フレッシュな新入社員を迎えた新年度のスタートから、約2か月。ゴールデンウイークが明けてしばらくたった今、本人に代わり、退職の意向を勤務先に伝えてくれる「退職代行業者」が大繁盛しているという。
退職の理由は“配属先ガチャ”のハズレ、さまざまなハラスメントなど人それぞれだが、やはり人間関係の悩みが多くを占めるそう。
仕事が終わって疲れ果てて帰宅し、テレビのニュースに登場する爽やかなアナウンサーの笑顔を見て、「あぁ、こんな人が上司だったら……!」と妄想したことがある人も多いのでは。そこで今回は「上司になってほしい男性アナウンサー」について、アンケートを実施! 30代~60代の女性1000人から回答を得た。あなたの推しアナは?
物腰のやわらかさが好評でランクイン
7位となったのは、昨年NHKを退職してフリーとなった武田真一アナウンサー。朝の情報番組『DayDay.』(日本テレビ系)のメインキャスターに抜擢されて約1年。10代~40代の視聴者を中心に、順調に視聴率を伸ばしている。
「何か起きても穏便に対処してくれそう」(北海道・44歳)
「叱り方もほめ方も上手そう」(茨城県・40歳)と、穏やかな笑顔と人柄に親近感を抱く人が多い。
「番組開始当初はカチカチに緊張してらっしゃる様子でしたけど(笑)、今は彼の気さくなキャラクターが十分に発揮されていて、ほかの出演者の方々とのチームワークも抜群だなと感じます」と話すのは、放送作家でコラムニストの山田美保子さん。たしかに、武田アナが上司だと社内の雰囲気も明るくなりそう!
「朝の情報番組のキャスターに選ばれる人は、もともと女性視聴者に好感度の高い方。武田さんの物腰のやわらかさも、この多様性の時代に上司としていい塩梅なのかもしれませんね」(山田さん、以下同)
6位は、NHKの現役アナから唯一ランクインした高瀬耕造アナウンサー。武田アナの退職後、“NHKの顔”ともいえる立場に。昨年度から大阪放送局配属となり、単身赴任中であることを明かしている。
「誠実そうだし、部下にも丁寧に接してくれそう」(東京都・37歳)
「上司として、部下の仕事をきちんと評価してくれると思う」(神奈川県・65歳)など、NHKならではの信頼感はお墨付き。
「NHKはラジオ局も兼営しているだけあって、アナウンサーの声質はとても重要。高瀬さんってすごくソフトないい声をしていらっしゃるんですよね。まじめなのに冗談も通じるタイプで、年上からも年下からも慕われそうな人柄だと思います」
5位は、ランキング内では最年長の古舘伊知郎キャスター。1988年から続くトークライブ『トーキングブルース』では、毎回マイク1本で2時間以上の一人しゃべりを繰り広げる。圧巻のステージは伝説のライブとも称され、もはや芸術の域だ。
「機関銃のようにまくし立てるイメージだが、逆に自分もその勢いに巻かれてやる気が出そう」(北海道・52歳)
「失敗したときにちゃんと指導してくれつつ、元気もくれそう」(東京都・41歳)と、頼もしくエネルギッシュな上司像を求める人からの支持を集めた。
「午後のワイドショーでコメンテーターを務めていらっしゃいますが、ほかの人が躊躇してしまうようなきわどいテーマにも、はっきりとした口調で踏み込んで発言されています。逃げない姿勢が、部下から見るとすごくカッコいい。年齢を感じさせない若々しさにも驚かされます」
蝶ネクタイの癒し系フジテレビアナが4位に
4位にランクインしたのは、蝶ネクタイがトレードマークのフジテレビ・軽部真一アナウンサー。朝の情報番組『めざましテレビ』でエンタメキャスターを担当。
最近ではクラシックコンサートで共に司会を務める、高嶋ちさ子との軽妙な掛け合いが大好評。局内ではエグゼクティブアナウンサーで役員待遇にもかかわらず、「この豚野郎!」「遅ぇんだよ!」と年下の高嶋に怒鳴られ、たじたじとなる姿はまるでコントのようだ。
「癒し系上司ナンバーワン」(東京都・45歳)
「ほんわかとした雰囲気で、職場の空気を和らげてくれそう」(北海道・54歳)と、画面からも伝わってくる優しげなイメージで票を集めた。
「知り合いの会社員の女性が、上司として魅力を感じるのは男女問わず“可愛げがある人”と言っていたのが印象に残っているんです。軽部さんってまさにそのタイプ(笑)。元フジテレビの笠井信輔アナウンサーとコンビで、長年『男おばさん!!』(フジテレビONE)に出演されていますが、番組名のとおり“おばさん力”を兼ね備えているところもまたいいんです。
一方では超現場主義で、こまやかな気遣いもできる方。こんな方が上司だったら、安心感も抜群ですね」
第3位は、テレビ朝日で2011年から朝の情報番組のメインキャスターを務めている羽鳥慎一アナウンサー。今回ランクインした中では唯一の“バツイチ”。
「頭ごなしに叱ったりしなそう」(福岡県・65歳)
「部下とも対等に接してくれそう」(滋賀県・33歳)と、番組でのソフトな物腰が人気。
「玉川徹さんや長嶋一茂さんなど、癖が強い出演者たちも上手に操縦できるすご腕の猛獣使い(笑)。どんなメンバーがいてもみんなが意見を言いやすい雰囲気にしてくれるところはさすがです」
朝の情報番組で、50代以上の視聴率ではトップを誇る『羽鳥慎一モーニングショー』。今年4月からは、入社したばかりの新人、松岡朱里アナウンサーが番組アシスタントに。羽鳥アナとは父娘ほどの年齢差にもかかわらず、息の合ったコンビぶりが話題だ。
「この2人のやりとりが見たくて、朝はテレビ朝日にチャンネルを合わせてしまいます(笑)。Z世代の超新人の意見をきちんと聞いて、盛り立ててあげる羽鳥さんの人柄に好感を持っている視聴者はとても多いと思いますよ」
第2位は、今年1月に元フリーアナウンサーとの結婚を発表したTBSの安住紳一郎アナウンサー。ネット上には、安住アナの結婚にショックを受けたファンらによる“安住ロス”のワードも飛び交った。昨年には、同局現役アナとして初の役員待遇に。将来の社長候補としても名前が挙がっているという。
「部下への指導も、ユーモアをもって優しくしてくれそう」(宮崎県・30歳)
「偉そうな上司の理不尽な発言もうまくかわしてくれそう」(大阪府・44歳)と、そつのない器用さを評価する声が。
「実力も人気も申し分なくフリーになっても間違いなく成功できる人ですが、TBSひと筋。佐々木卓社長ともしっかりコミュニケーションが取れていて、好待遇で局に残り後輩の指導にもあたっています」
過去には、後輩だった元TBSの故・川田亜子アナウンサーの話題に触れ、後悔の涙を流したことも。川田アナの没後10年を迎えたある日、『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)でのこと。川田アナが亡くなる1年ほど前、仕事の相談を受けたが突き放してしまい、深く後悔していると言葉を詰まらせながら語った。
「どんな謝罪をもっても許されない」
「俺がこの局のアナウンサーを続けている限りは、川田のことを考えてあげたい」と涙声で言葉を絞り出し、後輩を思う安住アナの告白は、大きな反響を呼んだ。
「番組ではいつも冷静で自分のキャラを見せない安住くんですが、大御所にもひるまずにぶつかっていくなどサービス精神にあふれた人。事前に共演者のことを知るために最大限に努力をしているんです。
明石家さんまさんとも共通する部分がありますが、サービス精神がある人はおしなべて優しい。後輩の新人アナについても、一人ひとりのキャラクターを把握して上手に個性を引き出すなど上司としての優しさを感じますね」
コロナ禍を機に人気がうなぎ上りに
223票を集めて堂々の1位となったのは、この春に日本テレビを退社してフリーになったばかりの藤井貴彦アナウンサー。4月からは、有働由美子アナウンサーに代わって『news zero』(日本テレビ系)のメインキャスターに抜擢。今のところ、視聴率の面では少々苦戦しているようだ。
「自分の考えを押しつけず、部下の気持ちに寄り添ってくれそう」(東京都・33歳)
「包容力や清潔感がある。学びたい」(埼玉県・40歳)など、実直な人柄を支持する声が多い。
「日本テレビの同期でエースだった羽鳥アナとは違い、藤井くんはどちらかというと目立たないタイプでした。それを変えたのがコロナ騒動。出演していた『news every.』で、毎日のように視聴者に向けて誠実なメッセージを発し続け、その言葉に励まされる人々が続出したんです」
オリコンが毎年調査している「好きなアナウンサーランキング」では、2019年まではランク外だった藤井アナ。それがコロナ禍の2020年、いきなり3位に。それ以来4年連続でトップ3入りしている。
「14年にわたってメインキャスターを務めた『news every.』でも、見事にチームを引っ張っていらっしゃいました。かつての共演者で、榊原郁恵さんと渡辺徹さんご夫妻の長男である渡辺裕太さんや、NEWSの小山慶一郎くんは『藤井アナがお父さんで陣内貴美子さんがお母さん。まさに家族』と話していたことも。厳しさの中に温かみもある、まさに父親のような優しさがある人だなと思いますね」
最後に、今回はランキング外だったが、山田さんが個人的に「理想の上司」と感じる男性アナを挙げてもらった。
「まずはフジテレビの伊藤利尋アナウンサー。ソフトに見えて、実は誰よりも“戦うアナウンサー”という印象です。言いにくいこともきちんと発言し、迎合しない。さらに、共演者への目配り、気配りも素晴らしい。上司として、尊敬できる方だろうなと思います」
もう1人は元テレビ朝日の渡辺宜嗣アナウンサー。10年前、60歳を迎えて同局を定年退職したが、現在はフリーとして『朝まで生テレビ!』などに出演中。さすが山田さん、目のつけどころが渋い!
「そうそうたる論客に負けない冷静な振る舞いを見ていると、どんなことが起きてもこの人がいれば大丈夫!と思っちゃう。それでいて、やわらかい部分があるのも魅力ですよね」
厚生労働省が昨年10月に発表した最新の調査では、就職後3年以内の離職率は新規高卒者で約37%、新規大卒者で約33%にも及ぶという。男性アナウンサーのように爽やかで、頼りになって、ユーモアもあって、それでいて優しい上司がひとりいれば、職場の離職率も減らせるかも……?
上司になってほしい男性アナランキング
1位 藤井貴彦(フリー) 223票
2位 安住紳一郎(TBS) 207票
3位 羽鳥慎一(フリー) 144票
4位 軽部真一(フジテレビ) 34票
5位 古舘伊知郎(フリー) 33票
6位 高瀬耕造(NHK) 31票
7位 武田真一(フリー) 29票
8位 三宅正治(フジテレビ) 22票
9位 榎並大二郎(フジテレビ) 17票
10位 生田竜聖(フジテレビ) 15票
取材・文/植木淳子