コンディション不良のためにシーズン2度目の登録抹消をされた、何かと周囲が騒がしい千葉ロッテマリーンズ・佐々木朗希投手(22、以下敬称略)。そんな彼に対して、プロ野球界の大物OBがスバっと内角攻めだ。
毎週火曜日にBSフジで放送されている『プロ野球 レジェン堂』。徳光和夫アナ(83)がプロ野球史に名前を刻む“レジェンド”たちを招いて、スター選手たちの素顔や球界の裏話などを掘り下げる番組。
6月18日放送のゲストは、1978年の『ヤクルトスワローズ』初優勝に大きく貢献した、ヤクルト一筋の大エース・松岡弘氏(76)。倉敷商業時代の先輩・星野仙一さんとのエピソードから社会人野球を経てプロ入り、そして優勝とトークに花を咲かせた。
そして番組終盤、快速球を代名詞とした松岡氏にちなんで、「最近の若い人はみんな、150キロぐらい投げる人がずいぶん出てきていますけども。松岡さんの時代の快速球投手と何が違うんですかね?」と問題提起する徳光。
「僕らはもう顔から身体から全部、“このヤロー!”って(気持ちで)投げる速球というか、ストレートだったんで」
今の投手は「速い球を投げるコツは知っている」とする一方で、「ガムシャラに放っているのはないのかな?少ないのかな?」と、古今の投手を比較する松岡氏。すると「佐々木朗希は160キロ投げるのに、“なぜ打たれるのか”と僕は思ってしまいますけども」と重ねる徳光。
僕らに言わせると“手を抜いてる”
「本当に、そう思うでしょ。僕らに言わせると“抜いてる”の。これを投げないと真っ直ぐが生きない、その一球に対してちょっと“気抜き”があるんじゃないかな。手を抜いてるんじゃないかな、という気がします。それで痛い目にあう1球、1割失投があったら絶対に勝てない。それを彼はちょっと直してほしい」
佐々木の160キロが打たれる理由を、松岡氏は「手を抜いているのではないか」と分析。前言の「昔は気持ちで投げていた」との解釈もあってのことだろう。ネット上では松岡氏らの時代を知る世代だろうか、《鋭い意見だ》《松岡さんの言う通り》と同調の声が上がるが、反して、
《これこそ精神論を語る老害なんだろうなぁ》
《今と昔は全ての道具も分析の仕方や練習方法も違う。個々の身体能力だって違う。だから比較してはイケナイ》
《令和の時代に昭和のあの頃は。みたいな精神論言われてもな。水分補給もさせずに根性で投げさせ・走らせて。輝くまえに潰してきたであろう才能に対して。懺悔してほしいな。》
こちらは少し若い世代なのだろう。松岡氏の持論を“昭和の精神論”とみなす、令和野球との違いを指摘するユーザーも。
松岡氏による“手抜き”発言の真意
世代間が分断される状況に、「松岡さんの“手を抜いている”発言が一人歩きしてしまっている」とはスポーツ紙・野球担当記者。
「しっかり話を聞けばわかりますが、松岡さんは決して佐々木投手が“手抜き”をして投げていると言いたいわけではありません。決め球である160キロのストレートを投じる前の1球、速球を生かすためのプロセスに注文をつけているのだと思います。
どんな速い球でも球種がわかっていればプロの打者は対応できます。そのストレートを投じる前の見せ球や変化球を、気を抜かずに丁寧に投げ切ることが大切だと言いたかったのでしょう」
そもそも佐々木の話を振った徳光。長嶋茂雄氏をはじめとする昭和の野球観に固執しがちだけに、メジャー意識が高い佐々木に対する、レジェンドによる“お説教”を期待したのだろうか。