「ネット通販のAmazonで“ドジャーズ大谷翔平の妻、田中真美子のIDカード”という商品が売られているんです! カルフォルニア州の運転免許証で、真美子さんの顔写真入り。英語表記で、住所はロサンゼルスの高級住宅地。値段は、税込み5,980円です!」
そう興奮気味に語るのは、大谷ファンの20代男性。
“偽物”IDカードの記載内容
その販売ページを確認してみると、たしかに真美子夫人と思われる、生年月日、身長、体重、目の色といった詳細な個人データが書き込まれている。さらに、同様の真美子夫人や大谷選手の免許証の出品は、フリマサイトやオークションサイトでも確認することができた。
「販売ページには“おもちゃ”と“レプリカ”と書かれているので、偽物なんでしょうが、こういったものを勝手に作って、売ったり買ったしても大丈夫なんでしょうか?」(前出・20代男性)
今や大谷選手だけでなく、真美子夫人や愛犬のデコピンにも注目が集まっているのは周知のとおり。
「ドジャースのイベントに夫婦で参加したときは、身長180cmの真美子さんは落ち着いた黒のスーツを見事に着こなしており、SNSでは“品と輝きがある”“上品な雰囲気”と絶賛されていました。バスケ選手時代のトレーディングカードもフリマサイトで高値がついています」(ワイドショースタッフ)
そんな中、発見された真美子夫人のニセ免許証。おそらく本人に無許可のシロモノと思われる。法律的に問題はないのか。弁護士法人『ユア・エース』代表の正木絢生(まさき・けんしょう)弁護士に聞いてみた。
「“ニセ免許証”の記載内容を田中真美子氏にすることで、他のレプリカ商品よりも、購入者が増えることが考えられます。このように商品の差別化を図る目的で、肖像等を商品に付帯する行為は、民事上の不法行為にあたる“違法”と判断される可能性はあります」(正木弁護士、以下同)
ただ、犯罪行為とは言い難いという。
「名誉毀損、文書偽造を検討しましたが、いずれも成立は困難だと考えます。個人情報の記載はありますが、外見や身長・体重の情報で、これを名誉毀損と考えるのは無理があるでしょう。
文書偽造についても、レプリカであると明示して販売しております。自動車免許証そのものを作っているものではなく、レプリカを作っているだけですから、“偽造行為”に該当しません」
販売元に直撃
では、こういったものを買うことに問題はないのか。
「法律上これを買うことで罰せられたり、賠償責任を負うようなことは考え難いです。ただ、明らかに本人の許可のない顔写真入りの運転免許のレプリカを買って、権利侵害に加担していくことは、倫理上の問題を問われるのではないでしょうか」
Amazonで出品していた2か所の販売元に、どのような意図で真美子夫人の“ニセ免許証”を販売しているのか、直接メールしてみたが、期日までに返信はなかった。
ジョークグッズとはいえ、こうしたニセモノに手を出すのは、まったく笑えないと思うのだが……。
◆弁護士プロフィール
正木絢生 弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや借金・離婚・労働問題・相続・交通事故など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。
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