「先ほど社長より辞令をいただき、温かいお言葉をかけていただきましてうれしく思うと同時に社会人としての一歩を踏み出したのだと、身の引き締まる思いがいたしました。(略)早く職場になじみ、皆様のお役に立てますよう頑張ってまいりたいと思っております」
日本赤十字社で働く愛子さま
天皇、皇后両陛下の長女、敬宮愛子さまは4月1日、日本赤十字社に入社し、東京都港区にある本社に出勤した。ネイビーのスーツ姿の愛子さまは本社玄関前で取材に応じ、冒頭のように抱負を述べた。愛子さまは現在、ボランティアの育成や研修などを担当するボランティア活動推進室の青少年・ボランティア課で、常勤の嘱託職員として働いている。
2007年4月6日、秋篠宮家の次女、佳子さまは東京都新宿区にある学習院女子中等科の入学式に出席した。紺のセーラー服に青のスカーフという制服姿の佳子さまは、同じ場所にある学習院女子高等科に入学する姉、小室眞子さんと一緒に登校した。付き添いの母親、紀子さまとそろって、校門前で記念撮影をしたが、宮内庁によると、学習院女子中、高等科は共通する学校行事が多く、佳子さまは姉と同じ場所に通うことを楽しみにしていた。
佳子さまは、小さいころから愛子さまと仲良しだったと、この連載で触れたことがある。佳子さまが中学校に入学した2007年、秋篠宮さまが42歳の誕生日を迎える前に行われた記者会見(11月22日)で秋篠宮ご夫妻は、佳子さまと愛子さまとの心温まる交流の様子を紹介している。
「皇太子ご一家(現在の天皇ご一家)と秋篠宮ご一家のお子さま方を通じた交流のエピソードについて、お聞かせください」と、記者たちから尋ねられた秋篠宮さまは次のように答えた。当時、皇太子ご一家と秋篠宮ご一家は、同じ赤坂御用地に住んでいた。
「例えば、休日とかに散歩をしていたりしますと、皇太子家もちょうど散策中であったり、またテニスをされていることもあると思いますし、そういうところで時々会っていろいろ話をしたりしますけれども、ひとつ印象に残っているのは、この夏でしょうか、夏でしたね。こちらの家のほうに皇太子同妃両殿下と愛子内親王とが遊びに来られて、何て言いましょうか、年齢的にどちらかというと近い二番目の娘が特にそうなんですけれども、愛子内親王と遊んだりそういう触れ合う機会を楽しみにしているんですね。
それでそのときは大変暑い日でしたけれども、子どもたちが3人でかなりの長時間、屋外で楽しそうに走り回っていた。それがとても印象に残っております」
紀子さまが語る子どもたちの様子
紀子さまも子どもたちの仲の良い様子を続けて語った。当時、愛子さまは、佳子さまたちも通園した学習院幼稚園に通っていた。悠仁さまは生後1歳2か月だった。
「ご都合のよろしいときに皇太子同妃両殿下、そして敬宮さまがご一緒に宮邸へいらっしゃいます。敬宮さまは年齢の近い佳子、それから眞子と動物のぬいぐるみやおもちゃなどで遊び、そばでは悠仁がうれしそうに過ごしております。
また外では、先ほど宮さまが夏とおっしゃいましたけれども、何回かお庭にも出てお遊びになり、敬宮さまは娘たちと一緒に元気に走り、庭からとても楽しそうな声が響いてきました。暑いときにはやはり水を飲み、また外に出てはという感じで過ごしておりましたけれども、楽しそうにしていました」
「敬宮さまが幼稚園に通園されて幼稚園の遠足や運動会などさまざまな行事に参加されていらっしゃいますが、娘たちも同じ幼稚園に通園しており、同様の経験をしておりましたこともあり、また皇太子同妃両殿下と同じように私たちも親として出席した行事もあるために、幼稚園の生活についてお話が皆で弾むこともございました」
2009年2月20日、天皇陛下(当時の皇太子さま)は記者会見で弟の秋篠宮ご一家との親しい間柄について次のように語った。当時は、雅子さまが病気療養6年目で、東宮職医師団は「妃殿下のストレスの軽減がどのような速度でもって行われるかを具体的に見通すのは難しい」として依然として体調に波があるとの見解を示していた。また、愛子さまは、学習院初等科1年生だった。
おひげのおじちゃま
「秋篠宮家とは幸い、住まいが近くになりましたので、3人で歩いて遊びに行ったりします。また、愛子が赤坂御用地で遊んでいるときに、眞子内親王さまや佳子内親王さまに声をかけていただいて一緒にお遊びしたりしたこともあります。また、初等科への通学の朝、御用地内で、私たちよりも先に私の弟の姿を見つけ、『おひげのおじちゃま』とうれしそうに報告してくれたりすることもありましたし、秋篠宮家のお子さん方とまたお遊びできる機会をとても楽しみにしているようです」
幼いころの愛子さまは、秋篠宮さまを「おひげのおじちゃま」と呼んでいたとのエピソードが、なんとも微笑ましい。
現在、全日本ろうあ連盟非常勤嘱託職員の佳子さまは、得意の手話を生かして聴覚に障がいがある人たちと積極的に交流するなど、公的な活動の場で活躍中だ。昨年、南米ペルーを公式訪問中に佳子さまは、聴覚に障がいのある子どもたちが通う、首都リマ市にある唯一の公立ろう学校を訪問して、ペルーで使われている手話を使って挨拶をしたり、子どもたちと交流を深めた。
20歳の成年皇族となった愛子さまは2022年3月、初めての記者会見で「ボランティアとして被災地で活躍されている方々の様子をテレビなどの報道で目にしまして(略)人の役に立とうと懸命に活動されている姿に非常に感銘を受けました。(略)私自身、災害ボランティアなどのボランティアにも関心を持っております」「盲導犬や聴導犬といった働く動物たちにも学校主催のイベントや動物についてのフォーラムの折などに触れる機会がございまして、動物好きの私といたしましては、心惹かれるものがございます」などと述べている。
「国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にしながら務めを果たす」ことが皇室の基本である。特に、被災者や障がいのある人といった社会の弱者に寄り添うことがより皇族たちに求められている。その意味でも若い内親王、佳子さまと愛子さまが目指すところと重なる。
これからの2人の活躍が、大いに楽しみだ。
<文/江森敬治>