結婚は人生の転機だ。特に、年を重ねたモテ男の決断は何かと注目を浴びやすい。
飯豊まりえとの結婚を発表した高橋一生もまたしかり。相手が17歳下ということを揶揄する声も飛び出した。
男性が年長の「年の差婚」についてはここ数年、城島茂(25歳差)やハライチ岩井勇気(18歳差)も逆風を受けるハメに。本人たちにすれば大きなお世話だろうが、何かと世話を焼きたくなるのが結婚という出来事だ。
そこで筆者も、ちょっと世話を焼いてみたいと思う。
まず、年の差については、2018年に高橋との熱愛を報じられた森川葵も15歳下。たしかに、年下好きなのかもしれない。
安定した家庭に必要な「バランス感覚」
ただ、飯豊とゴールインにまで至ったのは別の要素も大きいのではないか。
例えば、高橋は子役出身でデビューは9歳。一方、飯豊も10歳で小学生モデルとなり、そこから女優へと地道にステップアップしてきた。
また、彼女はヒロインの敵役やライバル役で味を出すタイプ。ヒロインは広瀬すずや杉咲花、黒島結菜だったが、黒島のときは飯豊のほうが視聴者に支持されたりもした。
顔立ちや芝居に押しの強さがないところが、穏やかなイメージにつながるのだろう。そのあたりが素なのかどうかはともかく、年上のイケメンを狙ってあざとく迫ったという印象は持たれにくいのではないか。
むしろ気になるのは、高橋の育った環境だ。かなり複雑な家庭で、今は亡き母親とは約10年、絶縁に近い状態だった。母親は3度の結婚で、5児を出産。金銭感覚もルーズで、彼の弟は学費を払ってもらえなくなり、私立中学を途中でやめざるをえなかったという。
こういう環境で育った人は親と似たことをしてしまうパターンもあり、安定した家庭を築いていくには衝動に流されないバランス感覚が必要だ。
寄稿から伝わる「負けん気」
その有無を考える手がかりになりそうなのが、彼が2年前に書いた文章。ドラマ化もされた『拾われた男』(松尾諭)の文庫版に、松尾の友人として寄稿したものだ。
高橋は単行本の時点で献呈されていた友人の自伝を、まだ読んでいなかったと告白。その理由のひとつとして、こんなことを記している。
《文春文庫さんの秋のキャンペーンだかなんだかで帯をやらせていただいているにも関わらず、同じ時期に週刊文春さんが、高橋一生は落ち目の俳優であるとの記事を書くという、週刊誌さんの僕に対するイメージ操作がとても残念な感じだったので、こちらの出版社関連のものは敬遠していて》
ある意味、文春にケンカを売るような文章だが、この寄稿を承諾したことでバランスをとったともいえる。
また、松尾についても、深夜に泊まりに来たあげく《いびきのうるささ》に《一睡も出来ないまま》《舞台の初日》を迎えさせられたというエピソードを途中で紹介。それでいて、最後の一文で、
《予想外なことに、初日のお芝居すこぶる調子良かったし》
とオチをつけ、バランスをとっている。こういう人なら、とかく難しい家庭の舵取りもうまくやっていくのではないか。
それにしても、この寄稿から伝わってくる負けん気や、こだわりの強さはあの「岸辺露伴」とも重なるものだ。当たり役になったのもうなずけるが、家でもあの感じだと、飯豊も気疲れしそうで心配になる。
いや、それこそ、大きなお世話だろうけど。美男美女の結婚は、嫉妬やひやかしを引き受けるのも宿命なのだ。
ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。