大谷翔平選手の元通訳《水原一平》の名前が記された、ある写真がSNSで話題になった。
「とある店の前に、スタンド型の祝い花がいくつか置かれており、その中の1つに《祝開店 元ドジャース 水原一平》と書かれていました。周囲の建物や看板などから判断するに、写真は日本で撮影されたものでしょう」(スポーツ紙記者、以下同)
水原一平の名前が記された祝い花が物議
水原被告が違法賭博に関与し、大谷選手の口座から多額の資金を盗んだのは周知のとおり。
「4月中旬には、米連邦検察当局から銀行詐欺容疑で訴追され、ロサンゼルスの連邦地裁に出廷。保釈金の約380万円を支払って保釈されました。そんな状況の水原被告本人が、日本に祝い花を出すとは思えないですよね……」
ネット上では、
《ネタですよね?》
《マジで面識ありそうに見えます》
《シャレにならない》
などの声が挙がっており、水原被告が贈ったものだとは誰も信じていないよう。
祝い花に名前が使われているのは、水原被告だけではなくて……。
「大谷選手の名前が書かれた祝い花の写真も、たびたびSNSに投稿されています。日本各地でこうした祝い花が出ているようで、とても本人によるものとは思えません。大谷選手といえば、出演しているCM商品や身につけている私物が軒並み“爆売れ”するという影響力の持ち主。その“流行”に乗っかろうという、些細な気持ちで誰かがやっていることかもしれませんが……」
弁護士の見解
祝い花に水原被告や大谷選手の名前を使うことは、法律的に問題はないのか。
弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に聞いた。
「まず、刑事上の責任についてですが、本人に許可なく祝い花に名前を使用し、そのことで客を“だまし”、客が“金を払った”ことの因果関係が証明されれば、詐欺罪が成立する可能性はあります」
ただ、その因果関係について、証明するのは難しいそう。
「開店の祝い花に書かれた有名人の名前を見て、入店する人は多くはないでしょうし、それがどれほど入店する決め手になったか、それがなければ入店してもお金は使わなかったのか、といったことを立証することは、なかなか難しいと思います」(正木弁護士、以下同)
民事上の責任については、『パブリシティ権』への侵害にあたると考えられる。
「『パブリシティ権』とは、法律上、明示的に認められた権利ではなく、人格権に由来する権利として、裁判例上、認められてきた権利です。
具体的には、野球選手や芸能人といった有名人が、その氏名や肖像の有する顧客吸引力を経済的に利用する権利です。無許可で有名人の氏名を使えば、そうした有名人の顧客吸引力を無断で利用することになりますから、当該有名人のパブリシティ権を侵害することになり、不法行為による損害賠償請求の対象となり得ます」
どのような行為がパブリシティ権の侵害に当たるかについての判例は、以下のように分けられる。
【1】肖像等、それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合
【2】商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付す場合
【3】肖像等を商品等の広告として使用する場合
「祝い花に勝手に名前を使用する行為は、このうちの《【3】肖像等を商品等の広告として使用する場合》に該当するのではないかと考えられます。そのため、もし名前を勝手に使用された有名人本人から訴えられたら、損害賠償を支払うことになる可能性が高いでしょう」
軽率に“翔平売れ”にあやかるのも、イタズラに人の名前を使うのも、法律的にはやっぱりアウト。
◆弁護士プロフィール
正木絢生 弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや借金・離婚・労働問題・相続・交通事故など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。
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