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 健康志向の高まりとともに、海外セレブや一流アスリートの中で、食事術として取り入れる人が増え、注目されている「グルテンフリー」。

 日本の芸能界でも、冨永愛さんやアーティストのSUGIZOさん、ディーン・フジオカさんなどが実践していることを公言している。

身体の不調は“小麦”が招いていた!?

 グルテンフリーとは、小麦製品に含まれているタンパク質「グルテン」が入った食事を摂取しない食事法のこと。しかし、私たちが日頃、主食とするパンやパスタ、ラーメンなどの材料は小麦粉が主流のため、グルテンは非常に身近な存在でもある。

 健康や美容意識が高い人ほど「グルテンフリー生活」をしている理由を、日本初の「グルテンフリー外来」を開設した本間良子先生に教えてもらった。

「もともとは小麦アレルギーなどの患者が実践する食事療法でしたが、近年、健康のために有効であることが研究でわかってきました。このグルテンには消化器で分解されにくく、腸にとどまるという特徴があります。

 さらに、腸の粘膜の奥まで入り込むので、便としても排出されず、栄養としても吸収されません。すると、グルテンへの耐性が低い人は腸の粘膜が炎症を起こし、身体の不調や肥満、腸内環境の悪化などにつながってしまうんです」(本間先生、以下同)

 グルテンが引き起こす体調不良は多岐にわたる。

人によって症状は異なりますが、疲れがなかなかとれないと感じたり、下痢や便秘、腹部膨満感といったお腹の不調、頭痛、めまい、皮膚炎、イライラ、不眠などが代表的。

 頭がぼんやりしたり、新しく体験したことを覚えておく記銘力の低下など、脳に影響を与えることも。そのほか、生理痛の悪化や更年期症状の悪化などを招きます」

 実はこういった不調がある人は、小腸がグルテンに過敏に反応する「グルテン過敏症」や、グルテンを消化しにくい「グルテン不耐症」である可能性も大きいと本間先生は語る。

「今のところ、国内では保険診療内で検査を受けることができません。このような不調があり、ほかに原因が見当たらないなら、一度、小麦をとらない食生活をしてみることをおすすめします。グルテンを抜いている間は手帳などに体調の変化を記録しておくといいですよ」

小麦グルテンが原因と考えられる不調
 小麦製品をよく食べていて、以下の症状が続くなら“脱小麦”にチャレンジしてみて
□下痢、便秘、腹部膨満感
□頭痛、めまい
□記憶力の低下、記銘力の低下
□皮膚炎、皮膚のかゆみ
□生理痛悪化
□更年期症状の悪化
□断続的な疲れ
□目覚めが悪い
□睡眠が浅い

“小麦”を取り除くと体調がどんどん良くなる

 すべての小麦食品を排除した食生活は現実的ではないが、「ゆるグルテンフリー」生活ならハードルも低い。

まずは『大きな小麦』をとらないようにすること。具体的には、パンや麺類などのグルテン含有量が多い主食をご飯や米粉食品、グルテンフリーの製品に置き換えてみてください

 ただし、グルテンフリーの製品でも、添加物が多いものは避けて。購入前に必ず、食品成分を確認しよう。

「最初は1週間、平日だけでも主食から“小麦”を減らすことを始め、3週間を目標に続けてみて。慣れてきたらカレーやシチュー、餃子、洋菓子などもとらないか、小麦が使われていないものにかえられるとベストです。調味料に含まれる小麦を取り除くのは難しいので、今までどおりで大丈夫」

総務省の家計調査でも、2013年を境にパンの消費額が米を上回るように。特に高齢者の世帯でパンの購入額が増えている ※写真はイメージです

 3週間続けられると習慣になりやすく、“脱小麦”の良さも感じられるようになり、「ゆるグルテンフリー」を続けやすくなるそう。

 とはいえ、時短のため朝食をパンにしている人も多い。また、パンやパスタ好きの人も多いので、我慢するのがつらいときの対処法とは?

「好きなものを無理やり我慢する必要はありません。我慢をしてストレスがたまった結果、小麦生活に戻ってしまっては意味がないのです。そこで、おすすめは代用食材を活用すること。

 パンであれば米粉や大豆粉を使って作られたグルテンフリーパンをチョイス。今はいろいろな市販品が増えているので手軽に取り入れられると思います」

 麺類が好きならグルテンフリーのパスタやフォーを試してみるとよい。

今は取り扱っているスーパーやネットショップが増えているので、手に取りやすいと思います。また、ふるさと納税の返礼品にも米粉製品やグルテンフリーの製品が増えているので、チェックしてみてもいいかも。

 ちなみに、わが家では唐揚げ粉は片栗粉や米粉で代用。ラーメンは米粉の麺で。スイーツが食べたくなると、和菓子にするか、米粉を使って手作りケーキを楽しむようにしています」

 もともと米食だった日本人は、グルテンの耐性がない人も多く、さまざまな疾患や不快な症状のもとになっているともいわれる。原因不明の不調が続くなら、この機会に「ゆるグルテンフリー」に挑戦してみてはいかがだろう。

グルテンフリーを続ける芸能人

「無理なく」がキーワード

グルテンフリーを続ける芸能人 左から優木まおみ、SUGIZO、重盛さと美

冨永愛さん(41)

 グルテンをなるべく控える「グル休み」をするようにしており、便の状態が全然違うとも語っている。豆粉を使ったタンパク質が豊富なZENBヌードルを普段から愛用。

SUGIZOさん(54)LUNA SEA、X JAPAN、THE LAST ROCKSTARS

 小麦製品を食べると腸の不調を感じたため、数年前から取り入れるように。ラーメン好きだが、普段は麺抜きでスープのみ。月一のグルテン無礼講の日のみ、麺入りで味わう。

優木まおみさん(44)

 産後にピラティスの勉強を始め、今ではインストラクターとしても活躍している優木さん。10年ほど前からできる限りゆるグルテンフリーを続けているそう。

重盛さと美さん(35)

 20代のころに受けたアレルギー検査で小麦が体質に合わないとわかってからグルテンフリーを意識。なるべく小麦を排除するようになってから身体が軽くなり、イライラしなくなった。

医師が教えるゆるグルテンフリーのコツ

1:和食中心の食事にする

 難しいことは考えず、主食をお米にし、和食中心にすると小麦の量が自然と減る。

2:添加物の少ないものをセレクト

 グルテンフリーの製品の数が増えて、選びやすくなりましたが添加物が多いものは避けて。

3:小麦製品をご褒美にしない

 我慢したご褒美に小麦製品を食べてしまうと、小麦生活に戻りやすいので注意を。

教えてくれたのは……本間良子先生●医師。スクエアクリニック院長。米国発達障害児バイオロジカル治療学会フェロー。日本初の副腎疲労、グルテンフリー外来を解説。著書も多数。


取材・文/鈴木晶子