが過ぎて、5月中旬になってもメインパーソナリティーが発表されていません。昨年は『なにわ男子』が4月17日に、一昨年は旧ジャニーズ所属のタレントによるYouTubeグループ『ジャにのちゃんねる』が4月23日に発表されていたのですが……」(スポーツ紙記者、以下同)

 昨年11月には、番組の裏側で起きていた不祥事も発覚した。

「日テレの系列局である『日本海テレビ』の元幹部局員が、'14年から'23年にかけて、24時間テレビの寄付金など約1100万円を着服していたことが報じられました。この局員は“パチンコや飲食に使った”などと説明。懲戒解雇の処分が下されました」

不祥事に看板アナもガッカリ

 これを受けて日テレは、今年2月に特別番組を放送。

「24時間テレビチャリティー委員会を中心に、系列局の31社と関係者283人に調査を実施。ほかにも“不適切な寄付金の取り扱い”が2件あったことを報告しました。募金活動のモニタリングや現金管理の専門業者への委託など、4つの対策について説明がありました」

 この特別番組に出演したのは、日テレ看板アナウンサーの水卜麻美アナ。

「水卜アナは'13年から昨年の放送まで10年連続で24時間テレビの総合司会を務めています。彼女自身、番組の中で何度も寄付を募っていたこともあり、着服については激怒していたそうです。“会社愛”が強いことで有名な水卜アナですが、今回の騒動には、さすがにガッカリしていたようです」(テレビ局関係者)

 着服事件の余波が続く中、新たな問題も。

メインパーソナリティーの選考が難航しているようです。'00年以降、旧ジャニーズ事務所のタレントがほぼ独占状態で務めていたポジションでしたが、昨年に事務所の創業者による性加害が社会的な問題に。日テレ側は今年もこれまでどおり旧ジャニのタレントを起用する方針だった一方で、マネジメントなどを引き継いだ新会社の『STARTO ENTERTAINMENT』のほうが難色を示したとか」(前出・スポーツ紙記者)

 番組の存続自体が危機的状況にあるかと思いきや……。

「4月に行われた定例の社長会見で“今年も放送すべく、準備している”という説明がありました。今年は、例年より遅めの8月31日から9月1日の日程で放送することで内定しているようです」(前出・テレビ局関係者)

背景にある“スポンサーとの関係性”

 日本テレビに今年の24時間テレビの放送日について問い合わせたところ、

「番組の編成についてはお答えしていません」

 とのことだった。

東京・汐留にある日本テレビ本社

 こうした24時間テレビにまつわる事情について、フリーのテレビプロデューサーとして活躍する鎮目博道氏はこう説明する。

「日本テレビとしては、24時間テレビは何がなんでも放送したいはず。理由の1つに、長年にわたって番組に出資している大きなスポンサーの存在が考えられます。スポンサー側も、グッズの販売など連動企画があることを前提で動いています。番組を放送することで日本テレビ側も大きな収益を上げていますし、長年築いてきたスポンサーとの関係性をいきなり切るわけにはいきません

 社内の組織的な要因も考えられるという。

「日テレ内には、24時間テレビに携わる“専門の事務局”があり、1年がかりで番組の準備をしているんです。事務局そのものをすぐになくすことは難しいでしょう」(鎮目氏、以下同)

 番組を放送するうえで、日テレなりの“慎重さ”もあるという。

「募金の着服が発覚したことについて、日テレはかなり深刻に受け止めているそうです。元日の能登半島地震をきっかけに、各局で独自の募金窓口を開設していましたが、日テレだけは他機関の窓口を紹介するにとどまりました。震災直後は、着服への対策案が定められておらず、“体制が整わない状態で窓口を開設するのは危険”と、判断したそう。今年も24時間テレビの放送にこぎ着けるためにも、体制をきっちりと整えたいという意図もあったのでしょう」

 番組の放送日や放送内容の発表が遅れていることについては……。

「昭和の時代にスタートした24時間テレビは、最近では番組の“時代錯誤感”が指摘されています。少しでも時間をかけて“令和に合った番組を目指す”といった意向もあると思われます

 今年で47回目の放送となる24時間テレビ。生まれ変わることはできるのだろうか。

鎮目博道 テレビプロデューサー。1992年テレビ朝日に入社。報道番組プロデューサーなどを経て、『ABEMA』立ち上げに参画し2019年に独立。著書に『腐ったテレビに誰がした?「中の人」による検証と考察』(光文社)など