星野源

 世間を賑わせた「星野源が女子アナと不倫」という“怪情報騒動”は、沈静化に時間はかからなかった。

 事の発端は、暴露系インフルエンサー・滝沢ガレソ氏によるXへの投稿だった。5月22日の夜、滝沢氏はXで《超有名女優とドラマ共演して電撃結婚した男性歌手が、結婚後に今度は番組共演した某NHKアナとW不倫》《今年の元旦に某週刊紙が本件をすっぱ抜く予定だったものの男性歌手の所属事務所が10億円を支払って記事を揉み消した件》などとポストした。それが瞬く間に拡散され、滝沢氏のポストで実名は出されていなかったもののXユーザーは、この“歌手”が星野だと想起したのだった。

「事実無根です」怒りの声明

 この騒動に対し、星野の所属事務所・アミューズは5月23日深夜にXを更新して次のような声明を発表した。

《星野源において当該投稿にある事実は一切なく、また当社が記事をもみ消した事実も一切ありません。虚偽の情報の拡散、発信には法的措置を検討いたします》  

 また同日、星野もインスタグラムストーリーズを更新。《いまSNSやインターネット上などで噂されている件に事実は一切ありません。事実無根です》と、疑惑を完全否定した。

 実は、「星野が女子アナと不倫している」という怪情報が流れたのは今回が初めてではない。昨年の秋ごろから、マスコミの間では噂になっていた。

複数の週刊誌に、探偵を名乗る男から“星野が女子アナとセクシー女優と二股不倫している。ガッキーが激怒して別居。離婚が近い”というタレコミがあったそうです。それで数社が取材をしていたのですが、まったく裏が取れない状態でした。それでも記事を出そうとした媒体もありましたが、『FRIDAY』が今年3月、夫妻が新しいマンションに引っ越していたことをスクープし、ふたりの同居は続いていることが判明。情報がガセであることがわかりました」(スポーツ紙記者)

「10億円」情報はどこから?

 その“偽情報”が、なぜまた今ごろになって出回り始めたのか。

5月に入ってから、不倫相手とされていた女子アナの離婚が報じられました。対して、星野さんとの“不倫疑惑”はいっさい週刊誌に取り上げられていなかったことが、《揉み消した》という偽情報に少しばかり信ぴょう性を持たせることができると考えたんじゃないでしょうか。滝沢氏がアレンジしたのか、最初に情報を流した人物が考えたのかはわかりませんが」(同・スポーツ紙記者)

 ただ、業界の人間には、このポストが“ガセネタ”に基づくものだとすぐに分かった。それはもみ消しに使われた“10億円”という法外な金額の件からだ。

『逃げるは恥だが役に立つ』のメインキャストの新垣結衣と星野源。番組がきっかけでのちに夫婦に

 確かに、星野の事務所は2月に今年3月期通期連結業績予想を発表し、その中で営業利益が従来予想の27億円から10億円減の17億円と下方修正した。偽情報発案者は、それを雑誌社に渡した10億円と結びつけようとしたのだろう。実際、星野の事務所は東証の最上位プライム市場に上場しており、そんな会社がスキャンダルのもみ消しで簡単に10億円を計上することなどできないだろうと、会社経営の点から指摘する報道もあった。

 だが、芸能界はそんな単純なものではない。政治家の裏金と同じで、「用意しようと思えばそれくらいのお金は簡単に用意できる」と語るのは老舗芸能プロダクション幹部。

「過去に例はあります。人気歌手の親族が事件を起こしたときに、そのもみ消しに政治家も巻き込んで数億円のお金が動いたことがあります。もっとも、そのときは報道のもみ消しではなく、事件そのものをなかったことにするために使われました」

もみ消しは「絶対にできない」

 また、報道されたことによって莫大な損失が生まれるような案件なら別だが、不倫スキャンダルで10億円の損失が生まれることは「まずない」という。

「多数のCMに出演していたり、ドラマに出演中あるいは放送が予定されていてすでに撮影が終わっているとか、レギュラー出演している番組が複数あるということになれば、スキャンダル発覚による違約金が莫大な額になるケースはあります。ただ、それでも10億円まではいかないでしょう。また、活動休止を余儀なくされる場合でも、薬物乱用や被害者がいる刑事事件のような犯罪でない限り、復帰にそこまでの時間がかかることはないだろうし、星野さんなどのミュージシャンは、音楽活動を続けることもできる。ですから、不倫疑惑が万が一事実だった場合を想定しても、事務所が10億円を払うことは到底考えられないのです」(同・芸能プロ幹部)

星野源

 メディアの人間は、今回の騒動を一笑に付する。

「仮に星野さんと林田アナが不倫関係にあったとして、それを証明する現場を押さえようとすれば、相当な機動力が必要となります。詳細な情報収集と記者、カメラマンもある程度の人数が必要となります。名前の知られている有力な週刊誌でなければ不可能でしょう。そんな媒体を抱えているのは大手雑誌社なので、もし“お金をもらって記事を差し止めた”なんてことがわかったら、信用にかかわる大問題。その週刊誌は廃刊になる危険性もありますし、雑誌社も世間の非難を浴びることになります。お金でもみ消すなんて、絶対にできないことです」(ワイドショースタッフ)

 滝沢氏自身が「10億円支払うから暴露を止めてくれ、と事務所に持ち掛けられた」というならまだしも、もしよそから得た情報の裏取りもしっかりとせずに発信しているとしたら、フォロワーも愛想を尽かすだろうし、しっぺ返しを食らうこともある。たとえ実名が出ない暴露でも酒席で交わされる噂話ではないのだから、ファクトが要求されるのは当然のこと。過去には週刊誌も噂話や目撃情報で記事を作ることもあったが、今はそれが許される時代ではない。噂話を垂れ流すだけの“暴露系”だとしたら、限界が近いのではーー。