6月1日まで、ヨーロッパ南東部に位置するギリシャを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま。首都アテネでギリシャと日本の外交関係樹立125周年を記念した式典に出席し、大統領を表敬訪問される。そんな佳子さまも当事者となる、皇室の未来を大きく左右する重大な議論が本格化している。
皇位継承のあり方で2つの案を議論
「政府は安定的な皇位継承のあり方をめぐり、皇族の数を確保するため、女性皇族を結婚後も皇室に残す案と、旧宮家の男系男子を養子に迎える案の2つを議論しています。中でも女性皇族を結婚後も皇室に残す案が成立した場合、“佳子さまの結婚後、ご本人や配偶者に支払われるお金がどうなるのか”も重要な論点となるでしょう」(皇室ジャーナリスト、以下同)
仮に結婚後も佳子さまが皇室に残られた場合、支払われる“お金の中身”とは─。
「現行の皇室経済法では、各宮家に支払われる年間の皇族費の金額が決まっています。皇族費とは《皇族としての品位保持の資に充てるために、年額により毎年支出するもの及び皇族が初めて独立の生計を営む際に一時金により支出するもの》と定義されています。しかし、当然ですが、結婚後に内親王が皇室に残った際に支払われる皇族費については規定がありません」
皇族費だけでなく、女性皇族が結婚した際に支払われるお金についても問題が懸念される。
「“皇族がその身分を離れる際に支出するお金”つまり、“結婚一時金”の問題もあります。これは、皇族費で定義される独立の生計を営む皇族に算出する年額(佳子さまの場合は1525万円)の10倍に相当する額となるので、1億5000万円ほどになります。ただ、このお金は結婚の祝い金ではなく、皇室を離れる際に支払われるものなので、佳子さまが結婚後も皇室に残られるのであれば、該当せず、支給されることはないでしょう」
'21年、この一時金を巡って騒動が起こった。
「眞子さんと小室圭さんの結婚に際して、1億5000万円が支払われるのか、その行方に注目が集まりました。SNS上では“一時金”の関連ワードがトレンド入りしたほど。最終的に眞子さんの意向を受けて支給されなかったのですが、結婚で皇籍離脱する皇族が一時金を受け取らなかったのは戦後初となりました」(皇室担当記者)
国民の血税から巨額の皇族費が
問題となるのは、皇室を離れるときに発生する一時金だけではない。
「仮に女性皇族と結婚した一般の男性が皇族になる場合、その方にも皇族費が発生します。紀子さまが結婚し、皇族となられた際は、当時秋篠宮さまに支払われていた皇族費3050万円の半額の1525万円となりました。
この前例にならうと、佳子さまが結婚され、独立した生計を営むと、佳子さまには年間で1525万円が支払われ、結婚相手の男性はその半額の762万5000円となり、合計で約2300万円が佳子さま夫妻に支払われることになります。言うまでもないですが、これらの皇族費は国民の税金から捻出されることになるでしょう」(前出・皇室ジャーナリスト、以下同)
まだ机上の空論ではあるものの、はたして国民からの理解は得られるのだろうか。
「現行の皇室経済法は、女性皇族が結婚後も皇室に残ることや、女性皇族と結婚する男性が皇族になることを想定していないので、あくまで現行の皇室経済法に当てはめた場合、という話になります。しかし、仮に税金から支払われることになれば、物価高に苦しむ国民からの批判的な意見は免れないでしょう」
自民党や公明党は“女性皇族の配偶者は皇族とならない”方針を主張しているが、皇族にならない場合でも「前例がない問題がいくつか出てきます」と話すのは、皇室制度に詳しい静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授。
「お住まいの問題が生じます。結婚した女性皇族は、現在の宮邸にそのままお住まいになるのが難しくなります。新たな宮邸を造る場合、高額な公費を捻出する必要性が生まれます。ほかにも、その住居に皇族でない配偶者や子どもが同居するのであれば、住民税などの問題も出てきます。法案が通過する前に、経済的基盤をどうするのか、国民に明示する必要があるでしょう」
配偶者が皇族になるか否か
配偶者が皇族になるか否かについて、「国としてしっかり審議している」と話すのは元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さん。
「男性皇族が結婚する場合、相手の女性は皇族になります。一般の女性を皇族という特別な立場として迎え入れてもいいのかどうかなどを国として決めるために皇室会議が開かれます。逆に、女性皇族が一般男性と結婚して皇籍を離脱される場合、皇室会議は開かれません」
そもそも皇室会議とは、どのような機関なのだろうか。
「男性皇族の結婚相手についての認否だけでなく、皇位継承の順位変更などを合議する機関で、内閣総理大臣や宮内庁長官などが出席しています」(前出・皇室ジャーナリスト、以下同)
制度的な問題以外にも、今回の法案が採用され、配偶者も皇族となった場合、一般男性を皇室に迎え入れるリスクは当然ある。
「女性皇族と結婚したお相手が、例えば小室圭さんのように家族が金銭トラブルを抱えていたなど、国民が看過できず、皇室の尊厳が損なわれるような事柄が発覚しても、すでに男性皇族となっているため、取り返しのつかない状況になることもあり得ます。眞子さんのときは制度上、皇室から出られる方だったため、結婚後は皇室に関する問題は現状起こっていません」
ただ、一般の男性が皇族になれば、皇族費は莫大な金額になりそうだ。
「現行の法律だと、佳子さまと結婚相手の皇族費は、年間で合わせて約2300万円。そのお相手が、佳子さまと同い年の30歳だと仮定した場合、日本人の平均寿命は約80歳前後なので、50年で11億5000万円。これに加えて、独立の生計を営む際の一時金として支払われる2人分の3050万円を合わせると、その総額は約12億円に上ります」
巨額の皇族費を踏まえ、前出の小田部教授は苦言を呈する。
「現在いらっしゃる未婚の女性皇族が全員、女性宮家を創設し、お相手を皇族としてしまえば、それだけ巨額な公費支出を国民に強いることになります。皇族数の増加よりもご公務の再検討、再整理、経費削減の問題が先にあるべきでしょう」
12億円の皇室マネーは現実となるのか。やはり、皇族の結婚は一筋縄ではいかないようだ。