《高校野球じゃないんだよ》
《運動会みたい》
《消費者に寄り添えない一方通行な企画》
そんな批判の声が殺到したのは、5月29日に国立競技場行われたサッカーの親善試合。
「日本代表の久保建英選手率いる、スペインの名門『レアル・ソシエダ』と『東京ヴェルディ』の試合です。海外チームとの試合は滅多にない機会なので応援しに来ました」(20代の会社員男性、以下同)
来場者数は4万人以上も後味の悪さ
ソシエダはスペイン1部リーグに所属。5月25日にリーグ最終節を終えた選手たちは翌日、スペインを発って来日。
普段、テレビやネットでしか見ることができない世界トップレベルの選手によるプレーを生で見ようと、多くのファンが会場に足を運んだ。
「平日の夜でしたが、来場者数は4万人以上。久保選手は、後半3分までのプレーでしたが、巧みなプレーを見せて会場は沸きました」
試合は2対0でソシエダの勝利。地元・東京で悔やまれる敗戦となったヴェルディだが、勝敗よりも後味の悪さが残った点が。
「一試合を通して、ブラスバンドが生演奏をしていました。選曲は、ZARDの『負けないで』や『ルパン三世』のテーマ曲など。演奏自体は素晴らしかったのですが、まるで高校野球の甲子園のようで……。サッカーの試合とは思えない、何とも言えない違和感がありました」(ヴェルディのサポーター男性、以下同)
普段のサッカー観戦とは違った光景に、SNSでは冒頭のような批判が書き込まれた。
「ネット配信で試合を見ていた友人からは“24時間テレビかと思ったわ”と言われました。試合中ではなく、オープニングセレモニーとかハーフタイムショーといったタイミングに限った演奏にしてほしかったです」
楽器の音しか聞こえなかった
サッカーは、両チームのゴール裏をサポーターが先導して、太鼓や手拍子で応援するケースが多い。その声量は、スタジアムの外からでも聞き取れるほどの大きさ。しかし、今回は楽器の音しか聞こえなかったという。
「本来なら自由席であるはずのゴール裏が、当初は指定席での販売だったのです。自由席でないと、団体での先導応援は難しい。そこで今回、ヴェルディの応援団は、先導応援をしないことにしました」
後に、このゴール裏の1階席は自由席に変更されたが、時すでに遅し。一度、しないと決めた先導応援が復活することはなかった。
「事実上の応援なしの試合は、選手にとってもサポーターにとっても苦い思い出になりました。だからといって、なぜブラスバンドによる生演奏を手配したのか……」
今回の試合を企画したソシエダのスポンサーである『ヤスダグループ』に、ブラスバンドを手配した意図を問い合わせたが、期日までに返答はなかった。
貴重な国際親善試合だったが、今後の応援の仕方にも課題が残ったようだ。