天皇、皇后両陛下は5月21日、千代田区立九段幼稚園を訪問された。
「雅子さまは腰を折り、工作に取り組む園児たちに目線を合わせながら“難しいですか?”などと、お声がけされました。15日には自身が名誉総裁を務める日本赤十字社の式典に出席されるなど、5月はお出ましが続きました」(皇室ジャーナリスト、以下同)
雅子さま、体調に波
5月25日から26日は、『第74回全国植樹祭』にご出席のため、岡山県を訪問された。
「雅子さまはいまだ適応障害の治療中で、体調には波がおありです。植樹祭は、両陛下が毎年欠かさず、特に重きを置かれる4つの公務である『四大行幸啓』のひとつ。
これまでは、そうした大きな公務の前は体調を整えるため、お出ましを控えておられました。しかし、令和に入って丸5年がたち、皇后としての公務にも慣れ、ご自分の体調ともうまく向き合うコツをつかまれたのかもしれません」
一方で、植樹祭の開催には疑問の声も上がっている。
「植樹祭は、戦後の荒廃した国土を復興させる緑化運動の一環として1950年に始まりました。毎年この時期に開催されており、両陛下のご臨席のもと、記念植樹などを行います。しかし、終戦から80年近くがたとうとしている今、“緑化運動としての役割は終わった”との声もあり、不要論も出ています」
両陛下が出席をやめない理由
それでも両陛下が出席をやめない理由について、『皇室の窓』(テレビ東京系)で放送作家を務めるつげのり子さんはこう分析する。
「植樹祭は、国民が自然に親しむことを狙いとしています。両陛下が式典に出席されることで注目が集まり、多くの人が自然の大切さを知る機会となるでしょう。ですから、緑化が済んだからもうやらなくてもいい、という価値観の行事ではないのです」
さらに“国民と苦楽を共にする”ことを基本姿勢とされる両陛下にとって、植樹祭は欠かせない行事だと語る。
「両陛下は、国内外のいろいろな場所へ赴き、人々と直接交流することを大切になさっています。そんな両陛下にとって、植樹祭を含む四大行幸啓は特別な機会といえるでしょう。というのも、四大行幸啓はすべて、全国の都道府県の持ち回りで行われており、毎年開催地が変わります。両陛下は、これらの式典に出席するために全国へ赴き、その足で周辺を訪ね、人々と交流することを慣例としておられるのです」(つげさん)
両陛下のご結婚30周年に際して公開された文書でも、おふたりは国民に寄り添う意思を明示されている。
《これからも各地に足を運び、(中略)多くの人々と出会って話を聞き、時には言葉にならない心の声に耳を傾けながら、困難な状況に置かれた人々を始め、様々な状況にある人たちに心を寄せていきたいと思います》
そのお言葉のとおり、今回の植樹祭でも、西日本豪雨で被害に遭った人々や、現地の子どもたちと交流された。
植樹祭に先立って、両陛下に演奏を披露した岡山市ジュニアオーケストラの運営を務める難波正章さん(63)はこう振り返る。
「雅子さまからは“素晴らしい演奏でした”とのお言葉をいただきました。おふたりの柔らかい雰囲気に、私も子どもたちも、自然と会話に引き込まれていったような気がいたします」
これからも雅子さまは“会いたい人”のため、全国を行脚されることだろう。