「12月にアメリカに引っ越して芸人として活動しようと決めまして、芸人だけでなく世界に映画監督として作品を届けられるように頑張りたい」
『第77回カンヌ国際映画祭』が開催されたフランス・カンヌで、海外進出と映画監督になることを発表したのは、ゆりやんレトリィバァ(33)。これに対しネット上では「ゆりやん、おまえもか」との声が多数上がった。
しかし、芸能人が映画監督をするのは珍しいことではない。柴咲コウ、前田敦子、松田聖子、小栗旬、桑田佳祐、さだまさし、黒木瞳など数多くの俳優やミュージシャンが“二刀流”の経験を持つ。
芸能人が映画監督を務める理由
その背景について、映画ライターのよしひろまさみちさんに解説してもらうと、
「俳優に現場で決定権はありません。決定権を持っているのは監督かプロデューサーなので、俳優として映画に参加したことのある芸能人であれば、自分で現場をコントロールできる映画監督をやりたがるのは自然なことだと思います」
芸能人が映画監督を務めることで、製作サイドにもメリットがあるという。
「映画を作ろうとすると莫大なお金と多くの人が必要になります。無名の監督より、知名度のある人が関わっているほうがお金も人も集まりやすくなるんです」(よしひろさん、以下同)
しかし、『HANA-BI』('97年)でベネチア国際映画祭金獅子賞受賞など、世界で評価される北野武以外の芸能人がメガホンを取った作品で、これといったヒット作は思い浮かばないが……。
「自分が映画の現場にいたからできると勘違いして監督をやると、現実の壁にぶつかって、あまりいいものができなくてスベるということがありますね。一流の料理人が作った料理を簡単にはまねできないのと同じです。
でも、俳優が監督を経験すると裏方の気持ちがわかるので、それはいいことだと思いますよ」
北野武には「圧倒的な才能」
“世界のキタノ”は他の芸能人たちと何が違うのだろうか。
「北野武さんには圧倒的な才能があります。まず、脚本を書く力がすごい。自分で手がけたストーリーを自分で作れる、0から1を生み出し、1を100にできる人です。
映画もたくさんご覧になっているそうで、こうしたら面白くなるというのもわかっています。また、『北野武が作る映画はすごい』というブランド化にも成功しているので、ヒットするのでしょう」
芸能人が監督した作品で、よしひろさんイチ推しの映画があるという。
「千葉雄大さんが監督・脚本を務めた短編映画の『あんた』はすごく面白かったです。初めて作ったとは思えないほどでした。伊藤沙莉さんと千葉さんの2人しか出てこない会話劇なのですが、アドリブに見えたシーンも全部セリフだったとインタビューで答えていて本当に驚きました。それぐらい自然な演技でした」
ゆりやんが監督に挑戦することについては、
「監督としてはまったくの未知数ですが、芸人としてのポテンシャルはとても高いので、期待しています」
「ホラー映画を作るのが夢」と語っていたゆりやん、監督した作品で興行収入が絶叫ものにならないといいが……。