5月26日、事件・芸能リポーターの東海林のり子さんが90歳の誕生日を迎えた。
「東海林さんは、大好きなリポーターの大先輩です。誕生会に行って、お話ししてきました。私が新人で、まだ事件リポーターだけをやっていたころ、“この仕事は長く続けることだよ”と言ってくれましたよね、って」
芸能リポーターが絶滅の危機に!?
新人時代の思い出を語ってくれたのは芸能リポーター、川内天子さんだ。
「リポーターという仕事に誇りを持てないと続かない、しがみついてでも続けなさい。そんな意味なのかなって、最近になってようやくわかりました、とお伝えしたら“アタシ、そんなこと言ってた?”って、とぼけて(笑)」
東海林さんは第1世代、川内さんは第2世代と呼ばれる芸能リポーターだ。ワイドショーの黄金期、事件や芸能のリポーターは花形職業だった。だが、その肩書を持つ人々が今、絶滅の危機にさらされている。
「絶滅の危機というと数が“減っている”ようですが、正しくいえば“増えていない”状況。いまや芸能リポーターは若い人が目指す仕事ではないし、需要も多くない。今まで活躍していたメンバーのままで回しているというだけのことですね。時代が変わってしまったのかなぁって思います」(川内さん、以下同)
第1世代であった前田忠明さんや梨元勝さん、須藤甚一郎さん、鬼沢慶一さんらはみな鬼籍に入った。東海林さんも阪神・淡路大震災での衝撃を機に、リポーターとしての表立った仕事は引退と決めたという。
「私と同じ第2世代といわれる井上公造さんも、体調の問題を理由に一昨年、リポーターを卒業しています」
“芸能リポーターは嫌われるもの”
もっとも若い、第3世代と呼ばれる層を代表するリポーター・駒井千佳子さんも、来年には還暦を迎える。ここまで下が育たない理由は何か。
「ワイドショーがエンタメ情報番組になったから、芸能ニュース自体がないんです。芸能人のエグいスキャンダルやプライベートを、視聴者がテレビ番組に求めない。ネットニュースのほうが早いし、内容を深掘りするならSNSをチェックすればいい。テレビ局側も、わざわざコンプライアンスや人権に触れる危険を冒したくない。だから、そこに踏み込もうとするリポーターという存在が重要ではなくなったのかもしれません」
“芸能リポーターは嫌われるもの”と川内さん。
「芸能人、そのファン、事務所から嫌われるのが私たちの仕事。また昔のようにスキャンダルを起こした芸能人の家の前で張り込んで、血の通ったナマ声を引き出すような熱気ただよう現場も、今は少ないので魅力を感じづらいのかも。最後に現場の熱気を感じたのは、2019年にあった吉本興業の会見くらいかな」
と、お笑い芸人による闇営業問題の会見現場を挙げた。
先日、星野源の不倫疑惑について言及したSNSアカウントが、事務所側に“法的措置を検討”される事態があった。これにより、川内さんが言う“テレビが言わない、言えないことをSNSで発信する”流れも変わってくる可能性はあるが……。
「とはいえ、芸能リポーターの仕事が増えることもなさそうです。私たちは“ザ・ワイドショー”的な黄金期を過ごさせてもらいました。芸能人との攻防戦や、各局の情報合戦は時代とともに消えましたが、いま頑張っている芸能リポーターには、誇りを持って魂を貫いてほしいですね」