横浜DeNAベイスターズ・度会隆輝選手(21)撮影/吉岡竜紀

《新たなスター誕生》

《度会、ゴールデンルーキーすぎるでしょ》

《感激のあまり泣いてしまった》

横浜DeNAドラフト1位ルーキー・度会隆輝

横浜DeNAベイスターズ・度会隆輝選手(21)撮影/吉岡竜紀

 横浜DeNAベイスターズのドラフト1位ルーキー・度会隆輝が開幕から2戦連続ホームランを放ち、世間が沸いた。セ・リーグ新人史上初の快挙に、大きな注目を集めた当時のことを、

「あのときは、やっと立てた夢の舞台で野球ができるという楽しみな気持ちが一番にありました。ずっと目標だったので、ワクワクした気持ちが強かったです」と、人なつっこい笑顔で振り返る。ヒーローインタビューでの“最高でぇぇす!”という決めゼリフや、ファンフェスティバルでは歌って盛り上げるなど、元気で天真爛漫なキャラクター。

 しかもイケメン。きっと順風満帆の人生を送ってきたのだろうと思いきや、そうではない。高校3年時のドラフトで指名漏れし、多くの選手が大学に進学するなかで実業団チームに入ってひたむきにプロ入りを目指した。そんな彼は“人を笑顔にしたい”とよく口にする。

「プロ野球は幼いころからずっと見ていて、憧れていた世界です。僕に夢をくれたのがプロ野球。楽しい、幸せな気持ちをたくさんいただいていました。今は自分がプレーする側にいるので、当時の僕のような子を、今度は僕が笑顔にしたいという思いが強いんです」

“以後気をつけます”が口癖

横浜DeNAベイスターズ・度会隆輝選手(21)撮影/吉岡竜紀

 野球選手に憧れていた度会少年は、どんな子だったのだろう。

「僕を学生時代から知っている人には、“隆輝は昔からぜんぜん変わらないね”ってよく言われます。だから本当に何にも変わってないのかもしれない(笑)」

 学生時代から今のようなムードメーカーだったのかと尋ねると、

「そうなんですかね? いや、どうなんですかね」とはにかむ笑顔もかわいらしい。勉強はできたのだろうか。

「勉強は苦手でした。特に数学とか英語は苦手で……。体育、音楽、美術とかは得意でした。あ、でも理科はちょっと得意でした。僕、生き物が好きなんです。軟体動物とか甲殻類とか……そういう生き物の名前を覚えるようなテストのときは、高得点を取ったこともあるんですよ! 生き物を見るのも好きで、動物園や水族館には小さいころからよく連れていってもらいました。生き物に関しては、今もちょっと自信あります。テレビのクイズ番組とかでたまにある“この動物の名前を答えなさい”っていう問題はけっこう答えられますよ」

 好きなもののことを話すときは、目がキラキラする。

「小さいころは、先生によく怒られていました。でも怒られたらすぐに謝ってました(笑)。まずは謝ることが大切だと思っていたので、口答えしないで、すぐに“ごめんなさい。以後気をつけます”って。でもそれが口癖みたいになって“おまえは何回以後があるんだ!”って怒られてました(笑)」

 素直で憎めないキャラクターも魅力のひとつだろう。次世代のスターとの呼び声もあるが、彼にとってのスターを尋ねると、

「イチローさんは僕にとってのスーパースターです。面識もあるんですが、いつも優しくしてもらっています。イチローさんは、もうオーラが違うんですよ。遠くから歩いてくるだけでわかりますもん、イチローさんが来たって。オーラ放ちまくりです!」
と、やっぱり目をキラキラさせて話す。

「イチローさんには華がありますよね。ただ淡々とプレーするのではなく、見る人を魅了するというか……。“またこの選手を見に行きたい”って思わせてくれるような存在だと思います。僕もいつかそんな選手になりたいです!」

自分で自分に暗示をかける

 厳しいプロの世界で、メンタルのケアはどうしているのだろうか。ルーティンや願掛けなどはあるのか聞くと、

「願掛けとは違いますが、自分ならやれるって思うこと。それは結果が出ないときも、出ているときも同じように思っていることです。自分はやれる、と常に暗示のように自分で自分を思い込ませています」

 野球はよくわからないという人もいるだろう。そんな人に向けて、

「あまり野球に興味がないという人も、一度球場に来てもらえれば相当楽しいと思いますよ! 僕らもそう思ってもらえるように頑張っているので、まずは気軽に球場に来てもらいたいです。ベイスターズはワンプレーごとの演出もすごいので、特に楽しいんじゃないかな。応援してもらえたらうれしいです」と、にこにこと話す度会選手。

 最後に夢を聞くと、

「優勝です」

 それ以外に何があるのかと言わんばかりに、キッパリと言い切った。これはスーパールーキーを応援しに、球場に行かないと。